弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

児童福祉法の改正

2011-11-18 17:17:55 | 法律改正
「児童福祉法」が一部改正され、平成24年4月から施行される見通しです。親権を持つ親は、子を監護教育し、懲戒し、その居所を指定することができます。
そのため、児童虐待の現場で、児童相談所が子どもを一時的に親から引き離そうとしても、親がその親権を根拠に無理やり連れ帰ってしまうケースがありました。
こうした現行の親権制度の問題点を改善し、子ども達を親の虐待から守るために、今回の改正がなされました。
具体的には、虐待された児童が入所する児童養護施設などの施設長の権限について強化されることとなりました。
従来は「必要な措置をとれる」という規定しかなかったものが、施設長が子どもの福祉のために必要な措置をとる場合に「親が不当に妨げてはならない」と明記されました。
また、子の生命や安全を守る緊急時には、親の意に反しても必要な対応がとれるようになりました。
児童相談所の所長についても同様の権限が与えられています。


民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号)

2011-08-22 17:13:05 | 法律改正
 「民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号)」が、平成23年6月3日に公布されました。
児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点からの改正です。 従前、離婚後の子の監護に関する事項の定め等について、民法766条第1項本文は、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。」とのみ規定されていました。
 この条項が、本改正によって、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定めるものとし、この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定されることになりました。
 児童虐待の相談件数が年々増加し、メディアでも悲痛な事件が報道される中、上記のような改正が、児童虐待に歯止めをかける一助となることが期待されます。
 「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」との文言には、子どもの幸せを心から願う強い思いが込められている気がします。



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雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律

2011-08-22 17:10:41 | 法律改正
 「雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律」(改正雇用保険法)が、平成23年5月13日の参議院で可決、成立しました。

 失業給付の算定基礎となる賃金日額の下限額引き上げなどが主な内容です。
 具体的には、賃金日額の限度額が、2,000円から2,320円に引き上げられ、これに伴い、失業者に対する基本手当日額が、1,600円から1,856円に引き上げられました。
 また、失業期間中に自己の労働によって収入を得た場合に基本手当から控除する額(日額)が1,388円から1,295円に抑えられることになりました。
 この他にも、失業者が早期に再就職した場合に支給される「再就職手当」や、就職困難者(障害者等)が安定した職業に就いた場合に支給される「常用就職支度手当」の給付率の引上げ等の改正も盛り込まれています。
 3月11日の東日本大震災の影響もあり、失業率の上昇が懸念される中、失業者の生活の安定、再就職の支援を主眼とした上記のような法改正は、日本経済の復興に向けた一助となると考えられます。
 なお、上記の改正は、平成23年8月1日から施行されます。


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