弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

弁護士の役割は・・

2008-06-22 20:09:10 | 日記・コラム

鳩山法相に対する朝日新聞の「素粒子」コラムに、「死に神」指摘があったので、私は、マスコミの表現として、明らかに不適切であることを指摘しました。
 鳩山法相が、現在の日本の法律に従って、法務大臣としての義務を履行している以上、従来の法務大臣と比較して、執行の多さを非難することは、筋違いです。後の朝日新聞が、同じコラムで「執行の多さをチクリと刺した」、というのは、今回の問題を理解していないし、使う言葉を間違えているように思います。
 これに関連して、私のブログにも、ご意見が殺到しているので、誤解なきよう、私の弁護士としての考え方なり、信念、をお伝えします。
 私は、一つの新聞社を批判しているのではありません。マスコミの質を問題にしています。全国紙を代表する新聞記事の一行が、どれだけ指摘された人の心を踏みにじむのか。これが理解されていないことを問題にしています。
マスコミは、その道でプロであるべきしょう。安易なペンの暴力は、自らの身を滅ぼすことになります。その意味で、今回、軽率な表現に対する謝罪がなかったことは、新聞社としての姿勢を疑います。
 もう一つ考えたいのは、刑事弁護における弁護士の役割です。司法に対する一般的な理解として言えることは、公権力を背景に犯罪を糾弾する検察官と、被告人を保護する弁護人、これを中立的な立場から判断する裁判所。
この図式は正しいものがあります。しかし、私が言いたいのは、弁護士の社会的役割をふまえた上で、この図式を運営させる必要があります。
さまざまな欲望と自我を持った人間が、利害を対立させている社会では、残念ながら、犯罪は決してゼロにはなりません。
しかし、一旦、発生させた犯罪者に、二度と犯罪をおこさせるべきでない。この姿勢を貫くことによって、世の中が少しでも良くなる、と私は考えています。
司法の中で、弁護士が、検察官と立場を異にすることがあっても、よりよき社会を築くべき役割は、司法の一員として同じことであるはずです。
私は、弁護士が、被告人の更生のため、適切な量刑を求めるのが大切であり、単に被告人の量刑さえ軽くなればいい、と考える刑事弁護は間違っている、と思っています。
どんな刑事事件であろうが、弁護士が、被告人に「刑を軽くしてやった。」と思わせる弁護は、その被告人の、犯罪に対する安易な考えを植え付けることになりかねません。
被告人が、凶悪犯罪にもかかわらず「こんな量刑で済んだ」、と思わせるのは、弁護士が、被告人に、更生どころか、次の犯罪を助長させるようなものでしょう。
私が刑事弁護する場合、絶えず、被告人と向き合い、犯罪が明らかな場合、弁護人の立場から、罪を犯すことのむなしさと、身柄拘束など、犯罪が割に合わないことを説諭します。
被告人の更生を望んで、「同じ過ちを犯すな」と、説得するのです。
このことにより、社会が少しでも良くなってくれたら、と考えています。 
この観点から、弁護士は、検察と立場を異にしますが、社会を少しでも良くしたい、被告人に立ち直ってもらいたい、と考えて弁護活動すべきでしょう。

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7 コメント

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罪を憎んで人を憎まず (まりまり)
2008-06-23 12:11:26
始めてコメントします
10年ほど前ですが朝日新聞で犯罪被害者を扱った特集がありました。
被害者と家族と周囲の状況を淡々と伝え、癒えぬ心の病に立ち向かっている皆さんにエールを送り、犯罪被害者支援金制度を取り上げていた。この記事には涙があふれた。

政治批判のつもりで掲載したのかもしれないが、法相を死神呼ばわりこれはひどすぎる。
チクリと刺したって、蚊に刺された程度の痛みしか感じていないのだろうか?
身勝手な理由で惨殺され、未来をたたれた犯罪被害者とその家族に、特集記事を取材した人たちに面と向かって言えるのだろうか?
鳩山法相は死刑制度がある日本で当たり前に執行しただけ。このコラムには怒りすら感じます。

弁護士は被告人の更生を最終目標として弁護に当たる。罪を憎んで人を憎まず。この言葉がぴったり当てはまりますね。これからもお仕事がんばってください。
この記事もダメですね。 (清高)
2008-06-26 20:52:48
1.「鳩山法相が、現在の日本の法律に従って、法務大臣としての義務を履行している以上、従来の法務大臣と比較して、執行の多さを非難することは、筋違い」といえるかはわかりません。というのは、死刑は、「絶対!!!」間違ってはいけないからです。
2.「どれだけ指摘された人の心を踏みにじむのか。」→本件とは違いますが、権力サイドの悪政をきつい言葉で批判してもいけないんだ?
3.「軽率な表現に対する謝罪がなかったことは、新聞社としての姿勢を疑います。」→簡単に謝罪する方が、「新聞社としての姿勢を疑」うのでは?それだけ軽い気持ちで書いたという意味で。
4.「どんな刑事事件であろうが、弁護士が、被告人に「刑を軽くしてやった。」と思わせる弁護は、その被告人の、犯罪に対する安易な考えを植え付けることになりかねません。」→これは難しいですね。ブランクは短い方がいいとも、長期だからじっくり反省できるとも言えるので。
5.刑を軽くすることと、「社会を少しでも良くしたい、被告人に立ち直ってもらいたい」と考えることが矛盾するとは言えませんね。
結論→この記事もダメですね。
↑貴方もダメですね (Unknown)
2008-06-27 07:35:35
反論してるつもりでしょうが
いまいち的を射ていません
自分を賢いと思っている馬鹿の典型ですね
↑そんなことないでしょ (亀井(仮名))
2008-06-27 15:46:42
確かに文章が整理されてなくて読み難いから、文意を読み取るのが難しいけれど、ブログアドレスを付けてることは評価するべきだと思います。

しかし、独り善がりの文章のような印象はあります。

匿名でごめん
どこが? (清高)
2008-06-27 22:39:25
「反論してるつもりでしょうがいまいち的を射ていません」と思うのは自由ですが、その理由を書いてくれないとわからないですね。「馬鹿」という侮辱罪を構成する言葉を使っているのだから、よほどの理由があるのでしょうね。
司法以前の問題として (被差別国民)
2008-07-14 11:36:52
 日本は法治国家とは思えない程、一般国民の意識が法律から離れている国に思えますね。本来、法の下の平等からして公平・公正な思考力が低いように感じます。
 他の事項にも投稿させて頂いておりますが、先ず、政治家や医者、弁護士など所謂「先生」と呼称される人種に無条件的に弱いですね。個人やその経歴を尊重することと、人として対等に接することは別であることが、理解出来ないのでしょうかね。
 例えば、病・医院に見積りを請求し、治療計画の説明を求める習慣は日本にはありません。また、要求すれば頭ごなしに怒られるか、変人扱いされるだけですね。先進国ではちょっと信じられない光景です。

 基本的に人権、平等、公平・公正の原理を理解して、社会制度上実行に移せなければ高邁な理想を論じることは不可能ではないでしょうか。
Unknown (executor)
2008-08-15 22:26:39
怠慢弁護は懲戒ものですよ。

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