Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
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写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

アオハダトンボの初夏

2009年06月08日 | トンボ


久しぶりの好天の休日。
子供を水遊びに連れて行くことにする。

水遊びをするような清流にはこの時期アオハダトンボが産する。
思い起こせば、17年前、不意に思い立ってトンボ撮影を始めた。
その時にいくつかの目標種がいたが、アオハダトンボはその内の一つだった。



発情する♂。

その年の虫の日。春先に目星をつけておいた場所で、10年ぶりにアオサナエを見、
それに活気づいて移動した場所で、念願のアオハダトンボを見つけた。なぜか、
その10年前にはそこで見ることが出来なかったのだが、その年の気温変化によって
微妙に出現期間がずれたためだろう。



ホバリングする♂。

その日は上機嫌で家に帰り、観察ノートに「記念すべき日」と記した。



アオハダトンボの♂の求愛行動には独特のパターンがあり、上もその一つ、
「アオハダの川流れ」
♀のそばでわざと水に浮いてみせる。
この時、ちらちらと♀の方を見ているのが面白い。

いつも♂が♀を追いかけ回しているのか?というと、
意外とそうでもない。
モンキチョウのように、♀が♂のあとをついて回る時もある。




アオハダトンボのいるような場所には、清流を好む様々な種類が見られる。
しかし、彼らはアオハダの群れている場所では長居できず、すぐに去っていく。



また、アオハダトンボは、水面に草の浮いているような場所を好むので、
半流水性のイトトンボも見られる。



♀に盛んにモーションをかけていた♂だが、予想外にお目当てと思われた
♀ではなく、あとからやってきた♀に交尾を挑んだ。
前々から感じていたが、彼らは腹部よりも、翅を使ってボディランゲージを
発する。以前、ビデオテープで記録して気づいたのだが、隣り合った♂と♀は
ほぼ同じタイミングで羽根の開閉を繰り返していた。
そして、♂に挑まれたときの♀も、羽根を開閉して反応していた。



モーションをかける♂を尻目に、産卵に集中する♀。



草がかぶるので、そーっと移動し、逆方向から写り込みを狙ってみた。



足下に注意すると、ミヤマサナエやコオニヤンマなど色々なヤゴが通り過ぎていくのが見える。
彼らの幼虫期は2~3年あり、色々なステージのヤゴを同時に見ることが出来る。

羽化殻はそこそこ見つかるが、羽化中の個体を物色したところ、ちょうどこれから羽化する
オジロサナエを見つけた。



しかし、なかなか殻を脱ぐ気配がない。しかなたく、他の被写体を漁りつつ、
しばらく時間をつぶしてからもう一度見に行くと、既に羽化は始まっていた。
おそらく人影を察知し、しばらく開始を控えていたのだろう。



羽化の開始寸前に下手に驚かすと、ヤゴは水中に逃げるが、陸上に上がって
しばらく経つと肺呼吸に切り替わってしまうので、タイミングが悪いとおぼれ死んで
しまう。羽化の探索もそっと慎重に行わなくてはならない。

川縁をあとにして移動すると、知り合いのMさんに偶然お会いした。
Mさんにサラサ羽化殻を教えていただき、せっかくなので写してみる。



この場所もかつては良く訪れたが、最近はほとんど来ていない。





余談だが、実家を訪れたら、弟からトンボの死骸を渡された。
よく見ると、サラサヤンマ♀だった。
以前から時々弟の仕事場にトンボが紛れ込んでくるのは、別のところで
書いたが、こんな住宅地でサラサヤンマとはにわかには信じがたいこと
だった。想像するに、実家の裏手に使い古された用水路があり、現在で
はほとんど水を流していないが、時々雨水もたまるので、そのような溝
を利用しているのかもしれない。


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