Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

後絵(?)の柿右衛門の皿(色絵 鶉文 中皿)

2021年11月30日 16時41分31秒 | 古伊万里

 今回は、趣向を変えて、「後絵(?)の柿右衛門の皿」(色絵 鶉文 中皿)の紹介です。

 

表面

 

 

表面の上方部分の拡大

 

 

表面の右方部分の拡大

 

 

表面の下方部分の拡大

 

 

表面の左方部分の拡大

 

 

口縁の一部分の拡大

口縁に施した上絵の口紅がかなり剥落しています。

 

 

側面

 

 

底面

折り枝梅文が3か所に描かれています。

 

 

折り枝梅文の一部の拡大

 

 これを見た方は、「おおっ! 名品だ!!」と思われることでしょう(^_^)

 私も、これを見て、即座に気に入り、即、購入に至ったものです(^-^*)

 しかしね~、骨董の世界というのは因果な世界なんですよね。常に「真贋」という問題がつきまとうんです(~_~;)

 これを連れ帰ってから毎日のように眺めていましたら、だんだんと不安が募ってきたんです(~_~;) これは、もしかしたら、「後絵(あとえ)」ものではないだろうかと、、、。

 

<疑問点第1>

 まず、疑問点の第1点目ですが、それは、古いボデーに、後から色絵付けをしたのではないかということです。

 見込部分の周辺部に陽刻の如意頭文や松竹梅文などを施した白磁は、明暦(1655~57)頃から作られ始め、寛文(1661~72)・延宝(1673~80)頃に多くが作られているのに対しまして、この皿の絵付け文様は、延宝頃から元禄(1688~1703)の前半頃に盛んに行われているからです。つまり、ボデーの作られた時代と色絵が行われた時代がちょっと合わないのではないかということです。

 でも、この点につきましては、延宝頃には、このようなボデーが作られましたし、このような絵付もされていたわけですので、両者が一致する時点はあったわけですから、このような皿が作られた可能性はあったわけですね(^_^)

 

<疑問点第2>

 疑問点の第2点目は、この手の皿の場合、普通、口紅は、焦茶色の色絵ではなく、鉄錆を塗って本焼きしていることが多いと思われることです。そのため、この皿のように、色絵の口紅が剥げ落ちますと汚らしくなってしまいます。

 そのようなことを防ぐためもあってか、このようなケースの皿は作られることがなかったのかもしれません。それで、図録等にも載っていないのかもしれません。また、私も、まだ、このようなケースの皿を見たことがありません。

 

<疑問点第3

 3番目の疑問点は、この手のボデーは、「白磁 陽刻如意頭文 皿」等の名称で、白磁皿として完結した姿で図録等に登場していることです。このように、完結した白磁皿に、更に色絵を付加した例を、まだ、私は知らないからです。

 

 以上、私の感想としましては、このような皿は、他にこれまでに見たこともないですし、図録等でも見たことがないものですから、後絵なのかな~と思ったわけです。

 ボデーの白磁だけでも立派な古伊万里なのですが、そこに、このような素晴らしい柿右衛門の代表的な文様を付加したなら、さぞや名品となるであろうとの願望から、その意図は善意なのか悪意なのかはともかく、後絵を施したものであろうと判断したものです。

 

生 産 地 : 肥前・有田(ボデー部分に限る)

製作年代: 江戸時代前期(ボデー部分に限る)

サ イ ズ : 口径;20.8cm 高さ;3.5cm 底径;12.9cm