オー、捨てないと!

隠れオタクな会社員の買い物や感じた事

ドリルでるんるん

2010-06-15 19:27:53 | 仕事

本来の仕事に比較的余裕が出てきた(←微妙な言い回し)おかげで、
今までに無かった様々な作業をする機会が増えた。

先日は照明のスイッチを増設するということで取り付け作業をすることになった。
工場の柱に穴をあけてネジで留めるのである。
「ちょろいもんだぜ!」と倉庫から電気ドリルを取りに行ったものの、ここからが本当の苦労の始まりだった。
まず、ドリルが無い。
正確には刃具がないのではなく、見つけ難いのである。
これは小さい箱に大小様々なドリルが無造作に入っているせいで、探し出すのに一苦労した。
おまけに箱の中に明らかに100円均一のそれと分かるパッケージが混じっているし。

一苦労して準備はできた。
しかし苦労はそれだけでは終わらなかった。
今度は穴があかない。
「アングルって結構硬いのね。」なんて思っていたが明らかにおかしい。
途中から明らかに切り粉が出なくなってドリルはグルグルと空転を続けるばかり。
いくらドリルの材質が高速度工具鋼であるとはいえ無駄に摩擦熱を発生させるのはよくない。
「一体どうしたものか――」
仕方ないので上司に報告したら「新品をもらってくれば?」と言って専用の用紙に印鑑を押すと倉庫の場所を教えてくれた。
言われた工場に行ってみると一角に小さい部屋があり、金属製の抽斗が並んでいた。
工具やネジ類の倉庫だ。
その奥にある薄暗い机の所では責任者の人が台帳を整理しており、声を掛けて注文書を差し出すと、
老眼鏡の奥の目を細めながら抽斗の表示を眺めながら歩いていって出してきてくれた。
決して芝居がかっていたわけではないけれど、まるで映画のワンシーンみたいだと思った。

かくして無事に穴はあき、スイッチボックスを取り付けたが、
作業の最後、4箇所目に悲劇は起こった。
ドリルが急にガタガタと振動し始めたのだ。
「いつから振動ドリルになったのか?」
などと考えつつドリルを空で動かしてみると全く異常は無し。
次いで先端を見てみて絶句した。
明らかに欠けている。
「何てことだ!」
せっかくもらってきた新品のドリルを1時間も経たないうちに欠けさせてしまった。
流石にもう1本もらってくるのは気が引ける。
呆然としていたら通りがかった工作機械課のY氏がどうしたんだい、と声を掛けてきた。
「ごらんの有様だよ」的な事を言うと、「ちょっと貸してみ」とドリルを手に取ると、
グラインダーの所に持って行って何度か眺めながら削って直ぐに直してしまった。
「こんなもんだろ。」という言葉と共に差し出されたドリルを使ってみると、
スッポンスッポンと簡単に穴をあけることができた。
様子を眺めていたY氏に「流石ですね」と言うとワハハと笑ってから「簡単だよ」と返された。
「みんながみんなできるわけじゃないんだけどね。最近の若いのは特に。」と付け加えると満足したような表情で去っていった。

本来、ドリルの研削は現場の作業者にとって誰でもやれるのが理想的だったが、
近年ではそういう部分の技術も失われつつあるようだ。
簡単にして熟練の要る技術だしね。
工業系出身の私としても身につけておきたいスキルではあるけど、
まずドリルを使わない職場であり、教えられる人がいない職場なので少々難しいようだ。
見よう見まねでやってみたけどダメだったし。

とりあえず工具の2S(整理・整頓)は必要そうですね。

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