オー、捨てないと!

隠れオタクな会社員の買い物や感じた事

いちえふ 1巻

2014-06-11 23:21:26 | コミック
いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 1巻
竜田一人:著
講談社 モーニングKC
ISBN978-4-06-388318-3



発売されたのを知って早々に買いに走り、直ぐに読んで紹介しようと思いながら、
遅くなってしまいました。
某テレビでも紹介されてしまいましたが、ここでは私なりに紹介してみましょう。

この作品の舞台となるのは2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響を受け、
国内最大の事故となってしまった福島第一原子力発電所。
事故の後の収束作業現場で働いた著者の体験談をもとに描いたのがこの作品という事です。

私自身とても興味のあることでしたが、各報道が現場に入って撮ってきた映像を見ても、
現地の様子を見る事は出来ても、あくまでもそれは”余所者”が”見学”した目線。
実際に作業者の目線で見た現場の様子をこういう形式で見られるとは思ってもみませんでした。


1巻の最初は実際に現場に入る様子から始まる。
必要な装備一式を順番に受け取ってから移動、装備を身に着けて現場に入るまでが事細かに描かれる。

ニコニコ動画等(テレビだと時間の都合で省かれる)の現地取材でも出て来るシーンだが、
実際に毎日やっていた人の視点で細かな注意点もあり、まるで新人教育の資料のようだ。

実際の作業現場の様子も当然ながら描かれており、

ここではAPD(個人線量計)が警報を発したので作業終了、となるところ。

同様に作業を終えて服(タイベック)を脱いでからのサーベイも

きっちり行われているようだ。

以前の週刊誌などでは「きちんと測っているフリをしているだけ。」などいかにもと言った感じで書いていたが、
全てが全てそうではないらしい。
作中でも触れられているが、線量計に鉛のカバーをつけて誤魔化していた業者のせいでチェックが厳しくなったなど、
かえってしっかりと管理をしている業者が迷惑をこうむっているらしい。

同様に、線量を測る練習をしている際に測定器の針があまり触れない事を疑問に思った主人公たちが口にすると

汚染の激しい靴を持って来て見せてくれるところ。

全体的に見て、キッチリと管理されてるという印象を持ちました。
まあ、こういった描写に読者の人からクレームも入ったりするそうですが(何故?)。


個人的に最も印象に残ったシーンがこれ。

初めて現場に入った若手の作業員が体調を崩し、放射線のしようとしたところをベテラン作業員がたしなめるところ。

この後に続く「正しく学んで正しく恐れろ」という意味合いのセリフは事故発生後に専門家の方々からしきりに言われた事と被るのですが、
最近になっても何だかんだと低いレベルの認識で語っているマンガもあったりして悲しい限りです。


全体的に線量の話に偏ってしまいましたが、
喫煙所に集まってみんなでタバコを吹かしたり、休みの日に少ない給料をパチンコで使ってしまったりと、
まるで普通の工事現場と変わらないような雰囲気と、
大きくない民家を多数の人間で暮らしたり、安い給料でやりくりして行かねばならなかったり、
炎天下の中を重装備のままでいなければいけないという苦労、そういったナマの状況が妙な押し付けも無く、
淡々と描かれているところにこの作品の価値を感じます。


警戒区域内では牛も事故の原因になるよ。

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