今回は防毒マスクを紹介。
防毒マスクというとゴツい軍用のいわゆる「ガスマスク」を連想しそうだが、
実際の作業現場では小型のものも多用されている。
これが今回紹介する興研のサカヰ式 R-5型だ。
これは区分として「直結式小型防毒マスク」として規定されるもので、ガスの濃度が0.1%以下で使用される。
形式は呼吸器だけを保護する「半面形」。
こちらは側面から見たところ。
ややもするとボンネット二重構造を見えなくもないが、これは通常のタイプで下に排気弁がついている。
それでも排気弁が見えにくい位置に入っているのは
塗装作業などで使用する際に塗料が付着するリスクをできるだけ下げるため工夫だろう。
しめひもは1本のタイプ。
通す部分が複雑な形状をしているが、これは4点式しめひものR-5X型と共通面体で利用しているから。
実際に仕事で使ってみて気付いたことだが、2点式のしめひもは装着が容易な反面、
作業をしているうちにマスクの位置がズレてくることが分かった。
隙間が出来るほどではなかったが、あまり気分のよいものではない。
そういった点から高性能のマスクでは4点式のしめひもを標準としているのではないだろうか。
で内側。
もはやお馴染みのフリーポジションアンダーチン面体により、顔の大小を問わずに高いフィット性を誇る。
無論、シリコーン製面体と接顔部の梨地加工により長時間の着用でも不快感を低減している。
内部には付属の吸湿スポンジを入れる事ができる。
これは特に塗装作業のおいてマスクから落ちた水滴が品物の表面に落ち、不良品となってしまうのを防ぐ必要があるからだ。
ただし、同社の防じんマスクの一部に付属する接顔メリヤスは絶対に使用してはならない。
密着性が命の防毒マスクでは僅かな隙間が健康を害する結果になるからだ。
再度全体を見る。
しめひもはポリバンドを使うRBタイプ。
布バンドのRAタイプも存在するのは言うまでもない。
画像のマスクに装着されているのは有機ガス用のKGC-1型(M)吸収缶。
吸収缶正面の独特の形状は塗装作業時に発生する飛沫の侵入を防ぐチッパーという簡易フィルターを取り付けるためのもの。
防毒マスクの吸収缶そのものには防じん効果は全く無いため、そういったフィルターの併用が欠かせない。
ここで、吸収缶について軽く解説しておこう。
防じんマスクと異なり、防毒マスクでは存在するガスによって専用の吸収缶を用意しなければ全く効果がない。
実際、このマスクにも
・ハロゲンガス用
・酸性ガス用
・有機ガス用
・アンモニア用
・亜硫酸ガス用
・硫化水素用
の6種類があり、最適な吸収缶を用意する。
また、それぞれにも種類があり、たとえば有機ガス用の場合
・KGC-1型S(除毒能力85分以上)
・KGC-1型M(同200分以上)
・KGC-1型L(同260分以上)
があり、それぞれ質量も違ってくる。
また、吸収缶の交換時期はガス濃度と使用時間を記録して付属の破過曲線図より算定するが、
短時間で繰り返し使用する場合、連続での使用時間より破過時間が短くなる可能性があることを熟知せねばならない。
特に有機ガス用吸収缶は湿度による性能劣化があることも考慮する必要がある。
臭気による判定は個人差などによる差が大きく、あまりアテにならないことも覚えておく必要がある。
そのうえで必要な作業条件は
・作業場所の酸素濃度が18%以上
・作業場所の有毒ガス等の濃度が0.1%以下
・有毒ガス等の平均濃度が暴露限界の10倍以下
の全てを満たしている必要がある。
と、まあ、たいへん複雑になりますが、一般的な塗装作業や模型製作では
マスクのフィットと吸収缶の定期的な取替えに気をつけていれば大丈夫かと思います。
工業的にマスクが必要な時はそれなりの標準が存在するはずですので。
あれ、ウチってそんなものあったか・・・?
画像の物はR-5-05型ですが、現行は改良型のR-5-06型が販売されております。
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