第75話 だから俺はアメリカが嫌いなんだよ。

　まず言っておきたい、俺は『アメリカ』が嫌いだ。その理由を挙げたらキリがないけど、アメリカという国家のスタンスが嫌いだ。別にアメリカ人の個人個人に対してそういう感情はないし、日本と同じく良い人がほとんどだろう。

　俺が嫌いと言ってるのはアメリカの全ての事における姿勢、やり方、考え方の基準に対してだ。今さっき終わったWBCの日本対アメリカでもそのスタンスは見られた。3-4で敗れたこの試合、見てない人には伝わりにくいがちょっと説明したい。

　初回にイチローが先頭打者ホームラン、２回に川崎が2点タイムリーヒットで3-0にする。しかし先発の上原がソロホームランを打たれ、代わった清水がデレク・リーに2ランを打たれて3-3の同点。ここまでは白熱した非常に良い試合だった。

　だが8回、1アウト3塁(1か2塁にもいたかも)に日本がして、犠牲フライを打てば逆転の場面。バッターの岩村が犠牲フライを見事に打ち、3塁ランナーの西岡がタッチアップ、余裕でセーフで4-3。のはずだった。

　しかし『4-3になった後に』アメリカの選手が「タッチアップが捕球より早かった(これをすると走者はアウトになる)んじゃないか？」と3塁審判に抗議。するとこれがふざけたことに認められて西岡がアウト、3-3でしかもチェンジに。


　おい、クソ審判よ。お前世界が見守る舞台でよくそんなアメリカ国民以外誰が見ても疑わしく思う稚拙な行為ができるな？
　お前は『4-3になった後』、つまり一度2塁審判がセーフと確定した後でその判定を変えたんだぞ？野球の世界で一度確定した判定がちょっとした抗議によってすんなり覆ったことが何度あると思ってるんだ？
　『審判は絶対』で済ませば良い問題だと思ってるならてめーは審判どころか人間をやる価値すらねーよ。
　どこの誰に圧力かけられて八百長したのか知る由もないが、よくもまぁこんなに誰が見てもセーフという分かり易い場面でやってくれたな。　
　俺は『スポーツに国際問題を持ち込むべきではない』という考え方に勿論のごとく賛成だったし、スポーツを愛する人の多くがその考えに賛成であろうしそれはとても良い事だと思ってきた。　
　しかし今日の一件で俺は国際問題にしてもいいとすら思ったよ。やってることはアメリカ牛肉の輸入問題となんら変わりない。
　そして同時に確信することができたよ、『アメリカは勝つ為ならどんな汚い手でも使う、スポーツマンシップなど関係ない。よってこの大会はアメリカが最初から優勝するように仕組まれてる』ってことをね。　

　もし仮に、審判が本当に心の底からあのジャッジを下したとしよう。だとしたらすぐさま会見をして謝って審判を辞職しろ、まだ小学生に任せたほうが良い審判するよ。どうせ審判はビデオ後から見て自分でミスジャッジだってわかってるんだし。

　この大会が日本にとってどれだけ重要な大会かアメリカ側に考えてもらう必要はないし、どうせ考えてないだろうけど、世界最強を決める野球の大会、しかも第1回で、野球、いや、ベースボール発祥の地『アメリカ』がこういう事をした、その計り知れなく重い事実を当のアメリカはどう受け止めるのだろうか。そして日本の野球ファンはどう思ったのかな？俺と同じ気持ちだと思うんだけど。

　もしこの事実がまるでなかったことのように日が経ち、そしてアメリカが優勝した時に、アメリカ国民が狂ったようにどんちゃん騒ぎしてたとしたら、俺はアメリカ人全員を嫌いになってしまうかも知れない。それほど俺は本気でムカついたし、何よりあそこであんなことをしたっていうのが本当に残念だよ。この大会、1回白紙に戻してもいいとすら思うよ、本気で。