木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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一人でできる発想法(3)

2007年05月22日 | アイデア発想法(コツツボ)


◆一人でできる発想法(3) ヒット商品番付
245:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第45発 商品企画


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

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お金をかけるか、時間をかけるか

 3月からアイデア発想法の話をしています。前回までにアイデアの極意アイデア発想の6か条いろいろな発想法について書きました。

 今回は、お金をかけずに一人でできる発想法のご紹介です。

 私は現在一人でデザインコンサルタントをしています。なので、アイデアは一人で出しています。というわけで、私がアイデア出しをする際に実際に使っている手法をご紹介します。良くある手法ですが、結構有効です。

 お金をかけませんので、できることは限られます。しかし、お金はかけなくても、半日とか1日とか時間はかかります。お金も時間もかけないのでは、さすがにアイデアも出てきません。

 では早速、発想法のご紹介ですが、そのまえに、

 アイデアは既成事実同士の組み合わせで生まれる

 新しいアイデアは、キッカケがあれば出てくる


ということを思いだして下さいね。

 これからご紹介していく発想法はすべて、組み合わせるための事実をたくさん集めることと、アイデアのキッカケ創りのためにあります。いかにキッカケを見つけるか、どれだけ多くの関連する事実を集めるか、それが目的です。

 1人でできるキッカケ創りとして、以下の4つを挙げました。

 (1)テーマを決めて街に出て、半日市場調査をする
 (2)ポジショニングマップを作る
 (3)10年分のヒット商品番付を眺めてみる
 (4)思いついたキーワードをグーグルで検索する

 今回は、「(3)10年分のヒット商品番付を眺めてみる」です。


ヒット商品番付

 三井住友銀行グループのSMBCコンサルティングが毎年、『ヒット商品番付』を発表しています。ネット上では、1990年からの番付を見ることができますが、昔のものを見ると懐かしさがこみ上げて、物思いにふけってしまいます。1990年には「スーパーファミコン」や映画『フィールドオブドリームス』なんかが入っています。91年は『101回目のプロポーズ』、92年は『ツインピークス』、93年は『ジュラシックパーク』。いやもう、懐かしいですねえ。

 しかし、懐かしさにふけるためにご紹介したわけではありません。

 このヒット番付は、その年に話題になった製品や作品や事柄を上げることで、トレンドや流行をわかりやすく具体的に解説しよういうものです。


2006年のヒット商品番付

 横綱 「ニンテンドーDS Lite」と対応ソフト
 大関 「mixi」
 関脇 『ダ・ヴィンチ・コード』「ワゴンR」
 小結 「TSUBAKI」「植物性乳酸菌ラブレ」
 前頭1 「薄型テレビ」「オシャレ魔女ラブandベリー」
 前頭2 「ワンセグ」『国家の品格』
 前頭3 「王ジャパン&ハンカチ王子」「荒川静香」
 前頭4 「ルックきれいのミスト」「黒烏龍茶OTPP」
 前頭5 「TRUE」「男前豆腐店」
 前頭6 「ウイルスセキュリティZERO」「駅ナカ」


 そして、それぞれの製品などがヒットした理由を解説しています。

 例えば、「ニンテンドーDS Lite」が一人勝ちした理由は、「2画面+タッチペン入力による操作性の向上」と、「頭脳ゲームなどのソフトで今までゲームに振り向かなかった層を新しい顧客に引き込んだこと」であり、「mixi」のヒットは、「インターネットにリスクを感じていた人に、安全な居心地のよいネット空間を提供したこと」だとしています。

 つまり、「ニンテンドーDS Lite」と 「mixi」のヒットから、操作性の向上が新規顧客の開拓に役立ち、顧客は安全や居心地の良さを求めているのだという予測できるわけです。そこから「操作性の向上」「安全」「居心地の良さ」というようなキーワードを読み取ることができるわけです。

 製品デザインからみると、「男前豆腐店」が気になります。コンビにでも売っていますが、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」などの奇抜なネーミングとパッケージで高級豆腐を売り出した京都の豆腐屋さんです。

 「男前豆腐店」の成功は、誰もこんなパッケージで豆腐を売ろうと思わなかったという盲点を突いたことと、デザインは奇抜でも、値段に見合うしっかりした味(性能)を持っていたことが要因ではないでしょうか?「性能」と「価格」と「遊び心」。その遊び心が普段豆腐なんて買わないような、独身男性という新しい顧客層を獲得したのかも知れません。 


少し突飛なほうが面白い

 と言うわけで、実はこの手法は少し高度な手法です。慣れないと、昔のヒット商品を思い出して懐かしさにふけるだけで時間が過ぎていってしまいます。

 『国家の品格』や「王ジャパン&ハンカチ王子」や「荒川静香」が自社の製品開発のキーワードに関係あるのか?

 もしかすると全く関係ないかもしれません。

 しかしそこで、もう少し考えてみる。

 『国家の品格』や「王ジャパン&ハンカチ王子」や「荒川静香」は日本人に日本人であることの誇りを取り戻させてくれた。今、みんなどうも元気がないようだ。だったら、少しでも、みんなに元気を与えるようなことができないか。日本は大きくても、地元や仕事でお世話になっている人たちに、元気を与えるような製品はできないか。

 というような感じで、ヒット番付の製品がなぜヒットしたのかを、広い視野でとらえなおして、いろいろ考えてみる。それは、開発製品のことでいっぱいになっている頭を揉み解すための方法でもあります。

  一つのことだけ考えるのも大切ですが、アイデアを出すときには、視野が広いほうがいい。ヒット番付を見なければ、製品開発を考えている頭に『国家の品格』が浮かんでくることはないでしょう。
 
 ヒット番付は視野を広くするためのキッカケです。なので、そのキッカケからの発想も、少し突飛なぐらいのほうがいい。そのほうがきっと面白いアイデアがでてくると思います。


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