DK大衆食の旅3

路麺好きがそんな感じで巡る大衆食の旅。

筑波軒@下館

2018年05月15日 | まちちゅう・ラ・餃
大衆食の旅。下館の町をうろうろ。
例によってそばうどんの店を探していたのだが、なぜかこの町、いい佇まいの中華食堂が多い。



するとメイン通りから一本脇の道でとりわけすさまじいオーラを発してる店に出くわす。



筑波軒。町中華?なの?



店頭のショウケースは、ラーメンがありそうなコトと、殺風景ながら営業はしているコトを伝えるのみ。。よし、



と踏み込むと中がまたすごい(笑)

どうやらメヌーは中華そばとワンタンの組み合わせのみで構成されているらしいコトを壁から読み取り、



中華そばをお願いした。



ご主人と少し会話して。ちょっと訛りが強くて残念ながら半分くらいしかわからなかったが、なんでも疎開で東京からやってきて、戦後の食糧難の頃からやってるという。

その当時、ラーメンは目新しく洒落た食いもんだった筈だ。



そしてそれはまさに、この姿でこの味だったのだろうとも思った。
だって建物も内装も徹底的にそのまんまなのに、味だけ変えたり、しないでしょ?

現代からすると薄めの汁。そこに麺と、濃いめに味付けされたメンマと煮鶏の小片を合わせて啜ると大変結構。
ひょっこり気付いたのだが、もしかするとこのバランスって 砂糖醤油をつけて食べた塩あんびんの理由 にも近いのかもしれない。



下館ラーメン。その発祥の地。

自分がそんなコトを知ったのは、帰ってこの記事を書き進めてからである。

散見する旧びた映画館や洋館から当時の活気が偲ばれる下館の町。
そこに戦後、東京からやってきたラーメン。

この町に多くあった昔ながらの中華食堂はその時代を静かに語るものであり、
このラーメンにはその当時の人々の生きる夢が込められていた。

ふと見かけて食べた一杯に潜む、膨大な意味。

昨今のグルメ風潮では決して語られない、まるで時代を行き来するかのような出会いに、大衆食の旅の深さを改めて思うのである。





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