マーチングの腕前も抜群の精華女子高校吹奏楽部
コンクール強豪校として有名な福岡市の精華女子高校吹奏楽部が「SMEレコーズ」からCDデビューした。
西野カナらが所属するJ―POP系レーベルとしては異例の試みだが、バラエティー番組で特集されるなど、高まる吹奏楽人気を象徴する出来事だ。
15、16の両日、福岡市内のホールで同部の定期演奏会が開かれた。4回の公演で入場者は約8000人と全回満員。クラシックの難曲を見事に演奏し、マーチングでは統率の取れた隊列を披露した。さらには部員が動物にふんして、ミュージカルの名場面を歌や踊りを交えて再現するなど、様々な演目が繰り広げられた。ロビーには発売されたばかりのCD「熱血!ブラバン少女」が並んでいた。
同部は全国大会で何度も最高賞を獲得するだけでなく、年間100回以上の公演をこなし、子供向けから高い技術を要する曲まで150曲ものレパートリーがある。同部顧問、藤重佳久教諭(59)は、「生徒たちにはいろいろな得意分野がある。たくさんの機会を与えようと思っている」と話す。
そんな魅力に感化されたのが、SMEの担当者。昨年夏、同社所属のバンドと共演してもらったのをきっかけに、CD制作を持ちかけた。「20年ほどレコード会社にいるが、常に前向きに挑戦する同部には、味わったことのない感動を覚えた」と、木村麻里子プロデューサー。昨年末のレコーディングは、大会や演奏会で多忙な日程の合間を縫って行われ、収録曲の特別な練習はほとんどしていないという。制作に協力した作曲家、鈴木英史は「本番の連続から生まれるいきいきした演奏は他にない」と評価。オリコンではクラシックで1位、総合でも25位に入った。
40作を超える人気シリーズ「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」
こうした企画が実現する背景には、テレビ番組「笑ってコラえて!」のコーナー「吹奏楽の旅」が人気になるなど、吹奏楽人気の広がりがある。関連書籍も数多く発行され、昨年は、「あまちゃん ぶらばん ~公式版 吹奏楽『あまちゃん』曲集~」(ビクター)や「ブラバンAKB48」(キング)など、人気楽曲をアレンジしたCDが次々に発売されている。
吹奏楽人気を長年、下支えしているシリーズが、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」だ。1972年、それまでクラシックかマーチしか演奏されてこなかった吹奏楽に、ジャズやビートルズ、ディズニー音楽などのポップスを取り入れた。レコード、CDと同時に楽譜も売り出すことで演奏現場に普及させ、鑑賞愛好者も増やした。ほぼ毎年出し、今年4月に発売予定の最新作(ユニバーサル)で42作目になる。
72年から最新作まで手がける作・編曲家、岩井直溥(90)は、今や「吹奏楽ポップスの父」と呼ばれる。岩井は「最初は、中高生が譜面通りに演奏することしかできず、ポップス特有の雰囲気が出せなくてなかなか普及しなかった。今は吹奏楽は幅広くなり、何でもやれる集団となった。まだまだ発展の可能性がある」と話している。(清川仁)
(2014年2月27日
読売新聞)
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