松井秀喜ベースボールミュージアムで取材に応じる父の昌雄さん
「ご苦労さま」「感動をありがとう」――。
日本球界と米大リーグで輝かしい成績を残した松井秀喜選手(38)が27日(日本時間28日)、引退を表明した。ニューヨークでの記者会見で「たくさんのファンの方々の応援が、僕の大きな力になった」と話した松井選手。石川県内では地元・能美市やかつての恩師らを中心に、20年間にわたるプロ野球人生をねぎらう声があがった。
◆感謝の涙
松井選手の実家近くにある能美市の松井秀喜ベースボールミュージアムには28日朝から報道陣が詰めかけた。午前9時20分に、父親の昌雄さん(70)がスーツ姿で現れ、「予想はしていたが、いよいよ(引退の時が)きたんだなという思い。今は『秀喜、よくやったな』と握手をしたい」と息子をねぎらった。
松井選手から「会見をする」というメールが送られたのは27日。読んだのは、記者会見直前の28日午前6時半頃で、すぐテレビの中継で会見を見たという。「涙ぐんでいるようにも見えたけど、あれは感謝の涙だと思う」と話し、「ファンの皆さんのおかげで野球をやってこれた。また長嶋監督との出会いがなければ、今の松井秀喜はなかっただろう」と感慨深げだった。今後については、「長い間、野球一筋だったので、しばらくはやりたいことをやってほしい」とし、「野球のためにお返しをしてほしい」とも話した。
報道陣から「松井選手に第1子誕生という話もあるが」と質問されると、「うれしいです。男の子で、来年3月半ばに生まれる予定」と明らかにし、「健康に育ってほしい」と笑顔を見せた。
◆驚きの声
出身地の能美市では引退の報に驚きの声が上がった。
松井選手の中学校時代の野球部のコーチ高桑充裕(みちひろ)さん(49)は「さみしいのが半分、夢を与えてくれてありがとうというのが半分。打てたと思った球を打てなくなったのだろうが、本人にしか分からないところ。今は『ごくろうさん』と言ってあげたい」としみじみ。
酒井悌次郎市長も「郷土の希望として、巨人と大リーグで素晴らしい活躍をしてくれた。もっとがんばってほしかったが、今後は野球界のリーダーとして活躍してほしい」とエールを送った。
この日、松井秀喜ベースボールミュージアムを訪れた川北町の会社員南清彦さん(40)は「ニュースをテレビで見て、初めて来た。巨人時代が一番印象に残っている。引退は残念で寂しい」と話した。長男の薫仁君(10)は地元の学童クラブで外野手を務めている。薫仁君は「もっとプレーを続けてほしかった。遠くまで飛ばす打撃力が松井選手の魅力。松井選手のようなプロ野球選手を目指して頑張ります」と、松井選手の軌跡を紹介する展示に見入っていた。
(2012年12月29日10時52分
読売新聞)
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