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Mr.マトリョーシカの脱走

マトリョーシカ(Матрёшка)式世界からの大脱走。脱兎のごとく。

単数形の詩2

2007-08-13 02:06:03 | 



僕は街の音が好きだ

でも僕は、離れて一人で、

開いた窓のかたわらに

閉じたドアのうしろに。



*  *  *



俺たち何も言うことがないんだったら、とカミエが言った、何も言わないことにしようぜ。

言うことならいろいろあるさ、とメルシエが言った。

じゃあどうして言えないんだ?とカミエが言った。

言えないんだよ、とメルシエが言った。

じゃあ黙ってようぜ、とカミエが言った。

だからそうしてるじゃないか、とメルシエが言った。



*  *  *



僕はひとりでいる

そしてひとりでいて嬉しい、

僕は好きじゃない

こんなに遅くに歩き回る人々は

真夜中過ぎにのろのろ

舗道を歩いていく人々は。

僕は好きじゃない

閉店した店先の

スロットマシンの小さな鏡に映った

自分の顔が。



*  *  *





まだまだ続く。
こういうの書くと心配してくれる人がいるんですけど、あくまで詩なので平気です。
確かに僕の実感を表してる詩なんですけど、僕が孤独かというと、それとはまた別の問題です。

単数形の詩

2007-08-04 23:18:06 | 


猫が死んでた。

「心配は猫をも殺す」っていうことわざがあるって言ったよね。

ねえ、じゃあさ、君は何が心配だったの?


*  *  *


書くというのは孤独な作業だ。

僕がそこにいるときでも、本当はそこにいないんだ。


*  *  *


我々は我々の真の居場所にはいない。

我々は偽りの場所にいる。

人間としての本質的な弱さゆえ、我々は檻を夢想し、自分をその中に閉じ込める。



ただ、これは以前どこかに書いた。


*  *  *


世界を疑うことは不可能

それは目で見えるのだから

そして 世界は取り返しがきかないから



理解されない その事実は致命的だと思う


*  *  *


いまぼくの人生は

影たちの

花冠に思える


*  *  *


自然界について、僕らが何か語るとすればたたえる以外ありえない。

僕らは静止することはできる。

この上なくよどみない話しても いずれは静かになる。

僕も静かになれる 静けさの訪れを待たなくてもいい

けれど世界のにぎやかな悦びのなか

そんなささやかな音はほとんど聞いてもらえないから

僕はじれったくなって 世界の歌を練習する。


*  *  *


単数形の
難破に

取り憑かれ、惑わされ

僕たちは選んだ

多であることの意味を。


*  *  *


今日はこれくらい。