洗い血わんさか 親殺め。
(荒事(あらごと)・市川団十郎(いちかわだんじゅうろう))(芳沢(よしざわ)あやめ・上方(かみがた)・坂田藤十郎(さかたとうじゅうろう)・和事(わごと))
[ポイント]
1.上方歌舞伎では女形(おやま)の芳沢あやめ・和事の坂田藤十郎が、江戸歌舞伎では荒事の市川団十郎が、名声を博す。
[解説]
1.元禄時代、歌舞伎も民衆の演劇として発達した。能・狂言が武士の世界にとどまったのに対し、歌舞伎は江戸・上方には常設の芝居小屋がおかれ、東西に名優がでて人気を博した。
2.坂田藤十郎(1645~1709)は、元禄期に上方で近松門左衛門の脚本を多数上演。色男の優美な所作を演出する恋愛劇(和事)の芸を創始した。
3.芳沢あやめ(1673~1729)は、女らしさの表現に優れた女形で知られる。元禄期に上方で活躍、傾城(けいせい)(高級な遊女)役を得意とした。
4.初代市川団十郎(1660~1704)は、江戸歌舞伎を代表する役者で、上方の坂田藤十郎と並び称せられる名優。豪快な立ち回りの演技(荒事)を創始した。初代の父が成田山新勝寺(千葉県成田市)近くの出身で、同寺との縁が深く、ゆえに屋号は「成田屋」。
〈2016上智大・神外(英)総人(教・心):「
問1 文章の下線部a~dのなかには、その人物の説明文に用いる語句としては不適切なものがある。誤っている語句をa~dの中から1つ選びなさい。また、それにかわる正しい語句を、語群から1つ選びなさい。
E 17世紀a後半に生まれた江戸b歌舞伎の代表的俳優。屋号はc中村屋。浄瑠璃のd金平物に示唆を得て、江戸で勇猛な立廻りを主とする荒事を演じた。
〔語群〕
1前半 2末期 3能
4狂言 5成田屋
6成駒屋 7今春 8金剛」
(答:c5 ※「金平物(きんぴらもの)」は極端な武勇談を取り扱った作品。)
〈2015早大・文:「
問8 下線d歌舞伎に関する記述として、正しいものを1つ選べ。
ア 江戸時代の芝居小屋は花道や回り舞台もなく、簡素な造りであった。
イ「義経千本桜」は時代物と呼ばれる。
ウ 18世紀になると、芳沢あやめのような女性でも歌舞伎を演じられるようになった。
エ 坂田藤十郎は荒事で有名な上方の役者であった。
オ 寛政の改革で中村座・市村座・森田座は浅草に移された。
(答:イ〇 ※ア×2つともあった、ウ×芳沢あやめは男性、エ×荒事→和事、オ寛政の改革→天保の改革)〉
〈2015明大・商:「
庶民にとってみても陳腐な新鮮味を欠く広告はすぐに飽き、見向きもしなくなる。それに対抗して広告業界は様々な工夫を取り入れていった。たとえば、歌舞伎の幕間に、出演する人気役者がご来場の御礼とともに宣伝「口上」するような現代のテレビコマーシャルのような手法もあったし、さらに進んで、演劇の主題や絵画そのもののなかに商品や広告情報を入れ込む手法も開発されていた。歌舞伎十八番の「助六」は山川白酒、福山うどん、朝顔せんべい、酔い覚ましの薬などの商品や実在の店が数多く登場するし、「外郎売」は小田原の「虎屋」発売の丸薬の宣伝「口上」そのものが劇中劇の形で登場している。両者とも初演は二代目[ え ](1688~1758)によるもので、初代は坂田藤十郎の和事に対して荒事で名をはせた点も有名である。」
(答:え市川団十郎)〉
〈2012立大・全学部2/6:「
問4.これに(歌舞伎)関する説明として正しいのはどれか。次のa~dから1つ選べ。
a.河竹黙阿弥による白浪物は、元禄時代の歌舞伎の代表作である
b.坂田藤十郎は、江戸の歌舞伎役者として活躍し、荒事を確立した
c.竹本座は、幕府から興行が公認された歌舞伎劇場である江戸三座の1つであった
d.『東海道四谷怪談』は、鶴屋南北(四世)によって書かれた生世話物である」
(答:d ※a×幕末に盛行。「白浪」とは盗賊のこと、b×和事の誤り、c×大坂の人形浄瑠璃の劇場)〉
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