中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

タイガース・カラー、って…

2008-01-18 23:45:58 | Weblog
 久々の阪神取材は、野田の電鉄本社。南球団社長による「定例オーナー報告」の後の宮崎オーナーの話を聞く、というのがこの日の仕事のメインだった。現在の阪神には、これといって大きな懸案事項はない。しいて言えば、下柳や藤川、久保田らの契約未更改くらいか。したがって、オーナーの口から飛び出す言葉にあまり大きな期待を持てなかったが、ところがこのお方、生来のしゃべりたがりのようで、取材側が多くを聞かないのに、しゃべり倒すのである。

 話の骨子を簡単に言うと、この日行われた球団フロント、1軍首脳陣との激励会(酒を飲みながらの宴会?)で「タイガースカラーとは何ぞや?タイガースの野球とは何ぞや」を皆で考えよう、と提案をするということだった。球団経営にしろ、キャンプの練習方法や編成の有り方なども、場当たり的にするのではなく、ある一定の計画性が必要だと。それについて、岡田監督以下、現場首脳陣の考えも聞きたいと。デイリー本紙では、巨人に絡めていろいろ書いた(19日付け)が、結論は簡単。「阪神の野球」とは、昔から「宿敵巨人を倒す野球」「個性派集団の根性野球」だったのではないか。根性野球は古すぎるかもしれんが、多くのオールドファンはそれでいいと思うはずだ。

 もっと言えば、巨人の対極にある野球、だろうか。向こうがよその主力を無差別に買いあさるのなら、こっちはドラフトで獲った選手をじっくり育てながらチームを作る。向こうが一発に頼る大味な野球なら、こっちは地味につないで1点を守りきる野球に徹する。すべてが巨人の逆を行く。それが阪神のアイデンティティーであり「伝統」であろう。今さら皆で話し合う類のものじゃない。ただ、今回の激励会で、上から下までがざっくばらんに話をした点は、評価してもいい。

 しかし、このオーナー、よくおしゃべりになる。そうそう、話は変わるが、記者が担当時代によく取材した久万俊二郎元オーナーを本社で見かけた。現在は相談役になっているが、お年は85歳前後になるんじゃないか。歩く姿はまだかくしゃくとしていた。懐かしさを感じつつ、時代の移ろいも感じた次第であります。