中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

愚かな「自分」に笑ってしまったぞ!

2009-01-08 20:11:27 | Weblog
 ふと「箕島に行こう!」と思い立った。いつもお世話になっている元箕島高野球部監督・尾藤公さんに「新年のあいさつをしよう」と考えたからだ。電話で「明けまして~」などと言うのは、いかにも失礼。やはり、かつては連載取材で何度もお手を煩わせてきた自分にすれば、箕島まで行ってきっちり「今年もお願いします!」と頭を下げるのが礼儀であろう…。そう思い、白浜行きの「くろしお」に飛び乗った。

 突然思い立ったものだから、電話での連絡はしなかった。それでも、何年か前に自宅まで行ったことがある。そのときの記憶を甦らせれば、大丈夫―。いざとなったら携帯を鳴らせばええわ。それくらいのつもりで出掛け、駅に降りた。確か、車で10分くらいだったかな?そう思いながら、駅前から歩き始めた。

 自分の感覚では、歩いて20分程度で自宅に着く。番地も控えている。「大きな通りの横はみかん畑で、自宅にはロープが吊してある」。連載を担当していた当時、自宅を訪れた際、ロープのいわれを聞いた。「選手をうちに呼び、ロープ登りをさせていた」。強い箕島を作ったのが、尾藤家のロープ。それが目印だった。

 頭の中では、地図がしっかり出来上がっていた。ところが、いざ歩いて住所近くまでいくと、自分が考えていた“図”が次から次に出てくる。各家の表札に、住所はなく、電信柱にも番地など書かれていない。困った…。わからない…。携帯を鳴らそうと思ったが、いまさら恥ずかしい。

 ええおっさんが、道に迷っている。おそらく、自分を見た箕島の小学生たちは、そう思ったことだろう。確かに、そうなのだ。電話1本で済むことなのに、相当の労力を要した。結局、自宅を突き止められず、元の駅前に戻った。所要時間は書くまい。あまりに情けないから…。

 人間の記憶など、ええ加減なものだ。そして、自分の「頑固さ」も…。「人に道を聞くのが恥ずかしい」と思うあまり、さらに自分を苦境に陥れる。わかっているのに、そんな過ちをする。本当に、バカだな。

 結局、駅前(正確には、少し離れた箕島高前)から、電話をかけた。尾藤さんは自宅におられた。「電話をくれれば、行ったものを…」。返す言葉がなかった。「今から行くから、そこで待っててよ」。大阪への帰り、駅近くの居酒屋で夕食をいただいた。3杯の焼酎が、いつも以上に身に染みた。