中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

あえて、重箱の隅を突こう

2008-07-05 19:02:01 | Weblog
 この日の横浜スタジアムは実に賑やかだった。試合前の阪神ベンチに、あの大物

俳優・渡辺謙氏が現れたと思ったら、お笑いのダウンタウンや雨上がり決死隊、キ

ャーン、山口智充らが大挙してやってきた。横浜の親会社・TBSの番組に出演して

いる彼らが始球式をするというので、試合前から騒々しかったのだが、実際はそん

なに盛り上がってなかったようにも見えた。開始までの数分間だから、彼らがスタ

ンドを笑かすには、少し難があったようにも思う。しかし、こっちの前を横切って

いった松本氏は、何だかオーラのようなものを感じたな。

 大の阪神ファンで知られる渡辺氏などは、試合中、我々が見ていた記者席までや

ってきて、デイリー軍団の後ろの席に座って見ていたのだよ。少しの時間ではあっ

たけど、近くにあの渡辺謙がいると思うと妙にソワソワしてしまって…。年甲斐も

ない話だが、何せ大好きだった「独眼流政宗」だぞ。しょうがないじゃないの。

 試合は普通に阪神が勝った。最初からわかっていることだから、それはよろし

い。ここで書きたいのは、大量得点差の八回から出てきた3番手・太陽のことだ。

大量得点差で負けているときの登板はあっても、反対のケースはこれまでになかっ

た。しかし、気楽に投げられるのは同じこと。まして、相手はもう試合を捨ててい

るのである。すんなりゼロでいくのが普通なのに、代わり端の小関に四球を出し、

続く仁志にも安打されて結局この回2失点。九回にはその小関に一発まで食らって

しまった。大勢には全く影響はなかったが、太陽本人には辛い失点だ。彼は「あす

なき身」の男なのである。

 プロ8年目。期待された大型右腕も、故障などもあり、鳴かず飛ばずでここまで

きた。最後の挑戦とばかりに、今季はサイドに変えた。とにかく、何でもいいから

結果が必要なのだ。こんな試合の登板で、コツコツ普通に無失点を重ねていくこと

しか生きる道がない。なのに3失点。「背番号15」は、いつまでも待ってくれな

い。弱肉強食のこの世界。残った結果がすべて、なのだ。

 しかし、横浜は弱い。マシンガンだったあの頃は、もう帰らない。ああ、ヨコハ

マ、たそがれ…。