中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

偉大なるイチローの考察

2008-01-20 21:53:51 | Weblog
イチローが「メジャー№1のセンター」と認定されたそうだ。この原稿を書く前、ちょっと寄り道してヤフーのスポーツ欄をのぞくと、そんな主旨の外電が掲載されていた。日米通算3000本安打まであとわずかに迫っている、誰もが認める安打製造器。高いレベルで安定している打撃はもとより、その守備範囲の広さ、強肩、そして足の速さをフルにいかす走塁。どれをとっても優れている。こんなにすべてが揃った選手は、メジャーの長い歴史の中でも数えるほどだろう。それが日本人なのだから、彼の地のファンには、驚き以外ないかもしれない。

 イチローというアスリートに関心するのは、日本で完ぺきな成績を残し、オリックスを日本一に導いてからメジャーに挑戦、そこで日本以上の数字を残し続けている点にある。確かに、日本人選手初の「ポスティング制度使用者」になったが、記者は納得がいった。これは、レッドソックスに入った松坂も同じことが言える。さらに、シーズンが終わって帰国してからは、古巣・オリックスの室内練習場で若い選手に惜しげもなく自分の技術を伝授していることも、イチローの奥深さを感じるのだ。もはやメジャーでも伝説と化した存在なのに、それでも飾ることなく、自分を育ててくれた球団に、日本球界に“恩返し”をする。本当に大したものだ。

 彼が自分の殻をもう一枚破ったのは、06年春のWBCだったように思う。もし、あの大会にメジャーで活躍するもう一方の雄だった松井秀喜が参加していたら、あそこまでの活躍ができたかどうか。個人的な見解だが、松井が不参加を決めた時点で、イチローの「今」が約束されていたのいではないか。あの大会で見せた彼の姿は、みなさんご存じの通り。故障に泣き続けているゴジラとは、好対照である。

 さらなる高みを目指して歩き続ける男。どの高さまで行くのか、我々凡人にわかるはずもない。イチロー自身が歩みを止めたとき、はじめてその高さがわかる。おそらく、すべてのものを越えてもまだ、彼は歩んでいくはず。「もういいかな」と思わないかぎり、バットを振り続け、グラブを出し続け、ボールを投げ続け、走り続ける。そんな男だ、おそらく。今年も「BS」に釘付けになるだろうな。

 それから1つ報告。今週の競馬は、完敗でした。「日経新春杯」を現場で見て、凍りついた。まさか、テイエムプリキュアが3着に残るとは…。野球同様、競馬も奥が深い!