思考ダダ漏れ

なんとなく書こう

短文感想『ルパン三世』

2018-08-04 00:52:33 | 短文感想
僕はルパンが好みだが、何だかんだ緑ジャケットの頃が好みで、赤くなってからはあまり見ていない。というのも、赤くなってからは人殺しをせず、弱者に優しいという義賊的なイメージが強いせいか、あまり緊張感がなかったりする。
  勿論、緑と言ってもカリオストロのルパンなんかも剽軽で少し間の抜けた人物として描かれていると思うのだが、あの作品の場合は銭形警部が格好良いので面白いと思う。最後に不二子と協力というのも、自分の正義を貫くための選択というのがまた、賢い印象を受ける。ルパン一味の実力を信頼してこその協力なわけだ。
  さて、この感想に書こうとしているルパンというのは原作版だ。モンキーパンチ版ルパン三世なのだが、このルパンは緑ジャケットの頃よりも、より暴力や性的な印象が強い。まだ、二巻までしか読んでいないが、この感動を書くために垂れ流していこう。
  とにかく女たらしのルパンは美女を見つけると大体セックスする。強姦紛いだったりするのだが、この作品の女性たちはそのテクニックに溺れるか、あるいは、その隙をついてルパンを始末しようとするか、どちらにせよ妙に逞しい女性しか出てこない。ルパン自身「モンキーコミックはえっちだな!」とオチで言い始めたりする。
  こうしたメタ要素も原作はかなり強く、物によってはモンキーパンチと思われる人物がルパンに取材する、という作品もあれば、「モンキーパンチと違って、待ち合わせの時間は守るぜ」というような台詞を言ったりする。作品と作者との独特な距離感がまた、この作品の特徴と言えるのかもしれない。
  そして、何より驚かされるのは、作品同士の時系列の繋がらなさだ。過去のどの話なのか分からないが、ルパンファミリーが乗っ取られている話もあれば、不二子の兄を殺しているせいで不二子から恨まれている話もある。不思議なのは、始めの方こそ協力的な不二子も、二巻目に入るとルパンを殺そうとする展開が出てくる。どうも時系列が異なるらしいことは分かるのだが、その繋がりがいまいち見えてこないせいで、人によっては読みづらさを感じることだろう。
  ただ、これは恐らく僕たちがキャラクターの魅力を軸にした長編漫画を読みすぎた、あるいは氾濫したせいかも分からない。ルパン三世は基本的に一話完結型の作品で、必ずルパンが登場する(二巻後半になると次元もよく出てくるようになるが、アニメとは異なり、相棒ではあるが(それも半ば自称気味なのだ)少し間抜けな役となっている)が、それ以外の人物はその物語を構成するためにだけ存在しているように見える。その不思議な雰囲気が(メタ要素、日本離れした絵柄も相まって)独特な世界観を形成しているらしい。ルパン三世はルパンがいかに格好よく魅せるかという作品ではなく、作者がルパンを用いてどうやって読者を驚かせてやろうか、という少し実験的な作品ではないか思われる。
  よくこのような作品が(といって、アニメ版は全く別物と思った方が良さそうだが)人気になったものだ。