
今年のジロ・デ・イタリアは第18ステージを終えていますが、総合TOP10内には末尾が「1」のエースは半分以下の4名だけとなっています。第17ステージではゼッケン「1」のレッドブルのエース・プリモシュ・ログリッジが、第18ステージではUAEのエース「201」のフアン・アユソが相次いでリタイヤとなっているからです。

レース前は2強とまでいわれた二人のエースが次々と脱落して行ったのはただの偶然なのでしょうか?ログリッジに関しては昨年のツール・ド・フランスでも落車で途中リタイヤしていますし、アユソも新型コロナの感染でリタイヤしているのです。勿論、ツールではUAEのエースはポガチャルでしたから、UAEにとっての影響は最低限に抑えられていましたが、レッドブルは事情が違いました。

その後、ブエルタで意地を見せたログリッジでしたが、今年のジロも落車の影響でリタイヤ。往年の名プレイヤーもピークが過ぎると落車が増え、グランツールの優勝から遠ざかって行く傾向が顕著なのです。ログリッジはおそらくその域に入っているのかもしれません。

一方のアユソは今季ティレノ・アドレアティコまでは絶好調で、個人的にもマイリアローザの期待が高かったのですが、蓋を開けると1度もマリアローザを着ることも無く、レースを去ることになったのです。アユソに関しては3週間のグランツールを戦える安定感に欠けるように思えます。1週間程度のステージレースには滅法強いのに、それが3週間のグランツールではなかなか結果が残せないのには、何か根本的な問題があるのではないでしょうか?ポスト・ポガチャルの最有力選手として期待が高い選手だけに、このままだとUAEに留まるのは難しくなるかもしれません。

今年のジロはアユソより若いデルトロがここまで10日間マリアローザを着続けているので、アユソの存在感自体が薄くなっているのも事実です。デルトロのゼッケンは「204」で、明らかにアシストの位置づけだったはず。実際にティレノ・アドレアティコではアユソの総合優勝をサポート、イリッア・バスクカントリーでもアルメイダの総合優勝にアシストとして貢献していたのですから。

クラシックレースでもミラノ・トリノを勝ち、ミラノ~サンレモでも13位と健闘を見せていたのですが、まさかジロでマリアローザを獲得し10日間も着続けるとは予想外の活躍です。これまではアユソというエースがいて、気持ち的にも楽だったのでしょうが、第16ステージでエースのアユソが大きくタイムを失い、自らも遅れ28秒差にまで迫られ、マリアローザもここまでかと思われた第17ステージでは自ら仕掛けてステージ優勝を挙げるあたりにポスト・ポガチャルはこちらというアピールには十分でした。

末尾に「1」を持つエース達は勿論ですが、リーダージャージを着るのもプレッシャーなはずなのです。TOP10に今残る末尾「1」のエースは、総合2位のカラパス、4位のデレク・ジー、6位のエガン・ベルナル、10位のマイケル・ストーラーの4名のみで、逆に末尾「1」のエースを失っているチームが5つもあるのです。