goo blog サービス終了のお知らせ 

CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

SHARE THE ROADを考える(1)

2024-03-18 11:49:18 | 自転車通勤
 今回の道交法改正案は自転車の青切符ばかりが注目されていますが、実は第18条「左側寄り通行等」の第3項には「車両は、当該車両と同一方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道または自転車道を通行しているものを除く)の右側を通過する場合において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。第4項では「前項の規定する場合においては、当該特定小型原動機付自転車等は、出来る限り道路の左側に寄って通行しなければならない。」という規定が追加されているのです。しかも、罰則規定も設けられているのですが、これが意外にも知られていないようです。https://www.npa.go.jp/laws/kokkai/20240305-01/04_sanshoujoubun.pdf
 これは昭和35年に制定された同条第2項の「車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。」という規定が65年振りに改められることになるのですが、そのことはほとんど報じられていないのは残念です。今の道交法では「歩行者の側方」とあるだけで「自転車はそれに準ずる」という解釈がされているに過ぎない存在だったのです。

 今回の道交法の改正はこの第18条の改正が土台にあって自転車の青切符(罰則規定の追加)があると考えるのが妥当だと思います。ただ、ひとつ残念なのは「十分な間隔」や「安全な速度」の定義が曖昧なことです。できるなら、今国会の中でここを欧州のように明確に定義することができないかも審議してもらえることを期待しています。それでも、この規定がドライバーに徹底されれば、今よりは自転車の車道走行は安全になると思います。
 欧州では自転車は車道を走ることを前提に車から自転車を守るという発想に進んでいるのですが、この国では自転車が安心して安全に走る空間すら無いというのが実情なのです。自転車に赤切符が導入された平成27年頃から、この国でも「SHARE THE ROAD」という言葉が取り上げられるようになり、私自身も期待を膨らませたことを良く覚えています。しかし、やはりこの国では道路は歩行者と自動車のもという考え方から脱却できずにいるようです。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自転車に乗る前に読むブログ(2)

2024-03-15 12:03:20 | 自転車通勤
 今回青切符の対象とされる自転車の違反行為は、自転車乗りにとって何が危険な行為なのかを実感している私たちロードバイク乗りからすれば守って当たり前のルールなのですが、交通事故件数が減っている中で、自転車関連事故割合が増えているのは、自転車に乗ることのリスクを知らない人が増えているからなのかもしれません。
 これは、自転車の進化に対する理解が無いことが原因のひとつだと考えています。その最たる例が電動アシスト自転車の登場です。電動アシスト自転車をママチャリと同じ感覚で乗るとどうなるか?とにかく加速が楽で速いことに驚かされます。このことを知らずに、歩行者と電動アシスト自転車の出会いがしらの事故が多発した時期がありました。今後は電動キックボード等でも同様の事態が想定されます。
 自転車機材の進化もあり、スポーツタイプの自転車の性能が上がり、スピードが出るようになっています。また、チェーンやブレーキの音も極めて小さくなり、背後から来る自転車に気付かないことも多くなっています。ママチャリやシティサイクルもフレーム素材や機材の軽量化で変速機が無い自転車でも楽に20km/h以上で走れてしまうのです。

 唯一の救いは自転車保険への加入義務化が進んで来ていることでしょう。保険加入率も65%程度に達しているようですが、未だ35%もの人が未保険で自転車に乗っているのも実情です。未保険で人身事故を起こしてしまったら大変なことになる事は自転車に乗るリスクのひとつといってもいいでしょう。流石に億ということは無いと思いますが、数百万円から数千万円の補償が求められるケースは当たり前です。

 自転車が絡む事故も自動車と同様に交通事故扱いとなり、医療保険の適用が為されないからです。このことを知らない人が意外と多いのです。それは、この国では自転車は歩行者感覚で考えられているからでしょう。自転車はあくまでも車両であり、歩行者とは明確に違うものという実感が国内でもっと醸成されていかなければならないでしょう。そうしなければ、いつまでも自転車は車道を走る乗り物だという認識には至らないのではないかと私は感じているのです。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自転車に乗る前に読むブログ(1)

2024-03-14 11:10:46 | 自転車通勤
 以前、このブログで自転車に乗る前に読む本 生理学データで読み解く「身体と自転車の科学」という本の紹介をしたことがあります。この本は自転車に乗る事がいかに健康に有益かを科学的に解説したものでしたが、自転車に乗るリスクについては触れられていませんでした。
 「自転車に乗る前に…」考えなければならないのはそのメリットだけでは片手落ちで、そのリスクも同時に考えなければならないでしょう。著者の論点が明白なので、この本自体が片手落ちだと言っているのではありません。自転車は交通ルールを守り、車道を走ることが大前提として書かれているはずです。
 ところが、実情はどうでしょう?相変わらず歩道を走る自転車は後を絶たず、中にはスマホを見ながら走っていたり、車道を逆走したりする姿も見られるのも実情です。昨年からヘルメット着用が努力義務化されたとはいえ、実際にヘルメットを装着している方が珍しい…

 先日、自転車にも青切符を適用する道路交通法の改正が閣議決定され、2026年度中の施行を目指すという報道もありましたが、免許の必要ない自転車に青切符を切る判断をしなければならない警察官の負担は相当なものになると思います。現状は平成27年の道交法の改正で悪質な違反には赤切符が導入されていますが、悪質な違反に限られていて、実効性には疑問が残ったので、青切符にしてみましょうといった感じです。
 ロードバイク乗り個人としては法整備だけでは不十分だと感じています。何故なら、本当にこの国で他の国のように自転車は車道だけを走ることができるのかという疑問が残るからです。本来車道を走るのが当たり前の軽車両である自転車が昭和45年の道交法改正で一部例外的に歩道を走ることが認められ、狭い国土と車社会の中で、自転車は歩道を走るのが安全と考えられるようになり、今に至っているからです。
 昭和45年(1970年)から半世紀もの間続いていた習慣ともいえる行動が、そう簡単に変えられるとは思えないのは私だけではないでしょう。これは実際に自転車に乗って車道を走り、側面を大型車両や高速車両が走り抜けるという状況を体験してみないと分からないのかもしれません。そんな危険な所を自分は勿論、幼い子供や高齢者を走らせる事など危険きわまりないと考えるのは当然のことだと思います。自転車に乗る前に考えておくことは「自転車はそういうリスクのある乗り物」だという認識だと思います。自転車は僅か数kgから十数kgの無防備な2輪車なのですから…
 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自転車への青切符を考える(4)

2024-03-12 14:35:28 | 自転車通勤

  自動車産業が国の基幹を担っている日本では、脱酸素化は自動車の排気ガス規制や、ハイブリッド技術など世界最先端の技術で世界をリードしているので、自動車に不自由をしいてまで自転車の利便性を図る必要性を感じていないのかもしれません。日本では「歩行者優先」という原則が徹底され、対自動車に関しては確かに歩車分離政策が進み、歩道の整備や拡幅は進められていますが、未だ十分とはいえず、欧米諸国と比較して,全死者数に占める歩行中の死者の割合が高く,また,人口当たりの歩行中の死者数も多いのが実情なのです。
 ただ、事故の発生状況をみると、車道横断中の事故が70%以上と圧倒的に高く、歩道の整備や拡幅の遅れだけが要因ではないことは確しかです。車道の整備が進み、信号機がこれでもかというほど多い国は欧米でも類を見ない国で、なぜ道路横断中の事故が多いのか、これはドライバーの遵法精神が低いといった問題ではないと思っています。
 欧州の自転車先進国ではむしろ信号機が少なかったり、シンプルだったりするのが一般的ですし、交差点も日本のような十字路ではなく、円形交差点が多いことも特徴でしょう。日本人は信号機に慣れ過ぎているため、信号機がない交差点や道路上での歩行者を見落とす事故が多発しているのです。欧米ではそもそも信号機が少ないので、普段から「歩行者優先」を意識徹底せざるを得ないのです。日本でも信号機の無い横断歩道を通過する際の道路交通法上の規則はしっかりと定められているのですが、あまりにも信号機に慣れ過ぎているため、信号機の無い横断歩道や交差点に意識がいかないことが多くなるようです。
 車の免許を持っていてもこのようなことが起きているのですから、免許を持たない、道路交通法を良く知らない人が自転車に乗ればどうなるか?しかも、その自転車の性能が上がりスピードが出る乗り物になっている状況を加味すれば、交通事故における自転車の占める比率が上がるのは必然だといえるでしょう。
 個人的には学校教育の場にスポット的に導入されている自転車教育を義務教育の一環としてカリキュラムに組み込んでも良いのではないかとさえ考えているのです。本当は欧州のような都市計画が理想なのですが、費用も時間もかかり過ぎるので、即効性がありません。今回の法整備をベースにした自転車教育を小学校の3・4年生くらいから始め、車の免許を持たない人にも道路交通法の基礎や理念を理解してもらえれば、交通事故は確実に減らせるはずです。法律に関しては社会科で実技は体育の授業で、自転車の整備や修理は技術家庭科で分担するのも一案です。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自転車への青切符を考える(3)

2024-03-11 09:00:03 | 自転車通勤

 欧州の主要都市で、高齢者を含めた「すべての人がストレスなく動ける都市づくり」を目指し、総合的な都市交通計画の立案と都市計画の見直しが進んできたきっかけとなったのは、欧州委員会エネルギー・運輸総局の施策「CIVITAS(City-Vitality-Sustainability/ Cleaner and Better Transport in Citiies)」です。
 2002年にスタートしたこのプログラムは、車依存社会からの脱却を前提に、歩行者、自転車、公共交通、そして自動車の順で「交通の優先権」を決め、それに従って「道路空間の再配分」をするという街づくりを促進しています。その結果は、環境対策、また高齢者の健康維持・増進の手段としてのみならず、街の活性化にもつながるというものです。
 欧州の多くの都市が、「車を運転する人の目線とは全然違う、自転車利用者の目線」での街づくりや、自転車走行空間の拡充・整備に力を入れているのが大きな特徴です。日本の政策に最も欠けているのがこの「自転車利用者の目線」だと思っています。
 ロードバイクで車道を走り始めると感じることのひとつに、郊外に出るまでは意外と走る場所が無いということでした。北海道は道幅も広く走り易いと思われがちですが、街中は意外と走り辛いのです。近年、札幌市内では路側帯を削って歩道の拡幅が当たり前のように行われているのです。また、融雪溝が車道に敷設されている所も少なくありません。春先は歩道に撒かれた滑り止め砂が車道と歩道の間に砂溜まりを作ったり、寒暖差で凹凸する雨水桝やマンホールに加え違法駐車の車両等々、これらを避けつつ車道を走るのは容易なことではありません。
 札幌の中心部にも近年自転車専用レーンが増えつつありますが、ほとんどが道幅の広いメインストリートにあり、ほとんどがバス路線です。せっかくの自転車専用レーンがあっても、大きなバスが止まっていては意味がありません。ほとんどの自転車利用者は広い歩道を走っているのが現状なのです。これがこの国の実情なのだと思います。圧倒的に「自転車利用者の目線」が欠けているのです。
 大阪や東京などの都市部で自転車専用レーンが増えつつあるとはいえ、欧米のそれとは規模が違います。ニューヨークでは2007年以降400km以上整備され、自転車通勤者がほぼ倍増しているのです。かつてロンドンは「欧州最悪」と言われるほど自転車に優しくない街でしたが、地下鉄テロやロンドンオリンピック開催などを契機として、市内の自転車レーン網、郊外と都心を結ぶ通勤目的に特化した「サイクルスーパーハイウェイ」、市内全域をカバーするシェアサイクル「バークレイズサイクルハイヤー」を整備するなど、短期間で自転車先進都市へと変貌を遂げつつあるのです。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする