京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

「恋歌」/朝井まかて

2013-12-17 | Book

「恋歌」/朝井まかて(講談社)

 

 

幕末から明治の動乱の時代に、一人の志士への愛を貫いた女の物語。
少しばかり、今までの筆者のタッチとは異なり、
土臭さよりも血なまぐさい描写が
多用される。

“生きる”いうこと、“愛する”ということを真正面に捉えている。
その中心に居たのは、樋口一葉の師としても知られる
明治の歌人・中島歌子だ。

歌子の部屋で、教え子の三宅花圃が手記を発見する。
それは優しくおっとりとした
恩師からは想像出来ない激しい恋とその顛末。

そもそも裕福な商家に育った歌子(本名・登世)は、強い意志をもって
初めての恋を貫き水戸藩士に嫁ぐ。 しかも、彼女の夫は天狗党の志士。 
水戸藩の中で、天狗党と諸生党の2派が対立する。 それは藩士だけに
止まらず、血を引いた全ての
家族(一族)までもがいがみ合う有様だった。


賊徒の妻として捕らわれ、周りの老人・女・子供が次々と処刑されてゆく。

時代が時代だけに、夫に自らの運命も左右され、言葉にできない不自由も、
愛する夫の生き様を信じることしかできない。
囚われて、そこで見た絵図は魑魅魍魎。 それでも生きる術を
あらゆることで見出しながら、夫の安否も気にしつつ、
誰よりも生きて夫に会うという信念を貫き通す。

生々しい描写とは裏腹に、生きて生きて一目でも夫に会いたい一心。

最後まで捨てずに貫き通したからこそ、最後まで読み進めることが出来た。
著者の今までのユニークで可笑しい物語ではなく、180度違った味わいに
なっている。 好きかと問われれば、この作品よりは
今まで読んだ作品の
方が親しみ易いだろう。


さく梅は風にはかなく散るとても にほひは君が袖にうつして

 山吹の実はなきものと思へども つぼみのままに散るぞ悲しき

 ひきつれて帰らぬ道をゆく身にも やまとごころの道は迷はじ


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (サッチー)
2013-12-17 09:45:03
このように激しい生き様を出来る女性は
現代にも存在するのでしょうか?

本を読まずとも情景が浮かびます。

激しく、一筋に生きてゆく対照が一人の男性・・・
そんな素晴らしい男性も現代に存在するのかな。
そんな激しく強く人生を送った女性は幸せだったのでしょうね。刺激になりました(*゜▽゜*)
返信する
機会があれば~ (cyaz)
2013-12-17 12:28:09
サッチーさん、コメント、ありがとうございますm(__)m

>このように激しい生き様を出来る女性は
現代にも存在するのでしょうか?
まず、いないでしょうね(笑)
最近観た映画で『すべては君に逢えたから』の
倍賞千惠子さんのような人なら(笑)

>激しく、一筋に生きてゆく対照が一人の男性・・・
そんな素晴らしい男性も現代に存在するのかな。
愛情の形はそれぞれでしょうけどね^^
男女同権の下では無理かも(笑)

>そんな激しく強く人生を送った女性は幸せだったのでしょうね。刺激になりました(*゜▽゜*)
機会があれば、この著者の作品、読んでみてくださいね^^
返信する
Unknown (misachi68)
2014-05-19 23:34:24
こんばんわ(*^^*)
TBありがとうございました!
残酷な事件のなかでもひたすら愛する人を
思い続ける主人公に胸打たれました。

朝井まかてさんの作品は初めてだったのですが、
彼女の他のオススメ作品をできれば教えてくださいませ。
返信する
朝井作品~ (cyaz)
2014-05-20 08:35:52
misachi68さん、コメント、ありがとうございますm(__)m

>残酷な事件のなかでもひたすら愛する人を
思い続ける主人公に胸打たれました。
そうでしたね^^

>彼女の他のオススメ作品をできれば教えてくださいませ。
この作品は少し朝井さんの作品のテイストとは違った
印象を持ちましたが、他の作品オもどれも読みやすくて
面白いですよ!
返信する
「恋歌」 (motoko)
2014-06-29 17:34:44
cyazさん 

TB有難うございます。

昨年の12月に、すでに読まれていたのですね。
受賞するまで、朝井まかてさんのお名前も知りません
でしたので、作品も恋歌が初めてでした。
内容が詳しく書かれています・・・。

「ぬけまいる」「すかたん」など、求めて読んでみたいと
思っています。
返信する
ぜひ~ (cyaz)
2014-06-30 08:36:17
motokoさん、コメント、ありがとうございますm(__)m

>受賞するまで、朝井まかてさんのお名前も知りません
でしたので、作品も恋歌が初めてでした。
そうでしたか^^
でも、この人の作品はオススメです^^

>「ぬけまいる」「すかたん」など、求めて読んでみたいと
思っています。
ぜひぜひ^^
返信する

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