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アンリ・ミショー「 ムーヴマン 」1950年

2016年11月22日 | アート
アンリ・ミショー「 ムーヴマン 」1950年

私の生まれる前にすでに世界では認められていたのに
日本ではあまり知られないままになっている芸術家をご紹介をさせて頂きます。
下にある「 ムーヴマン 」と云う1950年に描かれたドローイングをご覧になっていかがですか?
黒インクでササッと描いたようなドローイングですが、作者はもともと詩人です。
芸術家でもあるアンリ・ミショーさんの1950年の作品「 ムーヴマン 」です。

ミショーさんはベルギー生まれのフランスの詩人でした。
それが、特異なイメージや内面的風景をそなえた詩によって、
またアンフォルメルの先駆けとなった絵によって、
20世紀の文学と美術において独自の地位を占めました。
長らくブランショやピンチョンと同様の「顔のない作家」だったのですが、
晩年にはブラッサイによってポートレイトも公開されています。

ある意味でいかなるフランス詩人よりもシュルレアリストだといえますが、
運動自体にはまったくかかわっていません。
この頃のミショーさんは文学には取り組んでいましたが、絵画に対しては実は
「忌まわしい現実の反復」だとして嫌悪の念を抱いていたのです。
それが1925年にクレーやエルンストらの作品に触れたことで、
対象の再現にとどまらない絵画の可能性に目覚め、絵の制作にも創作意欲を向けるようになります。

詩を書くことと絵を描くことのどちらもミショーさんの創作において重要なものになりました。
のちにその違いを表現して、書かれた文字は「ねばねばする相棒」「すべてがあとから、あとからやってくるもの」であり、
デッサンは「生まれたばかりのもの、生まれつつある状態、無心と驚きの状態にあるもの」だと述べています。



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