『衝撃の桑原！永吉の口が臭い！』
穏やかに晴れた休日。
久々にバイトが休みの日曜を満喫しようと普段より
二時間ほど遅く桑原和真は寝坊した。
寝ぼけた頭に階下から届くのは
寝食を共にする愛しの雪菜の声(あと姉の静流の声も。)
「・・・今日は私もバイトがお休みなんです。」
「あの馬鹿も休みっつってたね、・・・どっか遊び行ったら？」
「ええ・・・・それもいいですけど。」
ふふっと笑う雪菜の声に桑原は身悶えた。
「和真さんと一日ゆっくりするのも素敵かなって。」
もう駄目だ。幸せ過ぎる！
桑原は自分の首の上で身体をだらりと伸ばし
寝言をぷうぷう言いながら眠る愛猫永吉を抱き締めた。
柔らかな腹毛の匂いを深く吸い込む。
突然の行動に、驚いた永吉がみゃ〜！と威嚇したが何処吹く風だ。
「永吉〜オレぁもういつお迎え来ても笑っていけるぜ〜」
みゃ〜からしゃー！に変わった永吉の声も無視し笑いながら自分の
顔を永吉の顔に近づける。
「・・・ん？・え？は？」
がばっと起き上がり両手で捧げ持ったままの永吉を見上げる。
「・・・永吉・・おめー・・・」
低い声で攻撃すっぞ？と表明する永吉を桑原は涙を流しながら見つめた。
「口・・・くせーなあ・・・」
『年をとるとにゃんこは口臭がするこもいるにゃ！』
『へー、知らなかったな。』
『りーなちゃん？！こんなの基礎知識にゃ！可愛い猫アイドルなら
知ってて当然にゃ！』
『・・・いや私猫アイドルじゃないし』
『にゃー？！まだそんなこと言うにゃ〜？！』
・・うちの猫さん達も臭いですよ。と雪菜はテレビ画面に向かって返した。
『徹底討論！躯VS螢子！チョコクロワッサンに固まりのチョコは必要か否か！』
テーブルを挟んで睨み合う女二人。
テーブルの上には最近幽助の家の近くにオープンしたパン屋の
人気メニューチョコクロワッサンが皿に置かれている。
楽しげに螢子と躯がパン屋から帰って来カフェオレを幽助が淹れて
さあ食べましょ！飛影お前いつまで寝てんだホラ起きろと始まった
平和なブランチ。
あ、このカレーパンうめーやらパンが焼きたて過ぎて上顎痛いやら男子二人が言い。
デニッシュサクサクで美味しいとかパニーニのチーズモッツァレラチーズか！
やるな！あのパン屋！とか女子二人も盛り上がり。
何の問題もなく和やかに終わりそうだった食事の空気が一変したのは数分前。
デザート代わり！と螢子がチョコクロワッサンを並べ躯が一口齧った、瞬間。
「・・・ないわ。」
「え？」
「チョコクロワッサンてのは生地にチョコを練り込むモンだろ。
なんで固まりのチョコが入ってんだよ・・・ないわ」
その発言にカチンと来たのか螢子が言い返す。
「チョコクロワッサンにも色々な種類があるんです。
チャンクのチョコなんて最高じゃないですか。」
「柔らかいパンだけだと思わせといてチョコの固まりが入ってると
脳が混乱するだろ？」
ばん！と躯がテーブルを叩く。
「かっちかっちのチョコじゃないじゃない！
半分融けてるんだからいいでしょ！」
螢子もテーブルを叩く。
ヒートアップする女子に冷めた視線を送りながら飛影は呟いた。
「くだらん。」
「まーな、くだんねーよな。どっちだって良いっつの。
オレどっちかっつーと米派だし。」
食べ終わった皿を流しに片付ける幽助にならい飛影も皿とマグカップを
重ね頷く。
「オレも米のが良い。」
「だよなー？パンだと食った気しねーよ。」
「・・・握り飯のが美味い。」
「なー！」
こんな話題で友情を再確認した幽助と飛影は軽く笑い合った。
(飛影はいつもの『・・・フッ』てヤツだが)
「やっぱツナマヨとか最高だよな！唐揚げマヨとか鮭ハラミも！」
飛影の眉がピクリと上がる。
「・・・貴様、バカか？」
「は？」
「握り飯と言ったら鮭昆布肉味噌だろうが。」
「は？なんだよ肉味噌って？
普通そんな具容れねーよ。何処のコンビニだよ？」
幽助の言葉に飛影は口端を吊り上げる。
「・・・『かていのあじ』を、知らんなら知らんと言え。」
「あ？何だてめぇ？！
握り飯くらいオフクロだって作れるっつーの！」
「酒臭い握り飯か。」
フフンと優越感を醸し出す飛影に幽助はイライラを募らせて行く。
「・・・てめぇいい加減にしろよ。」
「ツナマヨやら唐揚げマヨやらはコンビニ飯だろう。
かろりーの摂り過ぎでせいじんびょう一直線だな。夜中のビールと
揚げ物は今はともかく将来的にはめたぼ予備軍だ。」
誰かさんの受け売りなご高説を宣う飛影。
「食事はバランス良く食うべきだ。」
「てめぇべらべら喋ってっけどいつもじゃねーだろ！
蔵馬んちか黄泉んちか蔵馬のかーちゃんに飯食わして貰ってる時だけだろ！
百足は肉と炭水化物だけだろ(トップの好みです)！」
「・・・ソンナコトハナイ。」
「こっち見ろや！てめぇ！
大体な！働いてる癖に食費も入れねーっておかしいだろ！」
「・・・しょくひとはなんだ。」
本当に知らなさそうに聞き返す飛影に幽助は溜め息をつく。
「おまえの分の飯代だってタダじゃねーんだよ。
材料費だって光熱費だってかかってんだよ、金稼いでるならせめて
一万くらいは家に入れろよ！」
「・・・気にするなと三人共言うが。」
「社交辞令を間に受けてんじゃねー！」
「何盛り上がってんだアイツら。」
「さあ？」
一頻り言い合った躯と螢子は隣でぎゃいぎゃい騒ぐ男子にやっと目を向けた。
まあ、きっと下らない理由なんだろう。と頷きあう。
「・・・なんかちょっと腹へったな。」
「そうですねーなんかちょっと。」
「食いに行くか。」
「何食べます？」
「肉食いてぇ肉。」
「駅ビルに入ってるアメリカ資本のダイナーのハンバーガー
もう凄い肉感ですよ、行きます？」
「行く！」
きゃあきゃあと楽しそうに玄関に向かう女子を男子は
無言で見送った。
お前等いくらなんでも食い過ぎだとは口が裂けても言えないので。
『黄泉傷心！白髪があかん場所に！』
はー、と聞こえた溜め息は何回目か。
気にして欲しいからやっているのかそうでないのか。
ついでに雰囲気も暗い。
「あー、黄泉。」
呼びかけに振り向く動作まで遅い。
「・・・ああ何だ、九浄。」
「何だはこっちの台詞だ。
何かあったのかお前。」
と言ってもコイツが落ち込む理由なんて蔵馬の事か修羅の事だ。
多分修羅にパパ嫌い！と言われたとか蔵馬にあんまりしつこいと
別れるから！と言われたかだろうと予想はつく。
もの凄く暗い調子で黄泉は吐き出した。
「白髪が・・・」
「は？」
「白髪があった・・・」
ああ、と思わず九浄は視線を黄泉の頭に向けた。
まだ千歳と少しなのに白髪はキツいなと。
「でもアレだろ？
お前子供居たり国を真面目に治めてたり気苦労多いから
仕方ないんじゃないか？」
後輩を労る優しい先輩面で黄泉の肩に手を置く。
「気苦労・・・・」
「お前んとこには美人ちゃんもいるしな。」
大変色々な意味でおモテになる狐さんだ。
そりゃ気苦労も多いだろう。と九浄は一人ごちる。
「・・・気苦労が多いとそうなるのか？」
「ん？」
「白髪があったのは頭じゃない。」
九浄の視線が下がりある一点を凝視する。
「・・・此処か？」
「此処だ。」
見えねーのに何で解んだと聞こうとして九浄は口を噤む。
「・・・蔵馬が昨夜。」
悲しそうな黄泉から離れると九浄は
窓を開け放った。
どんよりとした風が短い髪を揺らす。
遠くの山を見る。背後では黄泉が悲しげな雰囲気で立っている。
一つ。
爽やかに九浄は笑った。
ーおまえの毛に白髪があるのはアレだがそれを発見したのが
美人ちゃんだと言うのは何かムカつくから孤光あたりにバラしてやる
と腹の中で決心しながら。
〜終！
友情出演前川みく 多田梨衣奈！←ごめんなさい。ついでにりーなちゃん
漢字間違えてたらごめんにゃ←死んだらいい。
油断している時のにゃんこの口臭マジパねえ。
躯と螢子はこんな感じで仲が良いと良い。
白髪はね、うんさんじゅうごさい過ぎると増えるから・・・
romantic souljaさん、コメント有難う御座います。
三本頑張ってみました。
あの、実は昨日の予告たまにやる嘘予告なんです(´Д⊂ヽ
すいません。でも書いて見ました。人間出来ないことはない！
