DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発S S 昼餐

2020-12-14 12:04:43 | 妄想黄泉×蔵馬SS
「………」

テーブルに用意された昼食にも手を付けず腕を組み、いっそわかりやすいくらいに
『自分は機嫌を損ねているぞ』とアピールしている。
が。
子供や十代の若者ならばそのアピールも微笑ましく可愛いくはあるのだが、いい歳した
大人がそれをやるのは如何なものか。

紅茶を飲みながら蔵馬は半目で不機嫌アピールをかます黄泉を眺める。
何が原因かはわかってはいるが、そんなに悪いことをしたつもりはない。
ただ、言い出すきっかけがなかっただけで、黙っているつもりはなかったのだし。
ほんのひと月幽助と暮らすのの何がいけないと言うのだ。
彼の住んでいるアパートが大規模修繕を行う期間だけの同居だと言うのに。
このご時世、短期で入居出来る住居は少なく、あったとしても割高か、設備が悪いものばかり。
懐の余裕のあまり無い可愛い年下の友人が困っているのならば、部屋の一つくらい
貸してやっても良いではないか(部屋は余るほどあるのだから)。

それに。
幽助の活動時間は夕方から昼の十時くらい迄で、自分とはすれ違う事が多い。
同じ家に住んでいるだけでろくに話す時間も殆どない。
だから、黄泉と修羅がこうやって自分の家に泊まりに来ても翌朝まで顔を合わせる
ことなく過ごしていたじゃないか。
なにが不満だと言うのだろう。
心の中で首を傾げ蔵馬は考える。
幽助には何を邪魔された訳でもなく、今だって週に一度の貴重な休みだと
言うのに、修羅を遊びに連れて行ってくれているのだ。
(涙が出るほど良い友人だと思うんだけど)

(…さて、どうしたものか)
突然幽助に告げられた同居宣言に言葉を無くしたものの、実は黄泉は怒ってはいない。
こちらに一言も無しでの同居開始とはいえ、蔵馬から事後承諾を
求められるのは慣れているし、二人の間に何もない事くらい聞かずとも分かる。
ーなにも無さすぎて逆に幽助が可哀想なくらいだ。
と、言うよりも。
もし蔵馬が自分以外の誰かと懇ろになったとして。
それを咎める事が出来るような間柄なのだろうかと、先程から黄泉は考えている。
周囲からは恋人や夫婦に準じた関係だと思われているが、
別に言葉や約束を交わして始めた関係ではない。
ただなんとなくお互いがお互いの隣に在るのが『都合良く』なり、
それが『居心地が良い』に変化、よく言えば自然と、悪く言えばなし崩しに
始まった関係なのだ。
数時間前に黄泉はいつ何時この関係が崩れてもおかしくないと、
今更だが気付いてしまった。
そして。
この関係を絶対に崩したくないと、例えそれを蔵馬本人が願ったとしても
崩されたくないと強く願う自分にも。

広く世間に二人の関係を知らしめ蔵馬を縛るのは嫌だ。
嫌だけれども、二人の関係を盤石なものだと周知させたいとも思う。
しかし契約を結ぶのは違う気がする。
(……それに何よりも先に伝えてない言葉があったな)。

そんな事を考えているうちにも、昼食は冷めていく。
豆腐サラダは乾き、炒めた肉は脂が浮き、野菜からは水分が滲み出してゆく。


黄泉がようやっと箸を取り、冷めた昼食を口にするには
あと三時間後。


〜六月に書いた話の続き。
完結まで半年かかるとは思わなんだ。
別ジャンルに燃えてるから幽白もーいっか〜!
とかではなく、色々ありまして書く気力が湧かなかっただけです。
半年振りに文章書いたので変な感じですが。
年内はあとpixivの方に一本と
こちらでアラサー螢子さん、サイトで短編一本くらいの予定です。










突発SSS ひとりごはん

2019-06-16 10:12:01 | 妄想黄泉×蔵馬SS
冷蔵庫を開ける。
普段買い物をしないせいか中には大した物は入っていない。
先週飛影が家出して来た時に慰めるため買った
ランチョンミートの残りがラップに包まれているのに
気付いたが、それを腹に入れる気分ではない。

「……」
軽いもので良いのだ。
寧ろ軽くないと駄目だ。
戸棚の中には8枚切りのパンが一枚。
焼く……気分ではない。
何かを挟む……気分でもない。
「……」
包丁でパンを二分割し
黄泉が勝手に常備しているインスタントのスティックコーヒーを
カップに入れ湯を注ぐ。
「いただきま」
「雑!!」

わなわなと震えて宙に浮かんだ櫂に乗った
霊界案内人は叫びながら窓の中に飛びこんだ。
「雑だよ!?
雑すぎないかい?あんた!?
いつももっとちゃんと御飯作ってるじゃないか!
倒れちまうよ!」
涙目で詰め寄る知人に蔵馬は首を傾げて言った。
「自分一人ならこんなものですよ?」
「御飯の支度に疲れたお母さんみたいな事言ってんじゃないよ?!」


〜一人ごはんはこんなものなうちの蔵馬さん。
一緒に食べる人いなきゃ(普通の食事は必要ないので)
チョコ一欠片とかですましてそう。
黄泉蔵要素としましては
黄泉様が蔵馬『の』家に自分の嗜好品を常備している所です。

四部作じゃん、馬鹿じゃん

2019-01-03 19:04:41 | 妄想黄泉×蔵馬SS
としか言えませんが。
pixivにて
正月連作 後編
     後編 続編
アップしてます。


後編続編はR18です。
蛭子能収を見ながら黄泉蔵書くのは
至難のワザでした😫😫

後編不完全燃焼だったんで
このままじゃ黄泉様も蔵馬も可哀想!
と頑張りました。(ばーか)


これで心置きなく出川の番組見れます!
出川!好き!!



二十年前は出川好きになるなんて思ってなかったよ〜
人間て変わるものね。

突発SSS クリスマスといふものは

2018-12-24 20:06:19 | 妄想黄泉×蔵馬SS
子供達のはしゃぐ声がする。
キッチンからは揚げた鶏の匂いや酢飯の香りが漂う。
料理の音の間にひそやかな会話も。
「冷えて来ましたね」
窓の外に顔を向けて呟いた黄泉の言葉に驚き畑中は吃りながら返した。
「そそそそそうですね!」

何故今年のクリスマスイブにこの人が我が家に居るのか
畑中には解らない。
彼には長男とこの長身の妖怪が未だどんな関係か朧げにしか
理解出来ていないが黄泉が長男を大事に思っているのだけは
良く解る。
ふらりと何処かに消えてしまいそうだったあの子を黄泉さんと
修羅くんが引き留めてくれたの、と妻である志保利は語った。
畑中もその意見には同意する。
『いつかいなくなってしまいそうだなあ』と畑中も長男について
そう考えていたからだ。

が、それはそれとして。
何故長男と黄泉と修羅が畑中家のクリスマスに参加しているの
だろうか。
パーティーにかかる費用は黄泉が全て出したからその点で文句を
言っている訳ではない。畑中の息子秀一もクリスマスイブに
長男家族と過ごすのを楽しんでいるし妻もそうだ。

…………でもここ数年は長男達は自分達とは別行動だったじゃないか。
友人達とどこかのお寺でパーティーを開くとかで。
なのに何故今年は自分達と過ごすのだろう、と畑中は悩む。
黄泉が苦手だから二人でリビングのソファセットに座ってるのが
嫌だからではない。…………多分。

悶々と悩む義理の父の考え等気にもせず、黄泉は楽しげな
修羅と蔵馬の声を聞きながらしみじみ頷いた。

誰にも邪魔されないクリスマス。
ちょっとこ狡いが蔵馬の家族と開くホームパーティーに
参加させろ!とは奴らも言い出さないだろうと考えたが
それはアタリだったな、と。
今日はこちらに泊まる予定なのでなにも出来ないが
そのぶん穏やかな時間を過ごせるな、と。




〜クリスマスに歯が欠けたよ記念。(本当です😫)
去年一昨年とみんなで騒いだクリスマスなので
言葉は畑中家とファミリークリスマス。
修羅は志保利さんと一緒に寝る予定ですが、流石の
黄泉様も義理の両親居る家では蔵馬に手を出さないと思いたい。

……そんなこと言ってますがリアタイ当時は南野さんちで
(秀一と両親勿論在宅中に)
致す黄泉蔵考えてましたことをここに報告します



突発SS  あまいもの

2018-11-18 08:34:44 | 妄想黄泉×蔵馬SS
焦げた。
表は綺麗なキツネ色だったが裏は見事に黒っぽい。
『………………』
暫し黙考。

久々に修羅と二人で癌陀羅の繁華街に繰り出し
人間界の人気菓子店で数年修業したと言う触れ込みの
ドーナツショップを訪れた所想像以上の長蛇の列。
どう考えても自分達の順番が回ってくるのは軽く見積もっても
一時間は先。
蔵馬は明日仕事だから夜には人間界に行かないと行けない。
週末だけの限られた家族の時間。
やりたい事、話たい事は沢山ある。
一人頷いて修羅はドーナツはまた今度にしよ!と宣言。

家に帰り借りて来た映像媒体に夢中な修羅を居間に
残して蔵馬はこっそりキッチンに立つ。
ドーナツ。
確かホットケーキミックスで作れた筈。
子供の頃母が(当時は大して楽しくもなかったが今思い出すと
とても楽しかったように思う)目の前で作ってくれた朧げな
記憶を頼りにして製作開始。
生地の固さやグレーズは我ながら上手くできた。
と言ってもチョコを溶かしたものと砂糖とレモン水で作る簡単な
代物だったが。
問題はドーナツ本体。
片面を何分揚げれば良いのか解らず悩んでいた時間で
揚げ過ぎた。
久々の失敗は楽しくもあるが問題でもある。
修羅の見ている映像媒体は短編でそろそろ一本目が終わる。
ついでに今の時間は15時少し前。
お腹減った!おやつ!といつキッチンに現れても可笑しくない。
「…………仕方ないか」
背に腹は変えられないと蔵馬は食器棚から皿を取り出した。


あまい匂いがする。
緊急会議から執務室へ戻って来た黄泉は匂いを辿り部屋の隅の
小さなテーブルに何か置かれている事に気付いた。
匂いと形からして小振りのドーナツ。
修羅が蔵馬と買いに行く!とはしゃいでいたヤツか、と皿を持ち上げ
休憩用のソファに腰掛ける。
黄泉は普段あまいものは好まないがたまになら欲する時もある。
堂々巡りの下らぬ会議の後は特に。
被せてあったラップを剥がしドーナツを手に取る。
少し気になる匂いがしたがあまり気にせず一口齧り。

「苦甘い…………」
甘さ控えめチョコレートと固めの生地は好みだが
その後から来た苦い焦げた味は好きじゃない。
ホームメイドならともかく客に提供出来るレベルではない。
口先だけの人気店は困るな、と咀嚼しながらラップに貼られていた
紙に気付いた。
少し厚みのある紙に書かれた文字を辿る。
『作った、失敗した。
失敗作の処理頼む。 蔵馬』

「……………………。」
立ち上がり棚からマグカップを取り出し備付のポットから
コーヒーを注ぐ。
朝淹れたものだが充分美味い筈。
一口啜りドーナツを再び齧る。
うん、先程よりは美味い気もする。
「あれか。
こういうものを食べれるのも特権か」
自分を納得させながら黄泉は呟く。




〜イベント準備終わったのでひっさびさSS。
失敗作は大体お父さんか兄弟に押し付けられていた率が
高かった気がします。