DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

アラサー螢子さん 5

2019-12-31 15:38:12 | アラサー螢子さん
「あ〜もうつっかれた!!」
両手に下げた買い物袋を床に下ろして私はそう叫んだ。
「本当重かった〜」
正月休み家に篭るための食料に飲料、ついでにコインランドリーで洗った毛布。
全部の重みから解放されて肩を揉む。
とは言えこの荷物は全部自分の為だけのもの。
つまりは私が私に贈るちょっと遅めのクリスマスプレゼント!!
繁忙期で疲れに疲れて、疲労回復のビタミン剤が手放せなくなりそうな上
恐ろしい速度で増えた白髪に慄く私への労りの品!
いつもは買わない本マグロのすきみ、いつもより時間をかけて煮込む煮豚用の豚肉、
大量に作って冷凍して食べる餃子の材料、そしてそしていつもは買わないお高めの輸入ビールたち!!

「誰かと年越しもいいけど、一人年越しもオツなのよね〜」
撮り溜めた年末番組を見て、好きな時に起きて好きな時に寝る、昼間っから
お風呂に入ったり出来る夢のような時間!!
仲の良いひとたちもみんな大人だからか、無理に集まったりしなくて良いし。
丁度良い空気感が心地良いのよね。十日頃にはぼたんさんたちと飲む約束してるし。
ふんふ〜と鼻歌歌いながら私はバスルームに向かう。
奮発して買った入浴剤(何かお洒落な言い方あるらしいけど、まあいいわ)をいれて
見たい番組始まる迄ゆっくりと時間かけてお風呂に入ろう。
ピンポーン。
「なに?」
年末に届く筈の荷物は無い筈。
年賀状なんかは明日届くし、ならこれは。
ピンポ、ピンポーン
……いらん勧誘か。
耳に入って来る音をシャットアウトしてバスルームのドアを開けようとすると。
「ゆーきむらさーん、居るんでしょー」
「……」
「けーえこーちゃーんあーそびましょ〜」
「……」
「けーえーこちゃーんーあーそーぼー」
「……」
「浦飯幽助さんを殴って全治三日の怪我を負わせた雪」
「うるさい、帰れ」
ドアをほんの少しだけ開けて見れば、案の定居たのは元恋人兼幼馴染の幽助。
「入れて」
「いやよ。私これから楽しい一人の年末年始を過ごす予定なの」
「ずっと一人は飽きるだろ」
「家にいる時以外はずっと他人に囲まれてんのよ、たまの長い休みくらい一人でいたいわ」
「酒、買って来たぜ」
ぴくりと喉が動いた。
「百足ブルワリーの新作ビール。あと、ブーランジェリー癌陀羅のお取り寄せミートパイ」
「そ、それは」
二つとも人間界では中々手に入らない幻の品。
「あと、雷禅印の魔界スカイフィッシュのジャーキー」
「それは要らない」
「……神成屋のチャーシュー」
「入っていいわよ」
ドアを開いた私に不服そうな顔で幽助は軽く会釈した。
頬が少し赤いし、ちょっとお酒臭い。
「あんた何本飲んだ?」
「缶チューハイ五本」
コタツに座った幽助の手は真っ赤。
もしかして、自宅から私の家まで歩いて来たとかかしら?
ミートパイとチャーシューを皿によそってコタツに置く。
新作ビールは缶でなく瓶だからコップも出す。
ビールの栓を抜いてお互いコップに注ぎあって乾杯。
やっぱりブーランジェリー癌陀羅のミートパイは最高だし、神成屋のチャーシューは
脂がとろけるようで美味しい。
「で、なんかあったの」
「あ?」
「今日、大晦日でしょ。
あんたのラーメン屋掻き入れ時じゃない。なのにうち来るなんて」
「いや、あのよ……」
「来年は神成屋より売り上げてみせるぜ!とか毎年言ってるじゃない、なのに」
幽助はバツがわるそうに私から視線を逸らした。
‥‥怪しい。
絶対なんか、あるはず。
「あ、テレビみようぜ!確か六時から笑ってはいけない霊界二十四時が」
態とらしくリモコンをとって幽助がテレビをつける。
「六時はニュースに時間でしょう」
『こんばんは。六時のニュースの時間です、年の瀬に嬉しい話題が二つ飛び込んで来ました』
そう言って優雅に会釈したのは元アイドルの小兎さん。
アイドルからアナウンサーへの華麗なる転身ってちょっと話題になってたのよね。
他の二人も瑠架さんは女優、樹里ちゃん(多分年上なんだけどなんかちゃんって感じなのよね)は
バラエティで活躍してるわ。
ほんの少しだけ知ってる相手が頑張ってるが、わかるのはなんとなく嬉しいもの。
つい、微笑みながら三杯目のビールをコップに注いでいた私に驚くべき事を小兎さんが伝えて来た。
『……続いてこちらもおめでたいニュースです。
魔界政府外交部門最高責任者の黄泉長官にお子様が誕生したそうです』
『いやー、おめでたい話題ですねえ』
『本当にそうですね!
ーっと、お子様は可愛いらしい双子の女の子だそうで……』

「……」
「……」
「……」
「……」
目を逸らす幽助に一言。
「なに、失恋?」
「ちげえよ!」
「知ってるわよ、どうせこっちに居る酎さんあたりとお祝いで飲んで
一人で家に帰るのが嫌になったんでしょ」
「……見てきたのかよ」
「推測よ、何年あんたの幼馴染やってると思ってんの?」
「こえー幼馴染こえー」
「ついでに、五本て嘘でしょ」
「ホントは十本です」
「ザルねえ」
コタツからたち上がって私は冷蔵庫へと近づく。
「なにしてんの?」
「長い付き合いの友達に子供が生まれたんじゃない。
そんなめでたい日なら祝杯あげたいなって思ったのよ」
冷蔵庫の中にある本マグロのすきみと、海外から輸入されたビール。
「勝手だけど、お祝いするなら一人より二人のがいいでしょ」
たまには、ねと私が笑うと幽助もつられて嬉しそうに笑ったわ。



〜凄い久しぶりのアラサー螢子さん。
しかもこれが今年の黄泉蔵納め🤣🤣
ギャグで締めるはずがなんかいい話っぽくなったのは何故でせうか?
しかも、子供生まれたんですってよ〜。
あらーどうしましょ〜。(続きはなんも考えてない)。