DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SS 花見だわっほい!

2017-04-02 14:27:51 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
酒と美味い飯を持ち寄り桜を愛でながらの宴会。
やりたい!やりたい!と陣が騒いだ時に普段なら一番に賛成しそうな
幽助が難色を示していた理由がやっと解った。

五月蝿いのだ。
下手くそな歌を歌う若い男女の集団。
母親と子供ばかりの集団。
老人ばかりの集団。
に囲まれたまだ蕾ばかりの桜の木の下に敷いたブルーシート。
の上でジャンケンに負けた飛影は如何にもつまらんと足を投げ出して座っていた。
傍らに居るのは言い出しっぺの陣。暇すぎて寝ている。
(何故オレが・・・)
暇つぶし用にと蔵馬が用意した本や修羅が寄越した携帯ゲーム機
躯からは自分が到着するまでに買っとけと渡された屋台飯のメモ。
ぴゅうと風が吹く。
「マーマー!寒い!」
「やだねぇ、膝が痛むよ。」
「もービールとか冷えるんだけどー。」
春ではあるが風もあるし寒い。それに対しての文句が周囲から出る。
だったら家にいろやと怒鳴りたいがそれをすると魔界的に駄目なので
飛影は腹立たしさを隠しながらブルーシートに鎮座している。
奴等が集まるまでまだ五時間以上。
何をしていろと言うんだ。
蔵馬が寄越した本は漢字が多い上人名が片仮名で飛影の理解を
超えるので読めない。
修羅の寄越したゲームはモロに子供向けで馬鹿馬鹿しくてプレイする気にも
ならない。
もう一人の場所取りメンバーの陣はまだ寝ている。
(・・・こいつのせいで・・・・)
凍矢〜もうたべられねーだ〜とテンプレベタ寝言までかまして。
ヘッタクソなアイドルソングを歌う女達。
囃し立てるバカ男共。
顔面偏差値は両方ともに低い。
下手くそな歌と見るに耐えないツラを晒すな!と
只でさえ悪い飛影の機嫌は急直下だ。
ー飛影は気付いていない。
寒くはあるがそれなりに盛り上がる花見会場で
一人憮然と座る推定中学一年生が非常に浮いていることを。
たまにチラチラと視線が来ることにも。
(あの子さあ・・・・)
(薄着すぎない?)
(場所取りさせるにしても何か、な。)
それがー飛影的には何の問題もないー薄手のシャツにジーンズと
言う蔵馬のお下がりファッションが原因の一端であることにも。
「おう坊主。」
意を決した老人グループのリーダー的ながっしりした体格の男が
声を掛けてきた。
(・・・・坊主?誰に向かって口をきいてやがる)
「母ちゃんや父ちゃんはどうした?」
「ちょっと忠次さん。不躾だよ。」
「止めてくれるな。民代ちゃん。俺はこう言うガキは気になって
仕方ねぇんだ!」
芝居がかった口調は酔っているからだろう。
胡散臭げに飛影は視線を老人達に向けた。
老婆の一人が紙皿に載せた煮物を飛影に差し出して来た。
「・・・は?」
「お食べ。僕。」
「アンタあたしらが来る前からここにいたろ?
何も食べてないじゃない。ずっと見てたよ。」
「この寒いのに薄着で外に出されて可哀想に。」
ぐす、と啜り泣く声まで。

もしかしてもしかしてだが。
自分は『可哀想な子』だと思われているのか?
ゆっくりと周りを見回せば同情的な視線に囲まれていた。
極めつけは母親達と騒いでいた子供の一人が覚束ない足取りで
飛影の元まで歩いてくると手にしていた紙パックのジュースを
「あげゆ」と手渡して来た。
生暖かい視線に飛影は怒りが込み上げて来る。
と。
手元のスマホが鳴った。
「なんだ!」
腹立ち紛れに相手が誰かも確認せず怒鳴りつける。
『・・・・・・後で殺す。』
声の主は躯だった。
「聞こえたぞ!坊主!」
「こんな小さな子に殺すなんてなんてまあ!」
小さくねぇ!『殺す』言われたのは己らのせいだ!と
怒鳴りつけたいが魔界的駄目なので飛影は老人達から離れようとした。
だが、酔っぱらい達には。
『親に愛されない可哀想な子供』が遠慮している風にしか見えず。
「おう!坊主!食え!悲しい時は食え!」
どばぁと涙を流した忠次が皿に盛った太巻きを押し付けて来る。
若い女がパックに入ったままの唐揚げを泣きながら飛影の膝に置く。
ガキ共が菓子を飛影に渡して来る。
(何なんだ一体・・・?!)
酔っ払いの善意に飛影は戦慄する。
誰でもいい。誰かこの現状を打破して欲しい。
らしくなく飛影はそう祈った。
「あー!いたー!」
遠くから聞こえた声に飛影は振り返る。
何時もは聞きたくもないが今は有り難い声だ。
たたっと軽快な足取りで飛影に近づくと声の主、修羅は
背中のリュックからまだ温かい包みを取り出した。
「蔵馬からお弁当。おまえなんでそんな寒そうな格好してんの?
あとパパからカイロとお茶。」
ポンポンと飛影の膝に投げて行く。
「みんな仕事早く終わらせて来るって・・・って誰?」
自分と飛影を囲む酔っ払いに気付いた修羅が問う。
誰と言われても飛影だって知らない。
「・・・君この子の知り合い?」
問いかける若い女に修羅はうんと肯く。
「・・・この坊主の弟か?」
弟ではないが面倒臭そうなのでうんと肯く。
暖かそうな服を着た修羅と薄着の飛影。
また何やら誤解が産まれそうな空気が漂う。
「修羅一人で先に行くな。」
登場したのは背の高い髪の長い美男。(角は普通の人間には見えていない。)
「ああ、居たか。
またそんな薄着で。蔵馬の言う通りだな。」
腕に掛けていたスカジャンを飛影の足元に置く。
「パパー蔵馬は?」
「まだ仕度が終わらないんだ。
躯や浦飯が摘むから。」
「唐揚げいっぱいあるよね?」
「2キロほど揚げていたから大丈夫だろう。
どうした?食わんのか?」
「それおまえの好きなハンバーグサンドだよ。
あじみしたけどちょう美味しかったー。」
等と話す後から現れた親子を見て。
「なんでぇ坊主!紛らわしい!」
「本当だよ!まったく!」
「厨2かよ〜」
「・・・てかお父さんイケメン・・・」
「ヤバ〜」
口々に人騒がせなと言いながら周囲の人間は自分達の
宴会場所に戻って行った。
「・・・なんなの?」
「知らん。」
ガサガサと包みを開くと飛影は齧り付いた。
朝から何も口にしていない身としては甘露とも言える味だ。
「・・・厨2か。」
黄泉の呟いた言葉を無視して飛影は存在を忘れていた陣を
軽く蹴った。
コイツのせいで。
『親に構われない可哀想な子供』やら
『思春期で厨2病発症した可哀想なガキ』やら
人間共に勝手に想像されたと思うと。
苛つきはMAXだが。
「いいなーハンバーグサンド・・・」
「修羅は家でご飯食べただろう。」
「オニギリだけだもん。」
「邪眼師は場所取りしているんだから特別だろう。」
「・・・ずるい。」
「ズルくない。我儘言うと蔵馬に」
「言ってないもん!」
甘やかされまくるクソガキを羨ましがらせるのは
気分が良いと一つ目のハンバーグサンドを平らげつつ
飛影はにやりと笑った。



〜お花見ー。
うちの方は桜咲いてませんが。
魔界で花見しろよ、は禁句です。
人間界だと屋台出てるので陣はそれが食いたかった模様。
そんで飛影(笑)。
多分あとで躯にぶっ飛ばされるんですけど。