DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

昔あったかもしれない黄泉+蔵馬+黒鵺 八

2019-02-03 14:40:17 | 妄想盗賊三人組
「……はらへったー……」
何時もより三割元気のない声で空腹を訴える黄泉を
黒鵺は困った顔で見下ろした。

今年流行りの風邪に罹った黄泉を見て蔵馬が
『ばかでも風邪ひくんだ…』
と呟いたのは三日前。
普段超健康優良児なのが幸いしてか大して熱も出ず
ほっとしていたが一つだけ困った事がある。

今年の風邪は腹に来る。
食わせれば食わせるだけ苦しい思いをするから
なるべく重湯か粥以外は食わせるな。

症状が酷かった盗賊団の副長の為に呼んだ薬師が
そう言っていたと黒鵺は耳にした。
医者を呼ぶ金は黒鵺達には無い。(黒鵺達以外の団員にだって
ないだろう。副長は団長の右腕だから薬師を呼んで貰えただけだ。)
蔵馬の薬草はあるが複雑な症状を治療出来る程では無い。
だから黄泉には大人しく症状が治まるまで
粥しか与えていない。

「なー腹減ったーくろぬえさーん」
腹減ったと訴えられても黒鵺には黄泉が完治しているとは
到底思えない。
昼間は元気だが夕方になると激しく咳込みだすからだ。
だから咳が治まる迄は粥で我慢して欲しいのに。
「かゆじゃちから入んねー」
粥じゃあとは随分な物言いだ。
二年前まで粥があるだけでも大喜びだった癖に。
黒鵺はちらりと視線を蔦で仕切られた部屋の片隅に移す。
あそこには食糧事情を大きく改善してくれた可愛い恩人が
眠っている。
具合が悪いからではなく只単に冬だからだ。
恩人である蔵馬は狐の変化だから冬場あまり活動しない。
秋に集めた綺麗な枯葉を積んだ寝床で尻尾に包まって
とろとろと寝ている。
その姿は可愛いの一言につきる。
これが可愛いくなくて何が可愛いと言うのかと黒鵺は思う。

いやいやそうでなく。
蔵馬が起きていたら黄泉の額をぺちん!と叩いて黙らせて
くれるのに、とため息を吐く。
何故か黄泉は蔵馬といつもは喧嘩ばかりしているが
体調が悪い時だけは蔵馬の言うことを良く聞く。
(別にオレが舐められてるとかじゃない。
舐められてると言うより甘えられてるだし)
と頷きながら黒鵺は囲炉裏に掛けた鍋の蓋をあけた。
麦粥。
まだまだたっぷりあるそれは塩のみで味付けした。
実は黄泉の具合が悪くなってから黒鵺も粥しか
食べていない。
黄泉が粥以外食えないのに自分だけ塩漬け肉や魚
なんかは食べづらいからだ。
とはいえ三日粥だけでは腹に力が入らないのだ。
しかし、黄泉の前で粥以外を食う訳にはいかず。
「な〜腹減った〜。かゆあきた〜」
だったら早く風邪治してくれよ……と黒鵺は
再びため息を吐いた。



〜半年ぶりくらいの三人組。
インフル中ずーっとキュケオーンが何故か
食べたくて治ってからググってみたら
あまり美味しそうじゃなかったな、と思いだしました。





昔あったかもしれない黄泉+蔵馬+黒鵺 七

2018-07-08 10:33:30 | 妄想盗賊三人組
暑い。
陽射しなんてものは分厚い雲に遮られているはずなのに
暑い。
長雨が止んだと思ったらいきなりこれだ。
いい加減にしてくれ、と額の汗を拭い黒鵺は思う。

いつもは気にもしないがこう暑いと羽根が背中に触れるのが鬱陶しいし
食事を作る為に火を焚くのも億劫だ。
夏以外の季節は快適な棲家も熱が籠もり寝苦しい。
金持ちみたいに石造りの家で氷の眷属に術を使わせる生活が
ちょっとだけ羨ましい。
いつか、そんな風に暮らせるかな。
そう考えると少し楽しい。

そろそろ棲家近くだと飛ぶ速度を緩めると歓声が聞こえた。
子供の声だ。
目を凝らすと棲家から少し離れた小川に人影。
黒髪の小鬼と銀髪の子狐。
水を掛け合い(小鬼が一方的にかけられてる気がしないでもない)
ケラケラと笑っている。

音をたてず黒鵺が降り立つと跳ねる様に小鬼が近付いて来た。
「あ!黒鵺さん!おかえり!
見てよくーのアタマ!すげえウケる!」
びしょ濡れで黒鵺の身体にしがみついて小鬼ー黄泉は笑う。
アタマ?首を傾げて黒鵺は子狐に視線を移した。
いつもはあまり感情を浮かべない顔が明らかに怒ってる。
頬を紅潮させ眉を釣り上げへの字に口を曲げて。
その綺麗な銀髪はどうしてそうなった?と聞きたいほど
ぐちゃぐちゃに一つに高い位置で結ばれていた。
さらさらの髪質は纏めるのに苦労したのだと解るがそれにしても
前衛的過ぎる。
「な?笑えるだろ!!なんだよアレ!オレのがもっと上手にゆえるぜ!」
「よみがおれより上手なわけないだろ!嘘つき!」
喧嘩が勃発しそうな空気に慌て黒鵺は笑いを堪えて蔵馬の頭を撫でる。
「まあまあくーもよみちんもただでさえ暑いんだから喧嘩するなよ、な?」
その言葉に二人は顔を見合わせた。
「暑いから髪ゆったんだよな、くー」
「うん。よみくらいに髪切ろうとしたらよみが駄目ってゆったから」
「黒鵺さんみたいにゆえば涼しいかなって」
「だからゆったのにそしたらよみが」
「だって変なんだからしょーがねーじゃん」
「変てゆうな!」
また喧嘩に発展しそうな二人の肩をおさえながら黒鵺はなんとなく
こんな日々がずっと続いたら良いな、と考える。
暑くたって。
寝苦しくたって。
ちょっと嫌な事があっても。
こうやって喧嘩する二人と止めに入る自分。
この三人で何時までもいられたらこんなに幸せな事はないなあ、と。




〜何ヶ月ぶりのSSでしょう笑
本当は畑中さんちを書くつもりが炎の絆が一日だけ上映されると聞いて
堪らず三人組。黒鵺って蔵馬を二次創作する以上避けて通れない人だと
思うのです。蔵馬受とか蔵馬攻とかBLNL関係なく。

黄泉の日感謝祭用漫画

2018-03-25 13:49:47 | 妄想盗賊三人組
ただ今此処まで完成。
一応4ページ漫画です。


食いもんしか描いてないじゃん……
左にあるのはペロペロキャンディではなく
ソーセージマルメターノです。
今日中にこの一ページだけでも完成するか否か!
(多分完成しなかろう……)
あのですね。
一冊同人誌完成させたら画力上がるってTwitterで見たので
オンリー用に手をかける前に4ページ漫画描いてみることに
しましたよ。
食いもんしか描いてないけど……

完成したらpixivに投稿するんだ…
完成したらサスペリアTSUTAYAで借りて見るんだ!
……死亡フラグっぽいな……。

昔あったかもしれない黄泉+蔵馬+黒鵺  六 後編

2018-03-25 10:54:35 | 妄想盗賊三人組
いつものように外を駆けずり回り元気いっぱい住処に戻って来た黄泉は
目を見開いた。
目の前に立つ蔵馬。
朝着ていた着物でなく真っ白な服を着てる。
「新しい服!?ずりい!」
地団駄踏んで黄泉は叫んだ。
くーが大きくなって着物が小さくなったのは黄泉も解っている。
新しい服手に入れなきゃな、とは思っていたのだ。
でも、黄泉だって大きくなった。
今着てる服は襟ぐりがヨレヨレだし裾も擦り切れてる。
丈も短いしみっともない。
けど金が無い。
くーが作ってくれる木苺や李なんかをちょっとだけ山向こうの市で
(盗賊団にバレない程度に)売ろうか?なんて相談している
くらいには金が無い。
だから我慢してたのに。
「くーだけ新しい服ずるい!」
顔を真っ赤にして怒鳴る黄泉に黒鵺はやっと我に返った。
「あ……いや、待てって黄泉。
確かに新しい服だけど買ったんじゃなくて」
ずるいずるいと叫ぶ黄泉に黒鵺の言葉は届いてない。
流石に煩いのに閉口したのか蔵馬は黄泉の前まで歩いてきて額をぺちん!と叩いた。
「いてぇ!なんだよ!」
「これ、おれが自分で作ったふく。
ぬーに買ってもらったんじゃないからさわぐな」

一瞬黙った黄泉はまた
「ずりい!なんでくーだけ服作れんの!」
と叫びだした。
「ぎゅーってしてふわってなったらしゅってする」
ふふんと自慢げに語る蔵馬。
意外にも感覚派なんだね、と黒鵺は頷く。
しかし、不思議なものを見た。
着物を脱いだ蔵馬が目を瞑り何事か唱える。
ふわふわひらひらした物が蔵馬の身体を包み、
手や足や胴に巻き付き一瞬光り。
眩しくて目を閉じた黒鵺が再び目を開けたそこには
汚れ一つない新品の真っ白な服を着た蔵馬が立っていた。
白いズボン。襟と脇が大きく開いた上着。
ちょっと扇情的すぎるきらいもあるが良く似合ってる。
今蔵馬がやった事は多分ある程度のちからと素養のある奴なら誰でも
出来ることだろうが黒鵺は充分過ぎるくらい驚いた。
驚き過ぎて決意した。
近いうちにここを出る、と。


〜シャランラ。
あ、なんか短い。