DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

お知らせお知らせお知らせ

2018-05-30 08:48:32 | 幽白
幽白オンリーの新刊サンプルになります
タイトル 希求 黄泉蔵R18
A5 40P前後 オンデマンド 400円
     始め蔵馬が襲います。



欲しい。
ただそれだけしか考えられなかった。
そこがどんな場所だとか自分達は何をしているかとかそんなモノは全てすっ飛ばした。
一番欲しいモノを持っていて。後で吹聴する程の莫迦でなくて。
此方の事情もある程度理解していて。後腐れなく『一度だけ』で済むと思ったから。
本当にそれだけ『しか』その時は考えていなかったんだ。

後頭部がぞわぞわとした。
指先が冷たい。足元が覚束ない。
モニターからの歓声に押され首を前に動かすと軽く目眩がした。
先程の時雨との闘いは自分で思っていた以上に妖力の消費が激しく
回復に時間がかかりすぎていた。
三回戦の相手はあの雷禅の知己だ。生半な技で勝てる相手では決してない。
ましてや今の妖力が枯渇した状態で戦うのは自殺行為に等しい。
皆が言う様に飛影の試合を見ずに救護室へ向かえばよかったのか、
と一瞬考えたが今更遅い。
寄りかかっていた壁から体を離すと悪寒が走り、
そこまで体調が悪いのかと我が事ながら驚いた。
深く息を吸う。次の自分の試合まではまだ時間がある。
何処か静かな場所で横になれば多少は体調も戻るだろうとその時点では
軽く考えていたが、直ぐに思い直す事になった。
小声で交わされる会話がノイズの様に煩い。
真っ直ぐに歩いているつもりなのに気付くと身体が斜めに傾いでいる。
何度かヒトにぶつかりその度にすまないと口に出すのさえ億劫だ。
後頭部のみにだった不快で微弱な頭痛は頭部全体に広がって来る。
何も無い平坦な廊下で躓きかけ壁に手を付く。背後に数人の気配。
感じる妖気は大したものではない、予選さえも通過出来ない雑魚達だろう。
「あ、癌陀羅の女狐」
「へ?ああクラマだっけ?」
「モニターで見るより可愛くね?」
顔を近づけて来た男を見る。どうでも良い茫洋な顔だ。
頭が重い上に吐き気迄こみ上げてきて立っているのが辛い。
只でさえ不快なのにオレの神経を逆撫でする様に三人の男はその場に留まり喋り出した。
「こいつなんか顔色悪くないか?」
「なんかやらしーオモチャでも挿れてんじゃねーの?」
げらげらと三人が笑う。
「でもこいつカワイイ顔してっけど男じゃん。どうせなら女とヤる方が良くね?」
王様ならどんなんでも好き放題だろうと。
一人だけがそう首を傾げると残りの二人は更に大きく笑った。
「バーカこいつ妖狐だぜ。そこら辺の女じゃ太刀打ち出来ねーって」
「黄泉に呼ばれたってのもそれでだろ。
毎晩ヤりまくってたんだって有名だし」
……事実無根だ。
オレも黄泉もお互いをそういう対象として見ていない。
でも、今の言葉で漸く理解した。自分のこの状態がなんなのかやっと思い出した。
身も蓋も無くこいつらの言葉を使えば、
『やりたい』んだと。
理解してしまったらこんなに簡単明瞭な事も無い。
そもそもオレは精気を糧に生きる種族。この身体に憑依し十数年、
忘れていた感覚が蘇って来た。
兎も角必要なモノは精気。それさえ有れば妖気の回復も体調不良も直ぐに治る。
ちらりと視線を目の前に居るヘラヘラした輩に移す。
……無理。
顔も身体も貧弱で妖気も弱い。
オレの好みでは無い上一度に摂り込める精気も微々たる量だろう。
三人纏めて……とも一瞬だけ考えたが今のオレの体力では無理だ。
それにこいつら全員の相手をしたとしてもオレが望む量の精気は得られない。
黙り込んだオレに何を勘違いしたのか奴らは卑猥な言葉を投げ掛けて来る
。それだけならまだしも一人がオレの腕に手を伸ばして来た。
「なあなあ、オヒメサマ?おっさんとヤるよりオレらとヤんねー?」
なに言ってんのお前と混ぜっ返す仲間を尻目に腕を掴んでいた手は腰に回された。
「おっさんのじゃ満足出来ねーんじゃねーの?
オレ達若いし丁度人居ねえし、楽しもうぜ?」
解りやすく使い古された決まり文句を右から左に聞き流しながら
オレは驚愕して居た。たかがB級程度のちからしか無い奴の手を振り解けない自分に。
「つかオヒメサマってなんだよ?」
「あ?有名だろ。傾国の姫ってよ。」
「……男じゃん」
「お前ほんとこまけーな。傾国の王子より姫のが雰囲気あんだろ。コイツ顔可愛いし」
笑いながら交わされる会話に傷つく程のか弱い神経など微塵もないが
この状況はオレが望んでいる物ではない。オレが欲しいのは極上の精気だけだ。
弄ばれたい訳じゃない。けれど身体の自由は効かなくなって来ている。
このままじゃマズい。
誰でも良いはずでは無いのに足りない精気を得ようと
身体は勝手に行動し出すだろう事は経験則から解っている
(南野秀一ではこの状態は初めてだが)。現に身体は『コイツらでも良い』と
判断し始めていて我ながら呆れた。
「なあ、何にも言わねーし抵抗しねえって事は同意してるって事だよな」
「だよなあ?オヒメサマ若い男とすんの初めて?」
「やべえ、興奮して来た」
げらげらと笑いながら触れてくる手を払う体力がオレにはもう、残って居ない。
自分の判断ミスが口惜しい。凍矢や鈴木あたりなら医療行為だと言えば
協力してくれただろうか。
若しくはこの会場に居る
極上の精気の持ち主のうちの何人かは。
ハイハイ、立てるー?
フラフラじゃんカワイソー。
あっちのソファで休もうぜー?
わざとらしい状況説明をしながら奴等はオレを弄ぶ為の場へと誘う。
確かこの方角は今よりも更に人が通る心配の無い備品置き場がある。
あまりにもベタな場面設定に笑いが込み上げて来そうだ。
備品置き場。
複数人の男。
人の通らない廊下。
何億回と繰り返されて来たありふれた良くある場面。
まさか自分が再びその『当事者』になるなんて何の因果だろう?
ー何をしているんだ。
そう聞こえた声迄ベタ過ぎて小さく笑いが漏れた。


「……何の騒ぎかと思えばおまえが原因か」
呆れた声を出したのは案の定黄泉。こいつの声と姿を確認した途端、
オレを囲んでいた男達は蜘蛛の子を散らす様に去っていった。
「救護室にはまだ行って無いのか?」
眉を顰めて黄泉が言う。触れるでも無く体調不良に気付く辺りが生意気だ。




タイトル エブリデイドリーム 妖狐×蔵馬R18
A5 32P前後 オンデマンド300円
     始めから最後まで二人だけでイチャイチャ
     してる話。短編集です。
     サイト掲載作品『凪』を加筆修正。



フルーツキス
 

足元の草を踏み締め歩きながら妖狐は目当ての物を見つけた。―桑の実。
まえに『来た』秀一が小さい頃食べたのを覚えているかと問い掛けて来たからだ。
木に触れるとぽたぽたと実が地面に落ちる、
以前は見る事しか出来なかったこの世界の植物だがこの頃はこうして触れて食せる。
何故かはまだ解らないが今はそれよりも。
「あとは木苺あたりか」
汁気が多く酸味の少ない良く熟れた物を何種類か揃える。
秀一は喉を少し痛めているだろうからだ。
妖狐は兎も角秀一は『蔵馬』の影響を受けやすい。
昨日あの『莫迦』が散々『蔵馬』を啼かせたからだ。
舌打ちしながら妖狐は果物を集める。きっと今日来るだろう秀一の為に。
 
「……凄い量」
呆れて秀一は呟いた。
巨大な朴葉の上に積まれた果物の山は到底一人で食べ切れる量ではない。
とは言え。
『あの』妖狐が秀一の為に集めた物。
快く受け取らなければ又機嫌を損ねられる。
秀一と口を聞かない位ならばともかく『力』を貸さなかったり
ましてや行為の時に乱暴に扱われるのは勘弁して欲しい。
複雑な感情は脳の奥に閉まって秀一は微笑んで妖狐に礼を言う。
桃に西瓜に梨に木苺に桑の実、どれも良く熟れて美味しそうだ。
どれにしようかな、と指を伸ばし視線に気付いた。妖狐が此方を見ているのに。
「有難う御座います」は言った。「美味しそうですね」も。じゃなんだ?
「妖狐」
ちょいちょい、と手招きすると彼は素直に横に座った。少し可愛い。
「一緒に食べよう?」
多分この台詞かなと発言してみたが妖狐は首を横に振る。
訝しげに横目で妖狐を見つつ秀一は桑の実を一つ口に入れた。
甘酸っぱい。
小さな頃指先を紫に染めながら食べた思い出に懐かしさを感じながらも、
又妖狐の視線に気付く。
さっきよりも険しい、寧ろ睨むに近い視線だ。
……なんなんだ?
口に桑の実を放り込む寸前で歯で挟んで止めると不明瞭な発音で聞く。
「食べる?」
妖狐は応えるまでもなく秀一が咥えたままの桑の実をぷつんと噛み切る。
紫の果汁が秀一の顎を汚す。ふむと妖狐は咀嚼しつつ頷いた。
「まだ改良の余地があるな」
「これ、妖狐作?」
当たり前だろうと見下ろす顔を見て。
何だか嬉しくなり秀一はじゃあこれも?と良く熟れた桃を一口齧る。
すいと近づいて来た妖狐が秀一の口に舌を差し入れた。柔らかな桃の果実が潰れて『美味しい』と『くどい』のギリギリの果汁が二人の口内に広がる。
唇を離し二人同時に甘いと呟いて、次にこれはどうだ?と
妖狐が割り開いた西瓜を左手で差し出し秀一はそれを受け取り齧りつく。
甘過ぎないのが逆に良い。
秀一がもう一口西瓜を食み種に気付き口から出そうとした時、妖狐の指が顎に触れた。
後頭部にも妖孤の右手が回され声を上げる間もなく噛み付く勢いで唇が塞がれる。。
ついでに舌も入り込んで来て種を探しているのかそうでないのか口内を蹂躙される。
深く息を吸い込み秀一はやっと離れた何故か満足気な妖狐を睨んだ。
白魔装束に薄赤い染みがいくつか垂れているのが見える。
「次はどれが欲しい?」
楽し気な妖狐を見てやっぱり、こんなつもりだったのかと秀一は空を仰いだ。
昨夜あのヒトとしたのがそんなに気に食わないのかと。
……妖狐だって気持ち良かった癖に頑なに認めない。
『蔵馬』はオレと妖狐と二人で『蔵馬』なのに。
「木苺だ。これも改良した。
食うだろう?」
妖狐が掌に乗せたそれを少しだけ逡巡してから秀一は舌で拾い上げる。
自分だけが知ってる秀一を見るのを妖狐が何より喜ぶと解って居るから、
わざとあのヒトには見せてない事をしてみる。
こんな事『蔵馬』はあのヒトの前では絶対しないし。
妖狐は楽しいなあと本当に楽しそうに目を細めて笑いながら
秀一の腰に腕を回し引き寄せる。
勿論木苺を含んだ秀一の唇に自分の唇を寄せながら。
 




通販受付ておりますので
もし買ってやってもいいぜ?と言う奇特な方は
リンク先のこいいじのメールフォームから
連絡下さい。なお自家通販ですので
多少お時間かかるかもしれません。

漫画のほうはまだ、描けていないので完成次第お知らせします。