DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発ss 梅雨の朝餉

2020-06-28 09:04:58 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
「どうしたんだ、これ」

人間界への渡航禁止令が開け久々に蔵馬家へ訪れた翌朝。
襖の向こうから漂う匂いを不審に思い、まだ寝ている蔵馬を
寝室に残し(なんでまだ寝てるのかは秘密)、簡易型頭伝針を
装着し、台所のテーブルの上を見て黄泉は呟いた。

「おはよ〜、パパ。
なんかいいにおいする〜」
寝ぼけまなこで二階から降りて来た修羅が黄泉の脚にしがみ付いた。
「これ……どうしたの?」
蔵馬がキッチンに立っていないのを瞬時に判断した修羅は
恐る恐る視線を黄泉に向ける。
「いや、オレじゃない」
「あ、良かった……、じゃあこれなんで?」
ほっと息を吐いた修羅になんとも言えない感情が込上げて来たが
それを飲み込んで黄泉は再び、テーブルの上を見る。

テーブルの上には皿が二枚。
小麦粉で作ったらしき薄っぺらい生地の上に
赤いソースがかけられ卵やらハムやらじゃがいもが載っている。
もう一つは、生地の上に香辛料を使った挽いた肉の煮込み料理
(以前食べたことのある蔵馬の母が作ったキーマカレー?と言う
料理に酷似している)をソース代わりに塗り、その上に
油で揚げた茄子をたっぷりと載せている。
……どちらかと言えば後者の方が黄泉の好みだったりする。
「おいしそ〜」
修羅の目はキラキラと輝いている。
無理も無い。
子供の好きなものがふんだんに載せられ、ダメ押しにとろけたチーズが
誘惑しているのだ。
「れーぞうこのジュースと食べていい?」
ちらちらと上目遣いする修羅はー可愛い。
可愛いが。

この食べ物は怪しい。
何故、こんなものがここにあるのか。
黄泉は作っていない。
修羅も勿論作っていない。
蔵馬は疲労で起き上がれていないので作れない。
昨日こんなものが作れる食材は買っていなかった。
確か朝餉は和食にしてと修羅が頼んでいた覚えがある。
ならばデリバリーかと考えたが、蔵馬の暮らす町には蕎麦屋以外に
出前を頼める店はない。

「いや〜雨すげーわ、タオルタオル〜」
「……」
「……」
「……」

ガチャリと開いたドアから入って来たのは。
「うらめし?」
「おう……って、オメーら来てたんか」
手に持っていた袋から酒を取り出し朗らかに幽助は笑う。
「ねーこれ作ったのおまえ?」
「そー。これじゃなくてピザな。
あ、一緒に食わねえ?一人じゃ食いきれねえし」
「いいの?」
「いーぜ、いーぜ。
あ、手と顔洗ってからな、口もちゃんとゆすげよ」
「わかったー」
ぱたぱたと洗面所に駆け出した修羅を見、元気だなと幽助は呟く。
「あ、おまえも食うだろ?
ついでに飲む?」
差し出された缶ビールを手に取って黄泉は頷いた。
「ちょっと冷めちまったからあっためなおすからよ。
その間におまえも、顔洗って来いよ」
「ああ、そうだな」

「ねーこれ美味しいけどボクの知ってるピザとちがう?」
口の周りをソースで汚しながら修羅が問う。
「お、気づいた?
これよ、餃子の皮で作ったんだよ。
まだ客が少なくて買い込んだ食材余っちまってよ」
「うらめしさあ」
口いっぱいに頬張ったピザを飲み込んで
「なんで蔵馬んちいるの?」

そうだ、そうだった。
あまりにも幽助が自然に自分達と接しているせいで疑問に思わなかった。
黄泉は幽助を凝視する。
「何でって」
「うん」
「何でだ」


「オレ、ここに住んでるから」




〜もんの凄い久しぶりにS S🤣
朝からピザって若いデスね〜。
餃子の皮でピザ作ると罪悪感が減って良いよね!ってお話(違う)。







バレンタイン連作

2020-02-16 12:17:51 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
ACT1 桑原邸

にやにやと笑いかけては、緩んだ頬を引き締める弟を見て、桑原静流は煙草の煙を吐き出した。
「カズ」
「んー?」
適当に淹れたコーヒーを口に運び桑原は生返事だ。
気持ちはわからないでもない。
好意を伝えても、頓珍漢な答えばかり返して来ていた思い人が振り向いてくれた。
それはかなり嬉しい事だろう。
浮かれるのも無理は無いと微笑ましく眺めてもいたが。
「あんた何年目?」
「へ?」
「あんたと雪菜ちゃんが付き合い始めてから何年経ってんのか聞いてんの」
頬を赤らめ指を折る二十歳超えのガタイの良い男は客観的見なくてもキモい。
「し、四、五年?」
でへへと目尻が下がる。
「それだけ経ってんのになんで慣れないんだよ」
「へ?」
『へ?』じゃねえ。
同じ家にラブラブカップルがいるこちらの身にもなってみろと言いたい。
しかも弟も雪菜もお互いへの好意を周囲に隠す努力をしない。
蔵馬くんとそのお相手を僅かでいいから見習って欲しいモノだ。
「いや、でもねーちゃん」
「何」
「雪菜さんがよ、このオレにチョコ作ってくれたんだぜ?これを喜ばなくて何を喜べってんだよ」
「さあね」
もう一本煙草を咥える。
ジッポの火をつけて弟にむかって吸い込んだ煙を吐き出した。
「けむいっての」
「そりゃ良かった」
立ち上がりポケットから取り出したチョコを放り投げると、慌てながらも弟は見事キャッチした。
「なんだよ、あぶねーな」
「それあたしから、感謝しな」
「お、おう……」
姉からのチョコを喜んでいた弟はもう居ないのだと静流は少しだけ寂しく思う。
近く将来コイツとあの子は共に二人だけで暮らすのだろう。
四人暮らしの賑やかな家もいつか父と自分だけになる。
「ねーちゃん」
「ん?」
「サンキューな、これ」
「ああ、有り難さを噛み締めて食いな」
居間の扉を開け自室に戻ろうとする静流に再び桑原が声をかけた。
「ねーちゃん」
「なによ」
「来月花見行こうぜ、親父と雪菜さんと四人で」
「ばーか、二人で行ってきな」
「ちげーよ」
椅子から立ち上がって桑原は静流の手首を掴む。
「家族で行こうって昨日雪菜さんと話したんだよ」
「……」
こいつはなんてばかで優しい奴なんだろうと静流は笑った。



ACT2 皿屋敷西口デンタルクリニック


「あーこれ虫歯だよ幽ちゃん」
口腔内を覗き込んだ歯医者は残念そうに言った。
「やっぱりか〜」
「こりゃ結構酷いねえ、半年は通って貰わないと。歯磨きしてた?陣くん?」
大口を開けて診察台に座る陣は涙目で首を上下に振る。
「昨日こいつバレンタインで貰ったチョコ全部食ったんだよ」
「まあそれが原因って訳じゃないと思うけどね。あーらら、これは根が深い」
「ゆーふへえ……」
不明瞭な発音で助けてを求められても幽助にはどうしてやる事も出来ない。
あれ程甘いモノをたべたらしっかり歯を磨けと凍矢に注意されていたのに、
おざなりに歯を磨いていたのは陣である。
人間界の甘味は魔界の物より刺激が強いと知りながら。
「神経抜かなきゃダメかな」
「ひんふぇえ!?」
怯え陣は幽助に視線を送るが幽助は妙に優しい顔で陣を見ているだけ。
「陣くん」
こくこくと陣は歯医者の言葉に頷く。
「今日はちょっと削って詰め物するけど保険証持って来てる?」
陣は首を横に振る。
癌陀羅で使える保険証は所持しているが人間界の物は持ってない。
「じゃ、次来た時に返金するから今日は十割負担で」
「!!!??」
狼狽え陣は幽助に視線を送るが幽助はいつの間にか窓の外を眺めている。
ーオレは別に怒ってない。
客の姉ちゃん達が置いて行ったチョコに紛れていた蔵馬からの友チョコを
陣がペロリと平らげ軽〜い謝罪で済ました事なんて別に怒ってない。
声にならない悲鳴をBGMに幽助は霧雨にけぶる皿屋敷の街を見下ろした。

ACT3 癌陀羅総長官邸

ソファに足を投げ出し気に入りの映像媒体をぼんやりと眺めて修羅は乳母から貰った
チョコクッキーを齧る。
人気店の品だと言っていたが、あまり美味くない。
「ん」
差し出したクッキーを心ここにあらずと言った調子で受けとったのは修羅のある意味
ライバルである飛影。
蔵馬を訪ねて来たが当の蔵馬が不在のせいで、何故かこうして黄泉邸のリビングで
修羅と隣合い彼の帰りを待っている。
(なんでパパもいないんだろ)
昨日の夜寝る前には家に居た筈の父が今日の朝には居なかった。
朝、食卓に居たのは妖駄で火急の用件で出かけたと報告して来た。
ー絶対怪しい。
何が怪しいって今週は蔵馬が仕事の都合でうちに帰って来て居ないのだ。
蔵馬がいない、そんでパパも魔界に居ない。
なんかあると修羅は考える。
パパと蔵馬は仲良しだが普通の仲良しとはちょっと違う。
二人で一緒に歩いたりお風呂入ったりベッドで寝たりするがなんだかちょっと違うのだ。
その『ちょっと』は蔵馬のせいだと言う事も修羅は気付いてる。
ボクや飛影や浦飯にするみたいにパパにも優しくしてあげれば良いのにとも思う。
(優しくするためなら、なかまはずれでもいいかな)
そんな風に修羅は考え、手元のコップにジュースを注ぐと飛影に渡す。
「ん」
左手にクッキーを持ったまま右手でコップを受け取る。
(こいつどーしたんだろ?)
首を傾げ自分を覗き込む修羅を視界に映さないまま飛影は無言を貫く。
(変なの)
リモコンを操作し朝録画したスーパーヒーロータイムを再生する。
『バレンタインの悲劇!』
タイトルコールにびくりと肩を振るわせた飛影を見て修羅はますます首を傾げた。



番外編  百足

貰ったのか聞くのもアレだが、あげたのか聞くのもアレだと
深く重いためいきを吐いて時雨は主人の部屋の扉をノックした。
「入って良いぞ」
声は上機嫌だ。
「失礼します」
「なんだ?」
ワイン片手に(ラッパ飲みはやめた方が良いと思う)何やら菓子を摘む軀を見て
意を決して時雨は口を開いた。
「ちょこ、でござるな」
「ああ有名パティシエ作だ美味い」
「それは飛影にも渡」
「いや?これは自分チョコだ」
「では別のちょこを飛影に?」
「いや?アイツからお返しされた事ねえからな。今年から廃止した」
「………左様でござるか」
「ござるぜ」
肩を落とし時雨は軀の部屋から下がると猛然と携帯端末に文字を打ち込んだ。
貴殿は飛影の育て方を間違った。
もう少し乙女の心の機微を感じ取れるように何故育ててくれなんだ。
貴殿の甘やかしのせいで飛影の情緒がまとも機能しなかったらどうしてくれるとの
恨み言をつらつらとしたためる。
蔵馬は飛影を育ててなどいないので完全なる自分の八つ当たりであると
時雨もわかっている。
それでも、黄泉と順調に段階を踏んで行く蔵馬を見ていると
不器用過ぎる己の弟子(のような存在)と主人の足踏み状態が些か
納得いかない自分のやるせ無い気持ちのぶつけ所はここしかないのでござると
数度頷き、長文の愚痴を蔵馬の携帯端末に送信した。


〜二日遅れですが今年もバレンタイン連作。
黄泉蔵さんのはpixivに投稿してあります。
陣可哀想www










パワフル乙女 season3

2020-02-09 08:49:04 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
ーさて今年はどうするか。
腕組みをして軀は考える。
昨年、一昨年は蔵馬の教えを受けチョコを製作した。
去年は、蔵馬が出張だったため幽助に手伝いを願いチョコを製作した。
三年も作り続けていれば腕も上がる。
自分でもこれはどうなんだ?と首を傾げざるを得ない出来の代物をこさえていたのに
去年作った物はちゃんと美味しかった。
飛影にやるのが惜しいくらいに。
ちょっと売り物になるんじゃね?と興奮するくらいの出来だった
(売れるよな?と試食させた棗は、妙に優しい目で微笑んだが)。

そして今年。
軀はしみじみと呟いた。
「………面倒くさい」
冷静になってみれば何故自分だけが飛影にチョコを贈らねばならないのか。
周りにそれとなく聞いてみたところ、バレンタインの一か月後には返礼品を
チョコを贈った相手から貰えるのだと言う。
確かに、孤光も棗も流石も雪菜も相方から何某かの物品を贈られている。
付き合ってない、腐れ縁、成り行き上共に在るだけと、往生際の悪い蔵馬も
黄泉から返礼品を贈られているとも聞く(大体息子である修羅からのチク…伝え聞きだが)。
では、自分達はどうか?
返礼品などないのだ。
確かに飛影からチョコをくれなどと強請られた事は無い。
自分が作りたいから作っている自己満足ではあるが、それでも思う所はある。
ついでに言わせて貰うと飛影から自分への贈り物など、
あの誕生日プレゼント以外で貰ったがない。
今まで特に気にもしていなかったが、一度気になると納得がいかない。
「オレ、アイツになんやかんや買ったりやったりしてるよな?」
自分が食べて美味かった菓子や肉など数えきれないくらい軀は飛影に贈っている。
与えている賃金は安いものではないし、何かを買いに行く暇がない程
きつきつのシフトでもない。ちゃんと休みも与えている。
現に休みの日には、心なしか浮かれて人間界に出かけたりしているではないか。
その証拠に『蔵馬に渡された』やら『幽助に持たされた』と
軀に土産を渡して来ることもある。
なのに、飛影は自主的に軀に何かを贈る事をしない。
で、有れば。
「今年はチョコやらなくてもいいよな?」
パソコン画面を見ながら軀はうんうんと肯くとマウスを動かして
カートに商品を入れた。
『自分の為の絶品ご褒美チョコレート!限定200個。
人気パティシエが貴女の為に心を込めて作ります。
最高級の甘味をワインと共に……』
六日後に届く絶品チョコに、思いを馳せ軀は、楽し気に微笑んだ。



〜今年のパワフル乙女はチョコを作るのか作らないのか!?
こたえは六日後!(まだなにも決めてない)。


突発SS 正月連作

2020-01-04 14:29:33 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
ACT 1幻海邸

ここ数年に及ぶ食欲&酒飲み魔人達との血で血を洗う攻防を制した勝者、凍矢は感慨深げに一つ息を吐いた。
年末年始は何かと金がかかる、それは妖怪と言えど人間と同じだ。
六人で暮らし始めた当初は、年末年始くらいは少しくらいの贅沢をしても良いだろうとの
気の緩みから幾たびも悲劇を引き起こされたと、思い出す。
財布を渡し、おせち以外の三が日分の食料の買い出しを頼んだ筈が、何故か酒をしこたま
買い込んで来やがった酎。酎に便乗しちゃっかりと自分の食べたい菓子とインスタント食品を手にした鈴駒。
この二人はダメだと学習した翌年は、酒と食べ物にあまり興味がない鈴木と死々若丸に買い出しを頼んだ。
が、彼等もやってくれた。意味不明の薬品やら凍矢には何に使うか見当もつかない
機械部品を山と手にして鈴木は満面に笑みを浮かべ帰宅。
そしてつまらなそうな顔をした死々若丸が凍矢に渡して来たのは賞味期限一か月未満の見切り品の機能性食品の段ボール箱。
更に翌年。この子なら、この子だけは大丈夫!と一縷の望みを託し送り出した陣は、
凍矢の望み通り必要な食料をキチンと買い込んで来た。
やはり信用出来るのはお前だけだ!と感動した凍矢は年越し蕎麦を陣の分だけ豪華に
(具体的には海老天を二本に)してやった、陣だけずるいとの非難の声を黙殺して。
陣は本当に頼りになる、オレは何故最初から陣に頼まなかったのだろうかなどと
考えながら眠りについた。
明日の雑煮は餅とほうれん草の他に鶏肉にしようと頷きながら。
そして翌日。
三日分の食料は頭の黒い鼠達に全て食いつくされていた。
三日分の食料以外の乾麺や缶詰、ご近所からお裾分けで頂いた餅、
黄泉からこっそり横流しされた日持ちのする菓子や酒類も、
軀の領地で豊漁過ぎて困っているからと格安で購入出来た地魚のフライも。
……どうしてもと幽助から拝み倒されて数枚受け取り納戸にしまっていた
魔界スカイフィッシュの干物だけが、手付かずで残っていたのが何より許せなかった。

今年は、全てが予算内に収める事が出来た。それどころか余ったくらいだ。
なぜなら。
酒飲み魔人の酎を魔界の辺境で開かれるオールナイトカウントダウン酒飲み大会に送り出し。
鈴駒は流石に小金を握らせ二人で過ごすようにと焚き付け。
鈴木と死々若丸は癌陀羅ケーブルテレビからの
『冬休み子どもスペシャル三が日生放送!みっちゃくがんだらにじゅうよじかけるさん』
の出演オファーを凍矢が快諾し。
陣は去年と同じく大晦日は幽助の店を手伝い、そのまま今日まで帰ってきていない。
多分二人で酒盛りし爆睡し又酒盛りし爆睡し、を繰り返しているのだろう。
うんうんと頷き凍矢は立ち上がり、テーブルにおかれた皿の上に鎮座するアルミホイルに
包まれた塊を見てほくそ笑んだ。
日々倹約に努め家事やご近所付き合いのみならず、大統領府から要請される仕事をこなした
自分への一年に一度のご褒美。
決して法外な値段ではなく、閉店ギリギリまで粘って半額シールが貼られた
ローストビーフ用肉500グラム。
半分は皆で食べようとサイコロ状にカットし冷凍庫にしまった。
そして半分は自分の為のものだ。
六人で暮らし始めてから始めて自分が迎えた穏やかな正月。その終わりに相応しい晩餐。
肉は薄く切ろうか、それとも厚く切ってしまおうか。
主食はパンにするか米にするか。
ソースは醤油と玉ねぎであっさり作ろうか、それとも貰い物の赤ワインと蜂蜜でつくろうか。
我知らず口元を緩ませていた凍矢は気付いていなかった。
幻海邸へ続く長い階段の下になんの奇跡か悪夢か五人が一堂に介し、
腹が減ったと騒ぎながら近づいている事に。

ACT 2 皿屋敷町内某コンビニ

「和真さん、こちらで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫っス!姉貴と親父の酒と……永吉達の飯」
「明日の朝用の牛乳とパン、ですね」
「これだけありゃ充分っス、じゃオレ買ってくるんで!」
待ってますね、と告げて雪菜は店の外に出た。正月明けだからか二人が向かった
コンビニは人が多くレジには列が出来てい。ならば少し時間がかかるだろうと思ってだ。
真冬の空気は冷たく澄んでいて、氷の眷族以外には厳しく辛いが雪菜には心地良い。
本当は薄着で動き周りたいがさすがに奇異の目で見られるので、周囲に合わせ
コートを着込む。それでもタイツを履かず素足に靴下だけなのは雪菜なりのこだわりだ。
風に揺れたスカートが素足に触れる感触が好きだからだ。
あの感触は以前着ていた着物では味わえなかった。
大きな歩幅で歩くこと、地面を強く蹴って走ること、階段を数段飛ばして駆け上がること、
みんな着物では難しかったがスカートやパンツでなら簡単に出来る。
小さく鼻歌を歌う。これも以前は出来なかった。
陰気なあのくにでは明るくあろうとする事がまるで罪であるように扱われたからだ。
「ねーおとーさん。ゲームのカード買っていい?」
「え〜お年玉もう使っちゃうのか?」
「だってお正月限定アイテムなんだよ、五日までなんだよ。ねーおかーさんにはナイショでさ〜」
「しょうがないなぁ、千円だけだぞ」
「やった!ありがとう!じゃあアイスはおとーさんのおごりね」
雪菜の脇を通り過ぎた親子が楽しげに会話する。
あのくにでは子供のはしゃぐ声など聞こえず、吹雪の音に全てかきけされてしまう。
自分の生まれたくにではあるけど、雪菜はあのくにに溶け込むのが嫌だった。
あのくにの住人と同じように無感動に生きるのが嫌だった。
嫌で嫌で兄を探すと言う大義名分で自分を鼓舞して、くにを抜け出した。
平穏な道のりでないことはわかっていたけれどそれでも、冷たく寒いだけで
澄んでいないあのくにの空気を吸うのはもう、嫌だったのだ。
それに。
「雪菜さんお待たせしましたって……どうしたんすか?」
「……え?」
「いや、なんかキリッとした顔してたんで……寒かったんすか!?」
自分が待たせ過ぎたせいですまないと謝る桑原に困ったように雪菜は微笑み手を伸ばす。
「雪菜さ、ん?」
「はい、少し待ったかも……それで私、寒かったんです。手を繋いで良いですか」
「ははははははい!」
どもり慌てながら桑原は雪菜の手をそっと握る。
雪菜は桑原を見上げながら楽しげに笑い言う。
「こうしてると暖かいですから」
こんなに暖かい『もの』を知ってしまったら、もうあんなくにへは
戻れないなあと心の中で呟いた。

ACT 3 癌陀羅

もうやだ飽きた。
と疲れからか不機嫌に修羅が地団駄を踏んだのは三十分ほど前。
年に数回だけが分刻みのスケジュールは子供には些か辛い。
普段比較的自由に過ごしている反動もあるのだろう(お気に入りの
子供番組の特番が見れなかったのもそれに拍車をかけていたようだが)。
朝から晩まで自分と蔵馬の側で子供らしく無邪気に笑う可愛らしく聡明な王子を
四日間演じた修羅は偉いと黄泉はしみじみ思った。
とは言え黄泉も疲れている。
体力も気力も十二分にあるので、何が疲れたのかと言えばー胃がだ。
朝から晩まで各地から訪れた賓客との宴があったせいだ。
黄泉自身が人間界で購入してきた山海の美味珍味は確かに美味いが毎食は飽きる。
幾ら王様だとは言え毎日毎日美食三昧している訳ではない。
ー時間がない時は握り飯片手に書類作業なんかも熟せないと魔界の王様
(と大統領補佐官)は務まらないーもっとあっさりとしたものが食べたいと
胃が悲鳴を上げていたのだ。
蔵馬謹製の胃薬を飲み腹を摩りながらソファに腰を下ろす。
知らず凝っていた肩を揉み解しながら口淋しいことに気付いた。
ー何か軽く食べるか。
とは言え癌陀羅総長のプライベートスペースのキッチンに食料は乏しい。
あるのは乾物とコーヒーくらいしかない、下に連絡すれば何かしらはあるだろうが、
こってりとした脂とソースに塗れた肉の塊を食う気にはなれない。
かと言って何も腹に入れず寝るのも淋しい。
どうしたものかと悩んでいると風呂から上がった蔵馬が、怪訝そうな視線を
こちらに向けているのに気付いた。
「どうした」
「おまえこそどうしたんだよ、百面相は気持ち悪いだろ」
「気持ち悪い……」
僅かに傷ついた黄泉の横に蔵馬は座る。
「……で」
「ん?」
「百面相の理由」
「口淋しいから何か食おうと思ったんだが」
「ここには何もないけど……あ、出汁用の昆布ならある」
口淋しいからと昆布を齧るのは侘しいだろう、と口にする前に蔵馬が黄泉の膝に手を置いた。
「ど、どうした」
「口淋しい時には飴が良いらしい」
「飴」
飴ならば、パントリーに修羅の為に幾つか購入してあった筈だ。
最近癌陀羅に出店したばかりの人気店の飴もある。
「甘いのばかりだと困るな」
立ち上がりかけた黄泉の手首を蔵馬が掴む。
「なんだ」
「飴が良いんだって言ったろ」
「だから飴を」
睨めつける視線に呆れが混じったのに気付き、黄泉はソファに腰を下ろした。
飴。
……飴?
ああ、そう言う事かと頷いて黄泉は蔵馬の顎に指をかけた。
蔵馬は大人しく目を閉じる。
……口淋しいのはどちらも同じだったか、と笑って黄泉は柔らかい唇に
そっと自分の唇を重ねた。

ACT 4 百足

どうしてオレはここにいるんだろう?
幽助は寝ぼけた頭で考える。
大晦日の営業をやり切った高揚感を抱えたまま、陣と自宅に帰り酒盛りをしたのは覚えている。
年末に買いこんだ食料が空になったところも覚えている。
家に戻ると言う陣と途中まで道が同じだからと
二日から営業しているスーパーに向かったのも覚えている。
なのに。
(なんでオレは軀の隣で寝てんだろう)
普段気にもしないが、客観的に見れば軀はスタイルの良い美人なおねーさんだ。
こうして寝転がっていてもちゃんと胸がある。ーそれはそれとして。
そのスタイルの良い美人のおねーさんの横でオレはなんで寝てんだろう?と再び幽助は考える。
スーパーでカップ麺とカット野菜を買い、ついでに酒も数本。
予算よりも安く上がったのに喜んでいた所に来たのは黄泉からのメール。
『余った刺身があるが貰ってくれないか』
一も二もなく了承のメールを返信し、きっと数時間後に届く氷見の寒ブリとか
大間の鮪とかに夢を馳せ部屋のドアを開け。
そう、部屋のドアを開けたら。
ーなんか百足だったのだ。
訳がわからなかったがドア付近にいた軀と孤光に腕を引っ張られ、
大焼肉大会会場と化した百足内大広間の煙の中へ身を投じた……のは覚えてる。
焼肉食って酒飲んで、飲みすぎ食い過ぎに気をつけろと怒鳴る時雨の声も覚えている。
炭に火をつけさせられ続けた飛影がキレたのも覚えている。
(でもなんでオレは軀の隣で寝てんだろう)
首を伸ばし周囲を見回すと飛影が孤光の胸に抱えられ苦しそうに呻いている。
……ある意味羨ましいとも思えるが、飛影にとっては拷問だろう。
起き上がろうとして弱く頭が痛むのに気付いた。
ゆっくりと取り出したスマホで蔵馬にメッセージを送る。
『あけおめことよろふつかよいのくすりひゃくにんぶんむかでにおくってゆうちゃんより』
正月から甘えてんなあ…とも思うが正月だからこそ出来る甘えだとも思う。
だって幽助は知っている、蔵馬が自分に甘い事を。


〜一日ずれましたが今年正月連作。
明日で正月休みが終わりなんですってよ、知ってまして奥様?とかを
幽助にやって欲しかったんですが断念。

バレンタイン連作

2019-02-14 16:46:15 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
ACT1 飛影

「…………………………」
自分の部屋の数少ない家具ー小さなテーブルだーの上に置かれた透明な袋
(密閉出来る袋だと蔵馬に聞いた事がある)の中身を見て飛影は首を傾げた。
菓子だ。
この時期になると人間界被れの輩が騒ぐ行事の際に手渡すチョコが使われた代物だろう。
飛影はチョコはあまり好きではない。溶けると手に付くのが嫌だからだ。
それにここ数年この時期に軀が渡してくるチョコが飛影の好みから激しく
逸脱した物が多く(:例 1ガチガチに固まった歯が欠けそうなチョコ
: 例2 控えめに言ってかりんとうに似たチョコ等)辟易しているのだ。
だが、今年はどうした事だ。
見た目はまともな部類のパンに似た菓子をマジマジと見てから、袋を開けるとふわりと甘い香りが漂う。
不味そうな匂いもしないし、固そうな感触も無い。
という事はこれを食べても歯は痛まず、腹も壊さない確率が高い。
しかし何故、こんな奇跡が起きた?
軀のチョコを作りの師匠は蔵馬だ。
師匠とは言っても台所を借りているだけで大体蔵馬の忠告を無視し自分の作りたい様に作った
食えるか食えないかで言えばギリギリの線でどうにか食える物体を飛影に寄越す。
蔵馬が手解きしたにも関わらず、に。
なのに何故この菓子は美味そうなのだろう?と飛影は更に首を傾げた。


ACT2 幽助

「あれえ、幽ちゃんナニコレ?」
「何ってバレンタインだろ、だからチョコ蒸しパン」
「はあ、こりゃ手が込んでんねえ……、あの美人さんの手作り?」
「ん、手作り」
「貰っても良いんだろ?」
「バレンタインだからな」
良いもん貰ったーとホロ良いで帰途に着く客を見送って幽助は温かい茶を一口飲む。
真冬の夜には酒も良いが熱い茶も有り難いものだ。
……大変だった。
本当に大変だったのだ、軀と菓子を作るのは。

何せ言う事を聞かない。
人に教えを乞うならばそれなりの姿勢は必要だと思うのだが『材料と昼飯を買って来た』
からそれはチャラになると思っているのが神経わからん。
ー軀持参の『特選牛ハラミ丼』はとんでもなく美味だったが。
作りたいものがあったとしてもそれを作れる腕が無いのなら簡単なものから始める、と言うのが
許せないのだろう。出来ないからやらないでなく出来ないならば出来るまでやる!という考えは
素晴らしいとは思うが周囲(今回は幽助)の迷惑を慮る配慮は一切無い。
結果、本格的なチョコマフィンを作りたがる軀をどうにかだまくらかしガキの頃に
温子が気が向くと作ってくれたホットケーキミックスで作る蒸しパンをアレンジした
(とは言ってもホットケーキミックスに湯煎して溶かしたチョコを混ぜただけだが)
チョコ蒸しパンを完成させマフィンだと言い含めて魔界に帰らせたのだ。
軀が持って帰らなかった分の蒸しパンは一つず透明な袋に入れハート型のシールを貼って
百均で買った籠に積んでカウンターの隅に置いた。
常連のおっさん達は幽助(と軀)作とは気づかず勝手に『幽ちゃんの仲良しの美人のお姉さん
(だと勘違いされてる蔵馬)作』だと二重に勘違いし持ち帰る。
はあと息を吐き出すと真っ白だ。
素朴な疑問だが、カップケーキとマフィンと蒸しパンの違いってなんなんだろう?と幽助は思う。
蒸しパンは系統がちょっと違うのはわかるがそれ以外の二つはどうなんだろう。
使う材料?味?工程?などと悩むが特別調べるまでの疑問では無いのだ、それに。
「いや〜寒いね!幽ちゃん!醤油でチャーシュー増量ね!」
調べてる暇なくこうして客が来る。
「おう、酒はどうする?」
「酒?酒は良いよだって今日は……」
客の視線は蒸しパンに向いている。
「バレンタイン用」
「あ〜うんそっかーそうだよな〜。これ、あれだろ?(あの美人のお姉さんの)手作り」
「ああ(オレと軀の)手作り、持ってっていいぜ」
いやあ、悪いねといそいそとおっさんは鞄に蒸しパンを仕舞う。
ー嘘は言ってない。それに蔵馬が逃げたから自分が被害を被ったのだ。
だったらこれくらいの役得はあったって良いだろ、と屋台に向かって歩いて来る
これまた常連の親父共を目に止めて幽助は一人神妙に頷いた。


ACT3 桑原和真

「桑原くん、はいチョコ」
「……へ?」
「へ?じゃなくて今日バレンタインでしょ。男子バイトと社員に女子一同からチョコ」
おお、そうか。と桑原は胸を撫で下ろした。
なんかの間違いで本命チョコなぞ寄越されたら嬉しいが困るからだ。
「どうしたのチョコいらないの?」
不審そうに自分を見る桑原に呆れたのか女子バイトは眉間に皺を寄せる。
「あ、いや頂きます」
差し出されたチョコを片手で受け取り頭を下げると作業の邪魔にならない様にと
エプロンのポケットに仕舞う。

「桑原くんてさあ」
用事は済んだ筈なのに持ち場に帰らない女子バイトに周囲からチラチラと視線が飛ぶが
本人は気付かないふりを決め込んでいる。
「……はい?なんすか」
「彼女い」
タイミングが良いのか悪いのか定時のチャイムが鳴る。
「オレ今日定時なんすよ。……さんは?」
「あ、あたしも定時!」
少し弾んだ声で返されたが、当の桑原は彼女の声が弾んだ事は全く気にしていない。
「マジすか?いつも残業だから今日も残業なのかと思ってました」
「バレンタインくらいは定時だって」
「へー」
二人並んでタイムカードを押しロッカー室への廊下を雑談しながら歩く。
最近土日にだけ来るキッチンカーのカレーが微妙だとか、駅前のコンビニで売られていた
気に入ってた菓子が最近入荷しないだとか。
「あ、じゃあ」
「あのさ、桑原く」
男子ロッカー室の前で立ち止まった桑原に意を決して彼女は顔を朱に染めて口をひらー
「桑原ー、彼女お迎え来てるぞー!」
「へ…、あ、えええええ!?」
ニヤニヤ笑いながら三十代程の男が近づいて来る。
「しかしかっわいいなーあの子。本当に彼女?従姉妹とかじゃなくて」
真っ赤な顔で彼女です!と叫ぶと桑原は電光石火の勢いでロッカー室に飛び込み
ものの数秒でカバンとコートを肩に駆け出す。
「…………いやー聞きしに勝るラブラブっぷり……。お、なっちゃんどうした?桑原に用事だった?」
「…………別に……」
「桑原あいつモテなさそうに見えて意外とモテるよなあ。
今時っぽくないから目立ってはモテないけど、あいついいなって言う人結構いるし」
能面のような顔で女子バイトーなっちゃんは無言でロッカー室へと歩み去る。
ーいいヤツだけど恋愛対象外。
そんな周りの桑原への評価を間に受けた自分が馬鹿だったのだろう。
こちらから声を掛けずとも重い荷物を持ってくれたり、体調が少し悪い時は気遣ってくれる。
帰りが駅まで一緒になる時は自然に車道側に立ってくれる。
好きになるのに時間はあまりかからなかった。
自分がそうだったのだから同じ様に感じたひとがいてもおかしくない。

自分のロッカーを開けてバッグの隣に置いた赤い紙袋を覗く。
初めて専門店で買ったチョコ。二時間分の時給が飛んで行ったが桑原に渡すのだからと思い切った。
「……思い切ったのになあ」
窓の外を見ると背の高い男と小柄な白いコートの女が並んで歩いてる。
時々男は耳を左に傾け笑う。身長差が随分とあるからだろう。
「いいなあ」
もうちょっと出会うのが早かったら、桑原を好きになるのが早かったら
あそこにいたのは自分だったかもなあ、となっちゃんはチョコを齧りながら考えた。


ACT 4 黄泉

『今年は出張で行けないから先渡し』と日曜に蔵馬から渡されたチョコはもう無い。
修羅の分と合わせて(個人個人で渡すと『パパのモノはボクのモノボクのモノはボクのモノ』と言う
強権が発動するからだ)贈られて来たチョコブラウニーは甘さが控えめで甘い物が得意でない
黄泉でも『美味』だと感じられる物だった。
自ずから淹れたコーヒーをひとくち含む。
これに似合いそうな味だった。バレンタイン当日に蔵馬からの贈り物が一つもないのは
淋しいと残して置いた最後の一切れは修羅の腹に消えた。
『だってボクとパパのケーキでしょ、だからボクが食べたんだよ。いけない?』
と澄んだ眼で問うしたたかな息子に舌を巻きつつも最後の一つを食べる時は食べていいかを
必ず聞く事を約束させた。
しかし、と思う。
蔵馬からのチョコ。
そんなシロモノを口に出来る日が来るんだぞと昔の自分に伝えてやりたい。
いや、伝えた所で盛大に笑いだすか、怯えられるかのどちらかか。
『蔵馬が菓子なんか寄越す訳ねえだろ』か『何入ってっか分かんねえモン食えるか』か。
確かに、千年前の蔵馬は自分で料理などしなかった。
薬膳料理と言う名の毒物なら嬉々として作り味見と言う名の実験にはよーく付き合わされたが。
本人は『喰わずとも生きていける』から味などには気を使わず栄養のみを追求していた様に思う。
「それがなあ……」
大人である黄泉と子供である修羅が双方納得する出来の菓子を贈って来るとは。
ー色々とあったのだろう。
黄泉に話した事も話してない事も。
こちらも蔵馬に話している事も、話していない事もある。
それでいい。
全てを知りたい訳ではないし、全てを知って欲しい訳ではない。
「パパー!」
バタバタと駆けて来る足音と弾んだ声に扉の向こうに顔を向ける。
来れないと言っていた癖に。
自然と綻びそうになる口元を引き締めてお帰り、と言いながら黄泉は扉を開けた。


おまけ

何度聞いても「っしくねーしゃーまーす!!」としか聞こえない雄叫び。
これを聞くのはもう十数回目だ。
何をお願いしているのかと言えばアレだ。
闘魂注入っぽいアレだ。
美味なラーメンを作成する神の腕と類い稀なるカリスマ性を併せ持つラーメン屋店主に
心酔する『神成アン』(くそダサいと思う)達がバレンタインに託けて店主に願ったのだ。
『闘魂注入して下さい!』と。
深く考えないタチの店主はソレを了承しもの凄く手加減した闘魂注入を嫌な顔せず行っているのだ。
丸くなったもんじゃな〜、と本日急用で欠勤したぼたんのピンチヒッターとして
呼ばれたコエンマは厨房の片隅で温かい烏龍茶を飲み干した。





〜バレンタイン!!
なんだえーと三年目くらい?
三年も良く書きますね笑全く。