DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SS  孤独の温泉

2017-04-09 13:01:26 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
『私は温泉に五月蝿い。
魔界だけでなく人間界の温泉へも足を運ぶマニアだ。
いや温泉評論家と言ってもいいだろう。
そんな私が今日訪れたのは魔界で最も栄えていると言っても過言ではない
癌陀羅自治区にある癌陀羅国民温泉だ。
料金も国民は250マーカそれ以外は400マーカと安い。
歩いて五分ほどの所にオープンしたばかりの同じ様な施設はあるが
そちらはどちらかと言うと『スパ』に近いらしく私の好みではない。
私が好きなのは温泉だからだ。
閑話休題。
入口から魔界樫のしっかりとした床。
触れただけで妖気を通し防水防火防塵あらゆる処理がしてあるのが解る。
資材を提供した方の心配りの篤さに感動する。
下足箱に履物をいれ中に入る。
大きなカウンターに従業員が二人。
入浴したい旨を伝えると販売機で券を買えと言われた。
情緒がない。減点一。
券を買い従業員に渡す。タオル等は用意してあったがどの様な物を貸し出しているか
興味があったので借りる。
驚いたことに良い品だった。失礼を承知で言えば鄙びた風情の温泉だ。
安物のタオルだと思っていたらなんてことだ。触り心地は極上。
誇らしげに従業員が一年ほど前から生産が始まった改良された魔界綿で
作製した物だと言う。打倒今治タオルです!と鼻息が荒い。
廊下を歩き温泉へと向かう。
途中休憩室や軽い食事を出す喫茶室マッサージ室などを横目で見ながら
男湯の暖簾を潜る。壁に貼られた注意書きは人間界のモノとさして変わりない
変わった表記と言えば“獣毛の方は専用風呂が御座いますお声がけ下さい"くらいだ。
壁に設置された棚に脱いだ服を置くとまず内湯だ。
入ってすぐの掛け湯専用の湯桶から湯を汲み下半身を軽く流す。
これをしない輩は温泉に入るべきではない。
さてと周囲を見回す。
サウナがある。これは後で入ろう。
湯温が低めの湯船、まずこれに浸かろう。
足から入りゆっくりと身体を沈める。
畳んだタオルを頭に乗せ肩まで湯に浸かる。
市街地にある温泉とあまり期待して居なかったがなかなかどうしてだ。
事務仕事やあまり熱心でない国王の補佐等・・・これは削除しよう。

事務仕事で凝った肩や腕を揉みながら他の湯を見る。
老爺が浸かっている熱湯は温度設定が70度だ。
流石に私でも浸かることは出来ない。子供等が間違えて入ったら目も当てられないのでは
ないか。減点二。
その隣の薬湯からは良い香りがする。
筋肉疲労に効く成分の薬草が編まれた束が浮いている。
これも提供者の温かな心遣いだろう。
全く見た目だけでなく心も美しい方だ。惜しむらくは伴侶を間違えていることだろうか。
あんな角ばかりのロン毛鬼などさっさと見限り幽

筆が乗り過ぎたようだ。
話を温泉に戻そう。
内湯を堪能しメインである露天風呂に行く。
計算されて植えられた植栽。
今の時期だけだろうが桜が咲き目を楽しませてくれる。
綺麗だと呟いたら近くにいた子連れの客が季節ごとに咲く花が違うと
教えてくれた。次は藤が咲きその次は紫陽花だと。
情緒教育に最適ですよとはしゃぐ子供をあやしながら。
遺憾ではあるが良い国だ。
ある意味羨ましいとも言える。
内湯よりも高めの温度。
市街地なのに喧騒も聞こえない。
聞こえるのは鳥の声。楽しげな客達の笑い声。
あと十分浸かろう。
館内着を着て喫茶室で酒を飲もう。
最近生産を初めた地ビールの幟が出ていた。
あれを飲みながら何か摘もう。
この国は食事が旨い。
どうにかして味を盗めないものか。
私はそんな風に考えながら手に掬った湯を顔に当てた。』


「あ、更新されてる。」
「何が?」
「温泉マニアぴかりんの孤独の温泉。」
癌陀羅に二ヶ月ほど前オープンした国民温泉別館
の休憩室で。
マッサージチェアに優雅に寝転ぶ魔界大統領夫人は自分の友人棗に手にした
タブレットを見せた。
「なにそれ。ぴかりん?」
「温泉好きな妖怪の温泉体験ブログなんだけどっんぁっ!」
ぐり。とマッサージの玉が凝った筋肉を押し声が出た。
「エロい声出さないでよ・・・・それが何?」
傍らに置いた老廃物を体内から排出する為のドリンク(良く解らない)に
手を伸ばしながら棗は聞き返した。
「これさぴかりんとか言ってるけどどー考えてもあれなんだよね。
雷禅とこの。」
輝かしき頭部四人組。
「・・・あー。」
「今回更新した温泉がここの近くの安い方でさ。」
あいつんとこ金ないからねと棗は肯く。
「感想にちょこちょこ蔵馬ちゃんのこと挟んで来ててさ。」
「あー・・・・」
アレは雷禅に心酔するあまり今代の王である浦飯幽助に甘い。
というか孫を可愛がる目線で幽助を見たりもする。
幽助が欲しいと言えばアレは願いを叶えてやろうとする。 
「確かにちょろちょろリスペクトしてるわ・・・」
孤光の横からタブレットを覗き見して棗は呆れた。
「でもさー。あたしもハゲの気持ち解るわ。」
ん?と棗は孤光を見返した。
「だって幽助バカだけど可愛いじゃない?
バカの横にはしっかりした相手が相応しいでしょ?
蔵馬ちゃんなら年上だししっかりしてるし能力的に補佐にも
向いてるし頭も良いし並んで絵になるわよ。百年くらいしたら。
今はまだ幽助には勿体無いけど。」
「ふーん。」
「ふーんてアンタはどう思ってんの?」
こくりとドリンクを一口飲む。
「確かに雷禅の子供は可愛いけどさ。
これ見なよ。」
棗は窓の外に広がる癌陀羅自治区を指し示した。
数年前より発展している。
植えられた木々。
新たに造られた商業施設。
楽しげに歩く脆弱な妖気しか持たない妖怪達。
「実力主義の魔界でこんな平和な街造っちゃった黄泉の原動力って
修羅だけじゃないでしょ?
あの子がいるからこそでしょ。」
「わかってるわよ。
でも面白そーじゃない。三角関係。」
にししと歯を見せて笑う孤光に。
「戦争になるわよバカ」
と笑いながら棗は呟く。
「あ。」
「なに?」
「ぴかりんブログまた更新。」
「なんだって?」
タブレットを見ていた孤光の顔が歪む。
「・・・魔界ユムシのグラタン思いついたって・・・」
「・・・私この先一年は雷禅とこにいかないからね。」
本当にあのハゲはいい加減自国の料理について
一般的な感想を持つ新王の忠言に耳をかしやがれと溜め息を棗は吐きだしたのだった。




〜温泉てか立ち寄り湯みたいな。
黄泉蔵サイトなのにー黄泉様も蔵馬さんもいないよー
なぜ〜←書いたのお前だ。
でも何時もとちょろっと書き方変えたので(ぴかりんのほう)新鮮。
ぴかりんはアイツだ。アイツです。
そして引っ張る魔界ユムシ。
ユムシのグラタンとが絶対食べたくありませんか魔界ヒバゴンよりはまだ食べれるような