グー版・迷子の古事記

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太古からの暗号③クチ

2013年10月18日 | 古事記
今回は、太古からの暗号で最後に提示した「木(キ)の霊力」である「口(クチ)」について考えてみたいと思います

顔のパーツは、木(キ)のパーツを模して名づけられています。

芽(メ) → 目(メ)
花(ハナ) → 鼻(ハナ)
実(ミ) → 耳(ミミ)
葉(ハ) → 歯(ハ)

これ程までに、木(キ)のパーツとの関連が明らかになると、舌(シタ)は羊歯(シダ)の葉を意味しているような気もしてきますが、これは確信が持てません。
羊歯(シダ)は木の下の暗い所に生息している事から考えると、口の中の暗い所にある舌(シタ)を羊歯(シダ)に見立てたのかもしれません。
形も似ているし…
「舌(シタ)」は「羊歯(シダ)」から名づけたと考えていいかな

さてここで「口(クチ)」ですが、木(キ)のパーツとしては「?」って感じです。
「口(クチ)」と言う名称は、「口」に「木(キ)の霊力」を感じ始めた後に付けられた名称だと思います。
太古の人達が人間と「木(キ)」に関連性を感じ、その後に「木(キ)」を霊的存在と捉え、またその後に人間に備わる「木(キ)の霊力」を掌るパーツに命名したものが「口(クチ)」だと思います。

それでは、口が「口(クチ)」と命名される前は、なんと呼ばれていたのでしょうか?
実はこれもある程度推測できるのです

結論を先に言うと…
太古において、口は「ハ(葉)」と呼ばれていた

口を閉じて唇の形を見てみてください…
赤い紅葉のように見えませんか?
閉じた唇の真ん中には葉脈も見えてきます。

別の方向からも、この事を少しづつ説明していきましょう

古代において、口から物を出す行動を表現する言葉に次のようなものがあります。

唾く(ツク・ハク)
吐く(ハク・ツク)

「ハク」は、現在でも使われますよね
ゲロを吐く…

「ツク」は、あまり使われませんけど…
嘘をつく…

「ハク」も「ツク」もどちらも、口から物を出す行為に使われます。
「ツク」は「吐」の文字の音読み「ツ」から派生した言葉と考えられると思います。
と言うことは…
「ツク」と言う言葉は、弥生時代に日本に渡ってきた渡来人により使われ始めた言葉の可能性が高いと思います。

「ハク」は?と言うと…
私は、弥生以前の縄文時代或いは縄文よりももっと前の太古から使われていた言葉ではないか、と思います。
「ハク」の「ハ」は「口」「葉」を表していると思うのです。
口から物を出すので「ハ」に助動詞「ク」をつけて、「ハク」と言うことです。

ではこれ以外の言葉で、口を「ハ」と表していた事が窺える言葉はあるでしょうか?
あるんです

「話す(ハナス)」

人間と「木(キ)」に関連性を感じていた太古の人達は、口を「ハ」と考え、口より発せられた言を作る行動を…

(ハ)(ナス) = (葉)(成す)

と考えたのでしょう。
見ることが出来る「口」である「ハ(葉)」から生まれるのは、見ることが出来ない「コト」の「ハ(葉)」なのです。
そしてそれが「コトバ(言葉)」です。

  《口(クチ)に木(キ)の霊力を感じるきっかけ》

「口」から発する「コトノハ」に、名称を与えた段階において、言葉にある程度霊的存在を感じていただろう事は想像できます。
「コトノハ」は、目に見えず、手に捉える事もできません。
このような「気(キ)」とも言える気配を生成する「口」に霊力を感じる事は、至極自然な成り行きだと思います。

それでは太古の人達は、「口」が発する霊力の源をどの様に考えていたのでしょうか?
そこには、ある自然の事象が関係してくると思います。

山で大声を出すと、木霊(コダマ)が返ってきます。
日本の山は木に恵まれている為、山の木霊(コダマ)は木(キ)の神霊の成す業だと思ったのでしょう。
「コダマ」は「木霊(コダマ)」と表現されます。

実はこの木霊(コダマ)を成す木(キ)もある程度推測できるのです。
この話は、少し長くなるのでまたの機会に回したいと思います。

ここまで読んでいただければ、「口」が発する霊力の源が何か、もうお分かりだと思います。
「口」が発する霊力の源は、「木(キ)」に起因していたのです

これで「口(クチ)」は、「木(キ)の霊力」とした意味が理解していただけると思います
「口(クチ)」は「木(キ)」のパーツの一部であり、「木(キ)の霊力」が顕現するパーツだったのです。

言葉の神霊は「言霊(コトダマ)」と言います。
今回考察してきた事を踏まえ考えてみると…
「木霊(コダマ)」と「言霊(コトダマ)」は成立段階において同じ神霊を表していたのかもしれません。
或いは、人間が発する言葉を「言霊(コトダマ)」、木の神霊が発する言葉を「木霊(コダマ)」と初期の段階ではっきり区別していたのだろうか?

「木霊(コダマ)」が先か?「言霊(コトダマ)」が先か?或いは同時に成立したのか?

この問題が解決出来れば、新しい真実が見えてくるのです
今は考えが及びませんが、そのうち考えてみたいと思います
つづくかな