グー版・迷子の古事記

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言葉遊び

2014年01月07日 | いろは歌
しばらくの間「いろは歌」について書いて行こうと思っています
このブログを読んでくれている人にも「いろは歌」をなるべく楽しんでもらえるように今日は「言葉遊び」について書いてみたいと思います。

前回も書いたように「いろは歌」には「咎無くて死す」と言う言葉が隠されていました。
果たして「いろは歌」の作者が本当に意識してこの言葉を歌に織り込んだのか?
今となっては本当の所はわかりません。
しかし「いろは歌」の書き方を色々な方法で書いて行くと、作者が隠したかもしれない言葉が浮き上がってくる事も真実です。

もし「いろは歌」の作者が「咎無くて死す」と言う言葉を歌に織り込んだのならば、この歌を「言葉遊び」と言ってしまうのは、もしかすると作者の意思に反するのかもしれません。
しかし「いろは歌」に沢山の言葉が隠されているならば、その「言葉遊び」を使ってしか今の所、作者の言葉を炙り出すことは出来ないのかもしれません。

ところで…
今から古典や「言葉遊び」を語ろうとしていますが…
私は全くの素人です
それでも私なりに「いろは歌」について説明できればと思います。

「いろは歌」は「言葉遊び」だと先ほど言いましたが、「言葉遊び」とは一体何でしょうか?
「いろは歌」は日本語の47音を重複する事無く、満遍なく一度だけ使って作られた歌です。

日本語の47音と言っても「ん」は入っていません。
また現在では使われていない「ゐ」「ゑ」が使われています。
現在では「ゐ」は「い」の表記に、「ゑ」は「え」の表記に統合されています。
昔はあった音が今では無くなっているからでしょうか?

私は昔の音が無くなったと言う理由だけでは無いと思っています
「ゐ」と「ゑ」はどんな音でしょうか?
とりあえずローマ字で書いてみましょう。
「ゐ」→「WI」  「ゑ」→「WE」
現在の日本語の発音で「WI」「WE]は使ってない?

では少し見方を変えてみましょう。
「上」は訓読みでどのように発音するでしょうか?
「うえ」?
ではローマ字で書いてみてください。
「UE」? 「UWE」? 「UHE」?
もしかすると住んでいる所や育った環境で違うかもしれませんが…
私は「UWE」と発音します。
平仮名に直すと「うゑ」ですね

「上」を「うゑ」と発音するという人はもしかすると私意外にもいるかもしれません。
では「上」と言う文字は、日本で平仮名が使い始められた頃はどのように表記されていたでしょうか?
「うえ」は「うへ」と表記されていました。
ローマ字にすると「UHE」ですね。
「上」をローマ字で表記するのに「UE」「UWE」「UHE」と言う3つの可能性が出てきました。

実は日本語の表記と言うのは極めて曖昧な物を含んでいるような気がします。
元々日本語と言うのは、「母音を続けて使わない」と言う特性がありました。
「上」を発音するのに「UE」と母音を続けて発音するのは発音しずらいですよね

まあ私の様な素人の言葉だけでは…
と思いますのでお偉い人の言葉で…

「古い時期の日本語では、一つの単位の中に母音の連続の存在することを許さなかったので、そういう語形は最初から存在しなかったのである。」
(「いろは歌」小松秀雄 中公新書p72)

この本は現在読んでいる所ですが、個人的に面白そうです

さあそれでは「母音の連続を許さない」日本語ですが、言葉を表記する上では少し困った事が生じてしまいます。
「母音の連続を許さない」と言うことは、母音を頭にする言葉が文中にある場合、その言葉には何かしらの子音を付けて発音する事になります。
話し言葉だけではこの事は問題になりませんが、これを一旦紙に書くとなるとこの子音を付けたままの音にそのままの文字を当てると、全体として文章の意味が分からなくなってしまう可能性があります。
その為、実際にはそれぞれの単語に特定の文字が当てられた物と考えられます。
文章中にあれば実際の発音とは少し違うかもしれない文字が当てられたと言う事です。

何やら小難しそうな話になってきました
まあようするに…

「い」と「ゐ」と「ひ」
「え」と「ゑ」と「へ」
「お」と「を」と「ほ」

これらは同じような発音の言葉であり、表記の上ではそれなりの法則があり、そして文頭と文中では同じ表記であっても発音の上では使い分けられたと言う事です。
「言葉遊び」では混同して使い、いくつもの意味にも取れるような文章を作り上げる事が出来るのです。

また平安時代には実際に「い」と「ゐ」、「え」と「ゑ」などは、「言葉遊び」とは関係なく混同されて使われています。
また平仮名はその成立当初、「いろは歌」が作られたであろう頃には、濁音・破裂音を表現する「点」と「丸」はありませんでした。
音を漢字で表した真仮名にはそれを区別して書いてある物もありますが、平仮名・カタカナには無かったのです。
「ぢ」は「ち」と表記し、「ぱ」は「は」と表記します。
この事でも「言葉遊び」をする上で、いくつもの意味に取れるような文章を作る事ができるのです。

「いろは歌」もこの事を踏まえると面白い文章になるかもしれませんね

最後に…
途中で取り上げた「上」と言う言葉から、日本のツクヨミ以外の古代月神の正体を明かしたつもりでいます

アマテラスのお食事④「ウ」「ユ」「ユウ」「ヨウ」
こっちも読んでみてね
(迷子の古事記 2013.12.12)