グー版・迷子の古事記

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太古からの暗号②「キ」

2013年10月17日 | 古事記
前回、太古からの暗号の最後で「口(クチ)」は「木(キ)の霊力」だと言う事を提示しました。
まず「口(クチ)」について説明する前に、「口(クチ)」の「ク」の部分の元となる「キ」について面白いことに気付いたので、今回は「キ」について考えてみたいと思います


前回、太古からの暗号を書いた後、もう一度、「キ」について考えていました。

その時に…
「そう言えば、「危」も「キ」と発音するよなぁ。」

そして、「危」と「キ」を結ぶある事に気付きました。
私は頭の中である映像を思い浮かべていました。

草原で暮らすプレーリードッグの家族。
そこへ家族を狙う大型の鳥類が、上空に姿を現します。
鳥に気付いた家族の中の一匹が、甲高い声で家族に危険を知らせます。

プレーリードッグの甲高い声が、具体的にどの様な声だったか覚えていませんが、「黄()色い声」だった事は間違いないと思います。

そして今度は、我々の祖先である霊長類の場合はどうだったのか、考えてみました。
霊長類が危険に遭遇した時、家族に危険を知らせる声は…
これはもう間違いないでしょう…

キィーーー

もし疑う方がいるなら動物園で検証してみてください
きっと飼育員に怒られます

もしかすると…
「キ」と言う音は、まだ発声器官の発達していなかった時代から使われていた一つの言葉ではなかったのだろうか?
そんな疑問から、漢和辞典を片手に「キ」と発音する文字をリストアップしていきました。
そして、面白いことに気付きました。
「キ」には三つの感情に起因されると思われる言葉が幾つも見受けられるのです。

①恐怖を表現する「危(キ)」
②空腹を表現する「飢(キ)」
③喜びを表現する「喜・嬉(キ)」

人間の感情は、よく喜怒哀楽と表現されます。
しかし、喜怒哀楽の中には恐怖を表す「危(キ)」と空腹を表す「飢(キ)」は含まれていません。
また①②③の「キ」には「怒」「哀」は含まれていません。

ここで一つ疑問が浮かびました。
「キ」が「キィーーー」と言うほどの激しい感情だとしたら、「キ」に「怒」と「哀」も含まれるべきだと思ったのです。

何故、「怒」と「哀」は「キ」に含まれなかったのか?
その答えは①②③の「キ」に含まれているように感じました。

原始的な社会を想像してみてください。
原始的であれば、原始的であるほどいいかもしれません。
原始的生物は、栄養を体内に取り入れ成長し、細胞分裂で子孫を残します。

そうです原始的欲求とは…

④栄養を補給する事
⑤子孫を残す事

この二つに帰結すると思います。
そして、④の栄養を取ることは、また逆に栄養として捕食される事も示唆しています。

⑥栄養として捕食される恐怖

①②③の「キ」が表す感情とは、④⑤の原始的欲求と④に起因する⑥の捕食される事への恐怖だったのです。

①②③の「危(キ)」「飢(キ)」「喜(キ)」は、人間の最も根源的な感情だったのです
これで「怒」「哀」が「キ」に含まれなかった理由は説明できたと思います

「キ」は人間の最も根源的な感情「キィーーー」から発生した物だと思います

「キ」と発音する言葉には、①の恐怖を起源としたと思われる物が沢山あります。

  《恐怖を表現する「危(キ)」》

「帰(キ)」…捕食者から逃げるため巣へ帰る行動を表したと思います。霊長類は木の上へ逃げ帰ります。
「起(キ)」…走っている状態から立ち止まると言う意味です。恐怖に対する注意を表していると思います。
「鬼(キ)」…元々は死者と言う意味です。恐ろしい存在です。
「忌(キ)」…忌み嫌う事です。

恐怖を表す「キ」は後に、目に見える恐怖から目に見えない恐怖へも応用され「鬼(キ)」に使われています。
そして目に見えない恐怖は、「恐れるべき物」「恐き(かしこき)」存在としての神様も意味するようになってきます。

「気(キ)」…気配。目に見えない何かです。
「亀(キ)」…神獣です。
「希・稀(キ)」…めったに起こらないまれな事です。神意を感じる言葉です。
「奇(キ)」…あやしい。まれ。不思議な事です。

ここまで「キ」の音について説明してきました。
ある程度納得して貰えていたら嬉しい所です
しかしここで一つ、重要な事があります。

今まで提示してきた「キ」は、全て漢字の音読みの「キ」なのです。
何が言いたいかと言うと…
今まで提示してきた「キ」は、日本に渡来してきた新モンゴロイドである弥生系の人々に由来する所が大きいのです。

   《木・月・黄》

「木」「月」「黄」の「キ」は、今まで提示したきた「キ」と違い訓読みで「キ」と読みます。
「月」に関しては、月神で示したように、太古において「キ」の一音で発音したのではないか、と思っています。
「木(キ)」に関しては前回、太古からの暗号で示したように、太古の人達は祖神と思っていたと考えられます。

「木(キ)」「月(キ)」は神様であることから考えても、①の恐怖を表す「キ」から派生された「キ」である可能性は高そうです。
また霊長類は危険に際し、「木(キ)」の上へ逃げ帰ります。
「木(キ)」はこちらからの派生かもしれません。

敵が来た~木(キ)へ逃げろ~

このように考えてくると…
弥生系の新モンゴロイドと縄文以前から日本に住み着いていた旧モンゴロイドは、原始時代に、同じ「キ」と言う言葉を共有していた。
そして、日本に渡った旧モンゴロイドの人達は、独自に「木(キ)」「月(キ)」と言う言葉を生み出した…
と言えそうです。

「黄(キ)」は、「木(キ)」或いは「月(キ)」の色を表したのでしょう。
私は、「黄(キ)」は月の色を表した物だと思います。

黄色い声は、甲高い声を表す事から考えると、原始時代の「キィーーー」に由来している気がします。
この事は、新モンゴロイドと旧モンゴロイドが、同じ「キ」の音を共有していた事を示唆する物ともなりそうです。

また、信号機の黄色が注意を表す事も、太古からの記憶である「キ」の表れなのかもしれません