遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

金工3 山水図皿

2020年04月13日 | 金工

今回も金工細工皿です。

雄大な山水図です。

                    径 20.8㎝

これまでの3枚のうちで一番大きく、手にズシリときます。

 

この皿の特徴は、大自然のなかでの人物です。

上半部、右側。

岩山の上に小さな庵。その中に2人の人物がいます。

 

下半部。

右側、滝の下の橋を渡る2人と、左側の庵の中に、3人の人物がいます。

 

右上の庵のなかの2人。

 

左下の庵の中の3人。

 

まず、ふたつの庵をくらべてみます。

上の庵の屋根。

 

下の庵の屋根。

 

下の庵の屋根は、鋳型の凸で表されていますが、

上の庵の屋根には、極細の線が彫られています。

ほとんどが鋳型の模様の中に、さりげなく、「こんな彫りもできるんだぜ」というような感じで、入れ込んであります。

 

さて、2つの庵の中の人物を、もう一度見てみましょう。

 

どうも、表情があるような気がするのですが?

まさか・・・!

 

念のため、拡大して見ると・・・・

上の庵の2人。

目、口らしきものが見えます。

左側の人物。

 

右側の人物。

 

下の庵の右端の人物。

これらの人物の顔は、0.8-1.2mmほどの大きさしかありません。米粒よりずっと小さい。

こんな所へ、極小の道具で針先ほどの穴を開ける!

熟練の技とはいえ、すごい腕です。

 

裏側はいたって簡素。

「信情」の銘があります。

おそらく、幕末の刀装工でしょう。

 

この皿に込められたのは、心意気というより、職人の意地ですね(^.^)

 

 


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2 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2020-04-13 16:11:52
口径が20.8㎝もあるんですか。
そんな大きなものに、全面的に繊細な鋳型と彫金を施してあるんですね!
これを作るには、大変な手間がかかっていますよね。
確かに、生きるためにやむを得ずやっているだけではなく、職人の意地さえ感じられますね!
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Dr.Kさんへ (遅生)
2020-04-13 18:02:11
これだけの大きさでも、輸出先ではかすんで見えたでしょうね。七宝なんか、巨大化競争でしたから(^^;)
鍔、鞘などの限られた大きさの中で、技巧を凝らしてきた職人たちには、どんどん大きくと言われても、やはり違和感があったんだと思います。それと、自負心(^.^)
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