遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

古面28.顰(しかみ)2

2022年06月01日 | 古面

先回に続いて、顰(しかみ)面です。

幅15.7㎝x長22.2㎝x高8.0㎝。重365g。江戸時代。

図録などでよく見かけるタイプの顰面です。

舞台で使う能面にしては、少し大きく、重いように思います。

前回の品と同じく、木部の上に胡粉を塗り、黒で彩色し、一部、赤と金泥がさしてあります。

 

卓越した彫師の作とは思えませんが、口の造りなどはかなり複雑な彫りです。

塗りの剥落は比較的少ないので、顰面の特徴がよくわかります。

いかつい顔にカット大きく開いた眼と口。

 

前回の品と一緒に並べてみると、面によって「しかむ」に違いがあることがわかりますね。


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4 コメント

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遅生さんへ (みこと)
2022-06-01 12:06:19
これらが顰面なのですね。ありがとうございます。
初めて拝見しました。というか、例えどこかで目にしていてもその意味するところを知らず、「お面」でしかなかったことでしょう。

男も女も面の意味する、恨み、つらみ、怒りがあっても共通する哀しさのようなものが感じられ、相手への感情と同時に、どこか内面で諦めているような印象を受けました。

その諦念が品を醸すのか?そこがまた日本らしい?

西洋だったら決闘で決着つけないと気が済まなくて、一発お見舞いしちゃいそうです(笑)
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みことさんへ (遅生)
2022-06-01 14:21:03
こういうタイプの面は、外国にはあまりないですね。
怖いなら怖い、滑稽ならの滑稽に徹していますから、話がはやいかわりに深みはないですね。
悪人の心にも善、怒りの中に慈悲があるなんていうのは、外国人にはなかなかわかり難いことかもしれません。

鬼の場合、時代によってその中味はかわります。たとえば、大和朝廷が力を持っていく過程で、夷狄とし征服、排除された少数民が鬼とされました。鬼面は滅ほされる彼らの怨念と諦念の両方を表していると言われています
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遅生さんへ (Dr.K)
2022-06-01 16:51:02
前回の面と並べてみますと、面によって「しかむ」には違いがありますね。
その違いは、何から来るのでしょうか?
能舞台で使うとした場合、演目によって、表情の微妙な差が必要とされるので、その演目に合わせた表情の面が求められてからでしょうか、、、?

なるほど、「大和朝廷が力を持っていく過程で、夷狄とし征服、排除された少数民が鬼とされ」たわけですか。
そして、「鬼面は滅ほされる彼らの怨念と諦念の両方を表していると言われ」のですか。
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Dr.Kさんへ (遅生)
2022-06-01 20:08:11
よく知られているように、小面のようなかわいらしい女面では、上を向くと晴れやかな、下を向くと沈んだ表情になります。どうしてそう感じられるかについては諸説あり、私などの出る幕ではありませんが、似たようなことは荒くれ男面でもみられると思います。
なぜそんな面を作るようになったかというと、能が、あくまでも、人間というものを仮面劇で表現しようとしているからだと思います。
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