遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

『納札 東西名物名所合せ』(2)

2021年01月08日 | 納札・紙物

先回に引き続いて、『東西名物名所合せ』の納札です。

すべて、一丁札(4.8x14.4㎝)です。

 

【四天王寺どやどや】

四天王寺(大阪市天王寺区)では、天下泰平、五穀豊穣などを祈る修正会が元旦から始められ、14日の結願日には「どやどや」と呼ばれる行事が行われます。ふんどし姿で護符を奪い合う奇祭「どやどや」は、岩手県の蘇民祭、岡山県の西大寺会陽と並んで、日本三大裸祭の一つと言われています。

【池田切炭】

千利休も愛用したとされる茶の炭が「池田炭」(産地:大阪府能勢郡、集散地;池田市)です。茶の湯炭は、火持ちが良く、香りが高いだけでなく、観賞に耐えられるものであることが求められます。「池田炭」は、その美しい切り口から「菊炭」とも呼ばれ、関東の佐倉炭とともに、古くから茶事用の最高級炭として用いられてきました。

【十三渡しのあん焼】

大阪の淀川には、かつて中津川という支流があり、その13番目の渡しがあったのが十三(大阪市淀川区)です。十三の渡しの両岸に多くの焼餅の店があり、享保12年(1727)に「十三あん焼き」が茶店で売り出され、名物となりました。現在も、創業者の名をとった店「今里屋久兵衛(いまざとやきゅうべえ)」で、「十三焼き」として売られています。

 

【天満初天神 天神花】

大阪天満宮(大阪市北区)では、菅原道真に左遷の命が下った日(1月25日)に、その霊を慰めるため、神前に梅の小枝を供えます。この日は、 一年で最初の縁日、「初天神」であり、「初天神梅花祭」が催されます。この時、紅白の梅の造花などをつけた縁起物、天神花が売られます。

【神明の千木箱】

東京都港区、芝大神宮では、9月に、「だらだら祭り」とよばれる10日間の長い祭りが催されます。この時に授与されるのが、可愛い縁起物「千木筥(ちぎばこ)」です。藤の花が描かれた曲げ物を三段に重ね、荒縄でまとめた物です。東京の郷土玩具でもあり、女性に人気があります。

 

【道修町神農祭の虎】

大阪市中央区、少彦名神社(神農さん)では、毎年11月22日、23日、神農祭(例大祭)が催されます。この時、緑の五葉笹につり下げた黄色い張り子の虎が授与されます。これは、江戸後期にコレラが大流行した際、虎の頭骨を砕いて病よけの丸薬を作り、「神虎」(張り子のトラ)のお守りと一緒に祈願したのが始まりといわれています。

【雷門の飛んだり】

東京浅草の雷門で土産として江戸時代から売られてきた郷土玩具。竹を組み合わせた簡単な仕掛けで、人形が飛び跳ねるからくりが人気をよびました。先回のブログで紹介した福助人形もそのひとつですが、他にも幾つかの小玩具があり、現在も、仲見世の郷土玩具店「助六」で売られています。

 

「雷門の飛んだり」のいろいろ。

右から3番目が、「ゆかりの助六」(先回のブログ)です。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『納札 名物名所合せ』(1) | トップ | 江戸ミニチュアからくり 『... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2021-01-08 10:38:34
納札にも、いろんなものがあるんですね。
これなど、今なら、観光案内のパンフレットみたいですね。
返信する
Dr.Kさんへ (遅生)
2021-01-08 14:51:08
ほんと、そうですね。
出てくるのはローカルな名所、名物ばかりです。
新幹線ができてから、日本中が金太郎飴のように同じ貌になってしまいましたから、オラガ国自慢のレトロさが妙に新鮮に感じられますね(^.^)
返信する

コメントを投稿