遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

インドネシア、人形劇人形、ワヤン・ゴレ(5体)

2024年02月21日 | 古面

先回のブログで、インドネシアの仮面劇、ワヤン・トペンで使われる仮面を紹介しました(この仮面のことも、ワヤン・トペンと呼ぶ)。

インドネシアでは、人形劇も非常に盛んです。扁平な人形を使った影絵芝居(ワヤン・クリ)と通常の人形劇(ワヤン・ゴレ)とに大別されます。

今回紹介する品は、ワヤン・ゴレで使用された人形です。

なお、ワヤンは元々、「影」の意味でしたが、「劇、芝居」を表すようになりました。したがって、ワヤン・トペンは、トペン(仮面)を用いた芝居となります。

ワヤン・ゴレは人形劇、さらには人形劇で使われる人形を表します。

故玩館には、5体のワヤン・ゴレがあります。

 

大きさ(長さ):53㎝、55㎝、68㎝、71㎝、74㎝。

いずれの人形も、かなり長い間使われてきた物です。

極彩色に塗られていたはずですが、長年の間に、ギラギラが薄れ、我々にもあまり違和感がありません。

どぎつい人形というより、喜怒哀楽を秘めた人間に近いものになっている感じがします。

衣裳はいろいろですが、この人形はジャワ更紗をまとっています。あちこちに穴があき、ほころびが目立ちます。

人形の動きを生み出すのは、肩と肘の関節。

掌に付けた細長い竹棒(40㎝ほど)で動かします。

首はスポンと抜けます(人形殺人事件ではありません(^^;)

胴の中は刳り貫いてあって、そこへ太い棒が通り、首を挿す様になっています。

棒の下部を回せば、顔が動きます。

人形遣いの手は二本しかないのに、どうやって3つを動かすのでしょうか。人形使いは、人形の首下につけた主軸棒を左手でもち,右手で人形の両手につけた棒を自在に操るのです。すごい技ですね。

また、心棒の先は尖っています。これを、舞台下の台座に挿して固定することもできます。

ワヤン・ゴレは、人気の高い伝統演劇ですから、上演頻度も高く、かなり洗練されたものでしょう。一度、現地で見たいですね。

骨董の世界では、土俗的な物はずっと素通りしてきました。しかし、戦前、世界を股にかけて活躍した大骨董商、山中商会の目録に、インドネシア人形劇の人形が載っていました。今回の品によく似ていたと思うのですが、例によって、行方が知れません(^^;  探し出せたらまた、報告します。

 

コメント (6)
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