遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

玉杢欅大角盆

2023年02月07日 | 漆器・木製品

今回も箱に入った盆です。

58.7㎝x36.0㎝、高(縁) 2.4㎝。江戸時代後期(文化14年)。

非常に大きな角盆です。素材は欅。表面は透き漆処理、裏面は黒漆塗です。

箱の裏底に、この品の由来が書いてありました。

文化十四丁丑五月有故求
得牛窓本蓮寺牀板之餘
使大工塩飽忠左衛門造此
器満藤喜平治
    五品之内

文化14年5月に、牛窓(岡山県)本蓮寺の牀板の余りを使って、大工、塩飽忠左衛門がこの品を作った 満藤喜平治

本蓮寺は岡山県牛窓にある古刹です。寺の牀板(ゆかいた)の余りを利用して、5枚作られた盆の内の一つが今回の品です。

表面はむらむらとしています。

よく見ると、欅の木目です。

丸い木目(玉杢)がたくさん見られます。

少し大きめの玉杢も点在。

魚の鱗のように同心円がかさなっているので、魚鱗杢(如輪杢)と呼ばれている木目です。魚鱗杢は、数ある木目の中でも最高級のものとして珍重されます。

本蓮寺は、贅沢な材を床木に使っているのですね。寺は牛窓観光の中心地、瀬戸内海の眺めが最高だそうですので、機会があれば床板探しを兼ねて出かけてみたい・・・と思いながら、蓋の裏を眺めていると、無数の虫舐め跡があるではありませんか。

しかし、ぐぐっと目を凝らすと、どうも虫跡ではなく、人がつけた模様に見えます。

垣根、木枝、花が彫られているようです。

江戸時代、自分の名を刻めなかった大工が、そっと刻み込んだ知らせ鉋?(^.^)

 

ps. 先回の肥松盆の光透かしを写真に撮るとき、ライトを近づけすぎて、盆の表面に松ヤニが噴出したのは先回のブログ通りです。ところが、気が付いてみると、電球にもべったりと松ヤニが付いていました(^^;

 

 

コメント (6)
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