珍友*ダイアリー

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『僕たちなりの大人~Our Own Adult~』第十一話

2006-09-29 16:32:00 | 第二章 月の雫
 ホテルに行く金などないので、おれの家に行くことにした。並んで歩き出すと、彼女が聞いてきた。
「おじさん、見かけない顔だね。仕事何してる人?」
 …。ちょっと、待て。老けてるのは言われ慣れてることだけど、そんなさらりと何の悪意もなく、おじさんなんて言われると、さすがに、ちょっとヘコむ。
「おれ、まだ18なんだけど」
 朝剃ったとしても、夕方には生え揃う、驚異的な不精ヒゲが恨めしい。コレさえなければ、もっと若く…見られないかも、やっぱ。
「は?うそっ!!」
 せいあは目を丸くした。初めて、少しとっつきやすい表情になった。どうやら本気で驚いているようだ。
「うそじゃねぇよ」 
 少し、ぶすっとして言った。
「じゃあ、あたしと3歳(つ)しか違わないんだ」
「お前、21?」
 年上とは思わなかった。どう見たって、おれと同い年か、1つ下あたり。でも、見ようと思えば21に見えるかも。
「15だよ」
「はっ?うそっ!」
 先ほどの彼女と同じセリフを、思わず叫んだ。驚きだ。
「うそじゃねーよ」
 彼女もおれと同じセリフを、声をわざと太くして、おれに似せて言った。顔は笑っている。
「老けてるね、おにーさん。よく言われない?」
「言われる。つか、お前も。人のこと言えねー」
「あ、ひどい」
「どっちが。てゆうか、おれ、武蔵。昔の武士の名前」
「そんぐらい知ってるよ」
 …冷たい。

 そんなことを話しているうちに、おれの家に着いた。バスを指差す。
「着いたよ。コレ、おれの家」
「…冗談でしょ?」
 マジっす。



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