木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

大晦日

2012-12-31 22:10:27 | 木工
今年を締めくくる納品は、一閑摺の折敷

注文をいただいていたTさんに、昨日わざわざ工房まで取りに来ていただきました。
お正月から使っていただくとのことです。Tさんありがとうございました。


2012年が終わろうとしています。
今年は例年に無くいろいろな事があった年でした。

春の東京の二人展を始めとし、制作のなかでの新たな出会い。
多くの皆様からの励まし。
夏の炭山の災害と、炭山の皆さんの強さ、やさしさ。
秋の伝統工芸展や木竹部会展を通じ、工芸会の先輩方から多くの事を教えていただいたこと。
物作りに対する姿勢や奥深さ、美意識・・・本当に多くの事を学ばせていただいた一年でした。

お世話になりました皆様に心からお礼申し上げます。
新しい年もどうぞよろしくお願い致します。

では、皆様良いお年をお迎え下さい。


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支援学校の見学

2012-12-30 21:01:00 | 木工
先日、昔の同僚T先生の勤務する支援学校の職業棟を見学させていただきました。


玄関を入ると、生徒さんの作品が季節の展示と共に飾られていました。



ここは木工室。機械が整然と並び、とてもきれいいにされていていました。



機械の可動部には、カバーが付けられ、安全への配慮がなされています。



これはベルトサンダー。全体をカバーで被うと共に、一台一台に集塵機が取り付けられています。
また、機械の周りには棚も付けられ、材料などを置いたりできるようになっています。
授業での実際の作業の様子を見ながら考えられたので、実に機能的に工夫されていました。
貼られているテープの色一つにも生徒さんの実態を踏まえた工夫がなされていました。



こちらはボール盤。使い易い高さになるよう台に乗せています。脚にはキャスターが取り付けられ移動もできます。
もちろん台は移動しても安全な大きさになっています。
これらの台やカバーはすべて手作り。授業の合間を使っての作業だったそうです。



準備室には道具や接着剤などが使い易いように整理されていました。
他の教室も同じように整えられていました。



これらの機械や道具を使って生徒さんが作った作品が準備室に展示されていました。
その種類の多さにもビックリですが、作品が生徒さん自身の力で制作できるよう工程や作業方法などにもいろいろな工夫がなされています。
木の木口などを正確に削り出すためにベルトサンダーを使うと言うのもその一つの例です。



ここで学ぶ事は、木工の技術を身につけることを主の目的としているわけではありません。
機械や道具を使ったもの作りを通じて、将来いろいろな職業に就いていくための基礎になる力を養うことを目的としています。
私の経験からもそれがとても大事なことだと確信しています。



そのために生徒が興味や意欲をもってもの作りに取り組めるような工夫もなされていました。



廊下に掲示されていたこれまでの作品の写真もその一つになると思います。

色々見学させていただき、またお話しをうかがい、T先生のご努力に本当に頭の下がる思いがしました。
特に機械の安全や使い易くする工夫など、自分の工房にも取り入れたいものがいくつもあり、とても勉強になりました。
T先生は来年定年退職を迎えます。長い間本当にご苦労様でした。そしてありがとうございました。

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栃のコーヒーカップ

2012-12-26 18:56:24 | 木工
娘の注文?で、栃のコーヒーカップを作りました。

前回のコーヒーカップは、取っ手を別の木で作ってくっつけましたが、今回は、取っ手も一木から削り出してみることにしました。


赤身の部分を使い、まず内側をろくろで挽きました。



逆に取り付け、取っ手の付く部分を残して底を挽きます。




外側を切り取り、取っ手を削り出します。
途中の写真を撮り忘れましたが、バンドソーをうまく使うとそれほどの手間ではありません。




同じく栃で、形を少し変え、もう一つ作って見ました。
この段階で娘に見せると、形や大きさは気に入ったものの、取っ手は「持ちにくい」「指が入らない」など文句たらたら。
自分の指が太いのを梁に上げて・・・・。



取りあえず、ぐい呑みと一緒に木地固め。生漆を徹底して吸わせました。

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クリスマスイブに

2012-12-25 22:31:35 | その他
昨夜のクリスマスイブ。最高のプレゼントをいただきました。
それは、メサイアコンサートの招待券。

第48回を数える、全同志社のメサイア演奏会チェンバロ演奏で出演する井幡さんよりいただいたのです。


                        (当日のパンフレット表紙)

メサイアの演奏会はもちろん初めて。演奏も全曲を聴いたことはありませんでした。
3時間近い演奏でしたが、当日のパンフレットで歌詞の翻訳に目を通して聞いたので、曲の雰囲気と背景が重なり、
美しい演奏とコーラス聞きながら、時間があっという間にすぎてしまいました。

大勢のコーラスとオーケストラの演奏の中でチェンバロの繊細な響きがかき消されてしまうのでは・・・と、いらん心配をしていましたが、弦楽器や管楽器の響きに、絹雲母のように繊細でやわらかいチェンバロの音が重なり、そのやわらかな響きの心地良さには大いに感動しました。



                           (当日のパンフレットより)
感動の内に演奏が終わり、鳴り止まぬ拍手の後、会場の電気が消えるとステージにはろうそくの明かりが。
そして、「きよしこの夜」の演奏がはじまりました。それがまた美しい。
久しぶりに、クリスマスにふさわしい一時を過ごすことができました。
井幡さん、すてきなプレデントをありがとうございました。

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薪割

2012-12-21 21:40:30 | その他
明日は雨、その後はクリスマス寒波。やはり今日しかない・・・。
と決意した薪割。薪置き場を整理して、チェーンソーを準備して・・・。


ところが、チェーンソーのエンジンがかからない。
原因はわかっているのですが・・・・実は前回使おうと思って、ガソリンと間違えてエンジンオイルを入れてしまったのです。
慌てて出しては置いたものの・・・やはり・・・
分解して、プラグをはずし、シリンダーの中や、燃料パイプを掃除・・・したつもり。
昼食の間シリンダー内を乾かして、昼から再挑戦。
半分諦めかけていたところ突然エンジンがかかった! ものすごい排気の煙。
でもしばらくすると元に戻り、一安心。



まずは、いーポート世屋の支配人が届けてくれた栗の木の玉切り。
これがけっこう腰に応える。



時間も下がってきているので、途中で割る作業に。
薪割機が大活躍。これがなければ腰がもちません。



ほぼ割り終わり、一輪車で薪置き場へ運び始めた頃には、あたりは薄暗くなってきました。
割った薪を運び、大鋸屑の掃除を始めると、ポツリ、ポツリと雨が。
雨がひどくならないうちになんとか掃除も終わり、やれやれ。
やっと半分が片づきました。続きは来週。

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ぐい呑み

2012-12-20 22:52:13 | 木工
久しぶりにろくろを回しました。

作るのは、栃のぐい呑み。
文化財漆協会の会員漆芸展に向けての制作です。


今回は強い味方ができました。

低回転グラインダ。
今までバイトは普通のグラインダで研いでいましたが、これで安心して研げます。



もちろん切れ味はグンとアップし、気持ちよく削れます。



取りあえず、試作しバランスの良い形を探ります。



形、大きさもだいたい決まりました。


文化財漆協会漆芸展は1月30日(木)から2月4日(月)まで、東京三越本店で開かれます。

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一閑摺り折敷 仕上げ 

2012-12-14 21:48:23 | 木工
しばらく開いてしまいましたが、一閑摺りの折敷(ランチョンマット)

最後は、縁に黒艶消し漆をぬって仕上げます。
完成までもう一息です。



年内に納品しなければならない物が他にもいろいろ。

神代杉の小箱。
被せの蓋の組立て。




こちらは身。
内側をペーパーで磨き、仕上げてから組立てます。




仕口は雇核。




台輪は黒柿で作ります。こちらも雇核にしました。

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大坂弘道展

2012-12-09 23:31:34 | 木工


工芸会の疋田さんのおすすめで、「人間国宝 大坂弘道展」へ。
場所は練馬区立美術館 8日に大坂先生のギャラリートークがあり、それに合わせて行ってきました。




会場には、初期の作品から、2002年以降の未発表作品まで約60点が展示されていました。
どれもがまさに超絶技巧。その美しさ、素晴らしさに、時間を忘れて見入ってしまいました。
参考出品として、「黒柿蘇芳染拭漆宝相華文嵌荘香座」の制作工程見本も展示され、その精緻さは人間業とは思えないものでした。
ギャラリートークは、そう広くない会場に100名以上と思われる人が集まり、移動ができず、定点からのお話しでした。

中学校の教師をしながら研鑽を積み、正倉院宝物の模造を委嘱され、やがては人間国宝に認定されます。
その40年に渡る制作活動から生み出された作品のほとんどは手元に残され、今回45点をご自宅近くにあるこの練馬区立美術館に寄託されたのです。
人生のすべてを美しいものを作り出す事だけに捧げたといっても良い先生の生き様には大変感動しました。



この展覧会は、来年の2月11日まで開かれています。
美しい作品の数々と、人間の技術の素晴らしさを多くの方に見ていただきたいと思います。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

 


今回の東京行きでは他にもいくつかの展覧会を見てきました。


まずは、根津美術館で開かれていた、「柴田是真展」
2年前、京都の承天閣美術館にも行きましたが、この時は漆絵が多かったように記憶しています。
今回は工芸品が中心。思いも付かないようなものを題材に取り入れ、ありとあらゆる技法を駆使した作品には感動の連続。
その発想の豊かさにも驚きました。

根津美術館には、もう一つ驚きの展示があります。それは、中国、殷・周の時代の青銅器。
殷・周の時代と言えば今から3000年以上前。その時代にこれだけのものが作り出されていたのです。
これにもビックリ。



もう一つ、急遽行くことに決めたのが、上野の森美術館で開かれていた「ツタンカーメン展」。
一度見ておくのも良いのでは・・位のつもりで行ったのですが、これまたビックリ。
石や金を中心とした文化だと思っていたのに、木で作られたものが多いこと。木管の他、椅子、チェスト、箱、から舟の模型まで・・・。
特に、椅子や箱は現代でもそう簡単にできそうもないデザインと構造。これが3300年以上も前に作られていたとは・・・。
我々の作り出す椅子が、それから進歩していると言えるのでしょうか・・・。そんな思いがしました。
その他、装飾品や彫り物の素晴らしさ・・・どんな道具でどのように作ったのか・・・。


人間のものを作り出す力の素晴らしさ、すごさには唯々驚き、感動の2日間でした。

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一閑摺り折敷  摺り

2012-12-02 18:27:45 | 
縁が完成したので、表面の摺りにかかりました。


表は油煙入りの生漆をヘラで付け、



布で拭き取ります。


それが乾いたら裏側

こちらは朱を練り込んだ生漆をヘラで付け



やはり布で拭き取ります。



これを数回繰り返します。Tさん、もうしばらくお待ちください。



五稜箸の修理も完成が近づいてきました。

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