木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

全国伝統的工芸品まつりきょうと

2009-10-31 23:51:37 | 木工
京都市岡崎の「みやこメッセ」で開かれている、「全国伝統的工芸品まつりきょうと」に行ってきました。

まずは、全国くらしの工芸展の会場へ。

これは京指物のブース。


こちらは大阪唐木指物のブース。
このほか全国の伝統工芸品のブースが並んでいて、なかなか興味深かったです。


隣の会場は、伝統工芸ふれあい広場。伝統的工芸品の制作体験ができます。
肥後象嵌のコーナーで金属象嵌を見せてもらいました。金属に象嵌をする工程がよく理解でき、勉強になりました。

この伝統工芸祭りに来た最大の目的は、同時に開かれている「日本伝統工芸士作品展」に播州三木打刃物の代表として出品されている、千代鶴貞秀さんの「槍鉋」を見ることでした。
陶磁器や漆器、織物などの華やかな工芸品の中で、地味な存在の打ち刃物ですが、「槍鉋」は、全国から出品された作品の中で「入選」に選ばれていました。
実は、この槍鉋の出品に当たり、柄の制作を依頼され、杢のきれいな栃を拭き漆で仕上げてお納めしました。

会場は撮影禁止で撮影できませんでしたが、

入選した槍鉋です。納品前に撮影しました。
少しでもお手伝いでき、これほどうれしいことはありません。

なお、この作品展の入選作品は、今後、東京池袋の全国伝統的工芸品センター(11/26~12/8)と高島屋で開かれる作品展に展示されるということです。
機会がありましたらご覧ください。

「全国伝統的工芸品まつりきょうと」は明日(11/1)まで開かれています。
 
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鉋の研ぎ 2

2009-10-30 22:32:18 | 道具
砥石の面直し


砥石の面直しは、荒砥でします。その名もあらと君。
大村砥、金剛砂砥などを使ってきましたが、大きさが手頃なので最近はこれを使っています。
昔、面直しするのに何か平らなものはないかと探したこともありました。
しかし、どんな堅いものでもこすり合わせれば必ず減るので、正確な平面を保ち続けるものはありません。
それならば、自分で平面を作ればよい。と言うことで荒砥を2本用意し、4面を互いにすりあわせ平面を保ちます。


荒砥もかなり減りますので、時々定規で確認して、互いにすりあわせて平面に修正します。

なぜ、そこまでして鉋を平らに研ぐのかと言うと、刃先を仕上げ砥にしっかり当てるため、それだけなのです。
刃先さえしっかり研げれば別に平らでなくても良いのです。
いわゆる2段研ぎがそれです。治具を使えばこれが一番確実に刃先を研ぐ事ができると思います。
ただ、2段研ぎを正確にするためには治具が必要ですし、ずっと刃先だけを研ぎ続けたらよいわけでもありません。
話がそれましたが、刃物を研げば砥石は必ず減ります。そして減った部分に合わせて刃物が減っていきます。
砥石の全面を均一に使うわけではないので、必ず砥石の中心部が低くなり、それに合わせて刃物の砥石に当たっている面も丸くなっていきます。
平らに研ぐと言うことは、この丸くなるのをいかに少なくして研ぎ、硬い平らな仕上げ砥で刃先がしっかり当たるようにするのか、と言うことだと思います。



鉋の裏出しにはこれを使っています。


金床は鉋を当てる部分だけ高くし、後は削り落としてもらいました。
玄翁は、最近、金槌(舟形玄翁)の大きなものを見つけ、先を少し扁平に落として使っています。
簡単に裏が出せ、なかなか具合良いですよ。


裏押しは、もっぱらダイヤモンド砥石。1000番で押した後、焼結式ダイヤモンド砥石の12000番で押します。
この砥石、少々高いですが、逸品です。砥石が3mmと厚く、面直しもできますので、一生使えそうです。
すぐへたる電着式に比べてればずっとお得です。
硬い欅などを削った後は、鉋の裏に刃先も痛みま、仕上げ砥石だけでは裏の刃先の痛みが取れないことがあります。
そんな時この12000番で押すと裏がピシっと決まります。


目詰まりはこの人造名倉?で簡単に落とせます。


最後に、以前にも紹介しましたが、これが研ぎ場。
流しは木で作り、生漆を塗っています。ちょっと贅沢。
この向かい側が作業台、切れ止んだら後を向けばすぐ研げる、という環境です。
言い方を変えれば、工房が狭い、ということになるのですが・・・。
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鉋の研ぎ

2009-10-29 22:29:17 | 道具
テーブル天板のルーターでの平面出しと厚さ決めが終わり、鉋掛けに入ります。
これから削っては研ぎ、研いでは削りの繰り返しです。
今日は鉋の研ぎについて。


はじめに使う中砥は「ニューケント」の1000番
比較的硬めですがよく下ろします。砥石の減りも比較的少ない。
この砥石で刃返りがおきるまで砥がないのがこつです。
但し、刃こぼれを起こしている時は、この砥石で刃こぼれが取れるまで研ぎます。


次に当てるのが、「キングハイパー」これも1000番なのですが、他の1000番の砥石に比べきめ細か井のが特徴です。
よく下ろすので、これから研ぎ始めても良いくらいです。
ニューケントの荒い傷を取る程度で、刃返りがおきる寸前か少し刃返りができた時点で止めます。


そして2000番、今おもに使っているのは「ベスター」の2000番。
この2000番でやや刃返りができる位の研ぎ方が良いのではないかと思っているのですが・・・。


この砥石研ぎ心地や硬さなどは良いのですが、中にやや荒い粒子が入っており、地を引くのが欠点。
この他に、シグマパワーの2000番や刃の黒幕の2000番も使いますが、一長一短。最近はこのベスターを使っています。


中砥の最後は「青砥」
青砥を使っている人は少ないようですが、なぜ使われないのか不思議です。
1000番や2000番からいきなり仕上げ砥にいったのでは、傷を取るのに時間がかかり大変です。
その間に青砥を入れると、仕上げがとても楽になり、速く研ぎ上がります。


仕上げ砥。
刃物に合う、合わないがありますし、その時の気分でいろいろ使ってみますが、最近はこれを主に使っています。近所の金物店で試し研ぎをして具合が良かったので購入したもので、どこの山の石かはわかりません。
名倉はほとんど使いません。


こちらは裏研ぎ用。25年~26年前に浅草の「といしや」で買った中山のこっぱです。
良い砥石ですが小さいので裏研ぎ専用にしています。


研ぎ上がった刃先。


こちらは裏。

たくさんの砥石を使うので時間がかかりそうですが、1000番の傷が簡単に消えていくのでかえって速く、刃こぼれがなければ、3分で位で研ぎ上がります。



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Mさんの工房を訪問しました

2009-10-28 22:37:32 | 木工
亀岡の湯ノ花温泉近くにあるMさんの工房にいってきました。
木工塾OBでもあるMさんは、長年木彫や刳り物に取り組まれ、木工塾作品展でもご一緒させて頂いたこともある女性です。
今年の作品展の際、長年集められた材を少し処分したいという相談を「一木一優」のMtさんが受け、一緒にお話を聞きに行ってきました。


広い敷地の一角に工房を建てられ、そこで日々刳り物の制作に励んでおられます。


工房内や、


材料置き場


そして、軒下にも欅を中心とするたくさんの材が。
大切に保存されてきた材ですが、これだけの量や大きな材は、体力的にもこれから使うことはないのでは、と手放すことを考えておられるようです。

具体的な事は追々相談させていただく事にして、工房や作品を見せて頂きました。


作業台の上には制作中の盛り器が


整然と並べられた豆鉋 


制作された作品


女性らしい気品と細やかさ、優しさがあふれています。
本当にすばらしい作品ばかりです。
しかも、何れも練習に作った物だというから驚きです。

工房の隣の建物の中も見せて頂きました。

この部屋、床も、壁もご自分で貼られたということです。


壁にかけられた木彫と椅子。この他にもたくさんの作品が置かれていました。
何とも言えない良い良い雰囲気でした。


集められた古い器などからもセンスが伺えます。
いろいろ見せた頂いたり、お話をお聞きし、至福の時間があっという間に過ぎてしまいました。


帰りには、二人ともこんなお土産まで頂いてしまいました。

手放す材は、「できれば若い人にも使ってもらいたい。」ともおっしゃっていましたので、ご希望に添うようお手伝いさせて頂きたいと思います。
Mさん、本当にありがとうございました。
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天板、仕上げ削り

2009-10-27 23:04:53 | 木工
昨日から作りかけていた桐箱が完成。


先日の陶器まつりで注文を頂いた夫婦の五稜箸用です。


一方、欅の天板の仕上げ削りも最終盤

鉋境を手で探りながら


取っていきます。鉋は古い「貞秀」寸六です。実によく切れます。


反対側は逆手で削らねばなりません。


完璧とはいきませんが何とか仕上がりました。
それなりに仕上げてみても、捨て刷りの漆を塗ると、いつもがっくりくるのですが・・・。

次は、店舗用テーブルの荒削り。

ルーターで削るため、台に乗せてみると・・・


ガイドより板の方が厚い!!


下駄を履かせて削り始めました。
両面で15mm落として、60mmに仕上げます。

そして、夜なべ仕事は・・・

ちょっと調子がでてきたころには終わりです。


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欅の天板削り

2009-10-26 23:47:17 | 木工
炭山のふれあい陶器まつりも無事終了。


たくさんの皆様に見て頂きありがとうございました。


笹谷さんをはじめ、炭山陶芸の皆様にも大変お世話になりました。
地元での行事にこうして参加させてもらえるのは大変うれしいことです。

中断していた、欅の座卓の天板削りの再開です。

なかなかのくせ者ですが、前回の欅の板ほど堅くはありませんでしたが、幅が広いので大変です。


だいぶ仕上がってきましたが、それでも、ルータが起こした逆目と、はじめの頃無造作に削って起こしてしまった逆目がまだ完全に抜け切れていません。
もう一息です。

午後は、日本伝統工芸展に行って来ました。
今日は最終日で5時まで。
着いたのが4時過ぎでゆっくり見て回る時間はありませんでしたが、Mさんにお会いし、今度工房におじゃまさせて頂く事になりました。
いろいろ教えて頂こうと思っています。

夜は、家でこの夜なべ仕事

児相につとめる先輩からの依頼で看板書き。久しぶりでなかなかバランスがとれません。



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炭山ふれあい陶器まつり 1日目

2009-10-24 22:16:55 | 工房
ふれあい陶器まつり1日目 


予報に反し曇り空でしたが、朝からたくさんのお客様がお見えになりました。


会場の入り口近くには、窯元特選のぐい呑みセットの限定販売。
感じの良いぐい呑みが激安!酒を飲まない私でも欲しくなります。


こちらが私たちの木工芸の出店コーナー


おなじみ「五稜箸」と合鹿椀


銘木文鎮に筆架(筆かけ)、干支の虎
小物を中心に並べましたが、あまり代わり映えしませんね。



こちらは、工房「木漏れ日」の松岡さん


そして、スタジオ「木壺」の柳原さん


この木工芸コーナーで、今回人気があったのがこれ

山野草。
作品の引き立て役に置いたのに・・・脇役ばかりに人気が集まるなんて・・・。
そこで、急遽、梅原英光園さんにお願いし、明日から少し販売もさせてもらうことにしました。
お楽しみに。

そして、今日一番の出来事は先日桐の長持をお預かりした、丹後のYさんが、京都へ来られたついでにここまで足を伸ばして来てくださったことです。
遠いところ本当にありがとうございました。
お土産の新米早速頂きました。とてもおいしかったです。

明日は天気になりそうですね。
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秋の炭山へどうぞ

2009-10-23 21:01:37 | 
あすから第5回炭山窯元ふれあい陶器まつりです。


現地では準備が始まっています。


私たちの木工は、この笹谷さんの工房の前に出店します。


窯元ならではの陶器の掘り出し物もたくさん並べられます。
また、ろくろ体験など楽しい催しも行われます。


無料のシャトルバスも運行されます。
この機会に炭山の里にお越しくださり、秋の一日をゆっくりお過ごしください。

ところで今回並べる予定の作品の内、拭き漆をやり直していた銘々皿・・・

今日には仕上がる予定が・・・漆室から出してみると・・・くもりが・・・
こうなると、上に拭き重ねてもくもりはひどくなるばかり
なぜこうなるのか、温度の問題、漆の問題などが考えられるのですが・・・よくわかっていません。


炭粉胴摺りをかけてやり直しです。


表面がわずかに削られ、つや消しになりました。この後ヘラ摺りしてモスリンで拭きます。
明日までに仕上がってくれるでしょうか。

この銘々皿、「一木一優」の作品展の前から延々とやっているのですが、なかなかうまく仕上がってくれません。
でも、この栃の杢の美しさが一番きわだつ仕上がりをどうしても実現したいのです。
こうなればとことんやるしかありません。そのうち何かが見えてくるでしょう。

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生漆のなやし、くろめ

2009-10-22 20:34:49 | 
稽古中の椀の塗りに使うため、久しぶりに生漆のなやし、くろめをしました。



この夏譲っていただいた新潟産の生漆を45g、底が平らなガラスの器にとり、ヘラでかき混ぜました。
気温が低いので白熱灯で少し熱を加えながらかき混ぜました。
時々重さを量りながら水分の飛び具合を見ます。


20分経過。色がやや茶色になってきました。


45分経過。眠気とたたかいながらひたすらかき混ぜました。
この時点で約6g重さが減っていました。


1時間経過。だいぶ飴色になってきました。
重さは約8g減っていました。

さらに続け、

約2時間経過。生漆の濁りが消え、飴色に透けてきました。
重さも10g減った状態で安定。45gあった生漆が35gに、22%の水分が飛んだことになります。
これでほぼ完了です。


混じった埃を取るために漉してチューブに詰めました。

このくろめ漆は制作中の中椀の中塗りに使います。
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陶器まつりにむけて

2009-10-21 22:33:49 | 木工
炭山の「陶器まつり」に向けて、販売用の小物を制作しています。


一つは、銘木文鎮。 鉋で仕上げ削りをした後、椋の葉とイボタ蝋で磨いて仕上げます。


左は、今「イボタ」という名で売られている蝋。
右が20年以上前に購入した本物のイボタ蝋。当時でもこれ一つで左の「イボタ」が20個近く買える値段だったように記憶しています。
今ではもう手に入らないのではないでしょうか。


椋の葉は、蒸して乾燥したものを水で戻し、水気をとって使います。
椋の葉で磨いた後、椋の葉にイボタ蝋をつけて磨くと良いつやが出ます。


できあがった文鎮。左から桑、栗、神代欅、桐、檜、栃。
檜は香りを楽しむため。鉋で削ったままです。
桐の文鎮というのはどうでしょうか。

そしてもう一つ

来年の干支のトラ。
昨年は糸鋸でミニ木工教室をしたのですが、今年は体験はやめて、希望のあった干支の動物の販売のみにしました。


こちらは大物 もちろん「陶器まつり」用ではありません。

店舗用テーブルの欅の天板。幅が90cm以上、厚みが7.5cmあります。


必要な寸法に合わせ半分に切りましたが、一つの重さが50kg位。
それが2枚です。
少し薄くしないと、扱える重さではありません。


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