木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

生漆のなやし、くろめ

2010-12-13 22:32:59 | 
なやし・くろめ機をつかって実際に漆のなやし、くろめをしてみました。


昨年、渡邉さんから分けていただいた新潟産荒味漆。
一度寒冷紗では漉してはありますが、細かいゴミを取るため吉野紙で再度こしました。
ゴミが多いので、紙が目詰まりしやすく、注意して漉さないと破裂します。
そんな時、この両搾りの漉し馬は、ちょっとゆるめて漆の位置を移動させることができるので大変便利です。


機械に乗せ、ヘラをセットし準備完了。生漆は165グラムありました。


くろめ開始。良い感じです。ファンで風を送って水分をとばします。この時の漆の温度は16℃。
なやしを強くかけるため、暖めません。


あとは機械にお任せ、と行きたいのですが、初めてなので様子を見守ります。
コーヒーを飲み、本でも読みながら・・・。この「漆の文化史」なかなかおもしろいですよ。
縄文時代の前期には、すでに、今日の技術に通じるような漆の使われ方をしていたというから驚きです。


くろめること約2時間。水分が飛び、漆が透けてきました。(写真で透けたように見えないのは細かな泡が入っているためです。)
最後の15分ほどはしっかり水分を飛ばすため、ドライヤーで暖かい風をおくりました。
この時の漆の重さは130グラム。35グラムすなわち、21%の水分が飛んだことになります。


この漆を、再度漉し紙で漉してチューブに詰めました。


漉した後の器などに残った漆は制作中の羽反椀の最後の拭き上げに使いました。
モスリンで拭くと良い艶に仕上がります。

このなやし、くろめ機?、ヘラの形状にもう少し改良が必要な箇所も見つかりましたが、まずまず成功でした。

なぜこんなことをするかというと、一言で言うと「漆の持つ力を最大限に引き出すため」ということになるのでしょうか。
つまり、低粘度で透明感があって艶が良く、乾燥が速い丈夫な漆に精製することができるのです。

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