講談社選書メチエ
『戦場に舞ったビラ―伝単で読み直す太平洋戦争』
一ノ瀬 俊也【著】
講談社(2007/03/10 出版)
講談社BOOK倶楽部 伝単という情報戦から見た太平洋戦争
"太平洋戦争中、伝単は日、米、英、豪、中(国民党軍・八路軍)の軍隊によって大量に作られ、それぞれの敵陣・領土に投下・撒布された。"
コレクション大公開!も出版~価格: ¥9,975 (税込)
本書の後書きによると、伝単は著者が私費でコツコツ集めたものらしい。ネットオークションに出るそうだ。
日本軍の伝単などは、米軍では拾ってはいけないどころか、「しょーもねえな、こんなトンマなビラ作りおって(苦笑)」といった風に受け止められ、故郷への土産として持ち帰った兵士がいた由。
彼らが続々と彼岸にわたる(これでは仏教的か?)ような時代なので、遺族が売りに出すのだろう。
匿名でも可能な取引に公費を支出できないため、購入は自腹になる由。
「万年助手の安月給」は、大学の准教授になって少しは改善したのだろうか。
埼玉大学研究者総覧
教養学部 教養学科哲学歴史講座 准教授
国立歴史民俗博物館(前職)
一ノ瀬 俊也 ICHINOSE Toshiya
日本兵は捕虜になってはいけないときつく教育されていたので、捕虜になろうとした場合にどうすればよいのか分らない。
そこで、米軍では「このようにすれば安全に保護する」と説明した伝単を配布した由。
ショックだった話は、敗走して混乱する部隊から一旦離脱した兵士が、終戦という情報を得て部隊に戻った場合に、既に終戦後なのにもかかわらず、脱走兵として軍法会議もなしに即決で銃殺されたケースがあるという件。帰還将兵の手記に記載がある由。
理不尽なことは山ほどあったのだろう。
『沖縄戦下の米日心理作戦』(大田昌秀 2004)でも紹介された英軍伝単「軍陣新聞」について詳細に紹介。
『プロパガンダ戦史』(池田徳真1981年)での高評価も紹介。
"サンフランシスコに移住していた社会主義者の岡繁樹が、イギリス政府の依頼を受け、邦字新聞の発行に使っていた日本語活字とともにカルカッタにわたり、同地で新聞型伝単「軍陣新聞」をはじめとする各種の伝単を作った。岡が日本文の原稿を書き、台湾の学校で校長をしていた英人が翻訳して司令部の許可を得てから印刷された。"由。
(岡・塩田・藤原編『祖国を敵として一在米日本人の反戦運動』)
反骨の在米ジャーナリスト岡繁樹の1936年来日と偽装転向 加藤哲郎教授(一橋大学)
"本稿は、実弟岡直樹の文章に従って、1959年6月5日大往生説を採る(岡直樹・塩田庄兵衛・藤原彰編『祖国を敵として』明治文献、1965年、22頁)。 "
本書の本文中および巻末の参考文献一覧に『祖国を敵として――在米日本人の反戦運動』の編者が「岡繁樹・塩田庄兵衛・藤原彰」とあるのは誤りのようだ。
岡繁樹(1959年逝去)の生涯を実弟の岡直樹らがまとめたもの(1965年出版)なので、6年前に死んだ本人は参加できない
正解っぽい表記:祖国を敵として : 一在米日本人の反戦運動
東京 : 明治文献, 昭和 40 [1965]
・岡繁樹の生涯と思想 (思い出・遺稿・来信)
・ビルマ戦線の反戦文書
SearchWorks is the Stanford University Libraries' next generation search engine.
~すごいかも、スタンフォード大図書館のこの仕組み。
「軍陣新聞」の詳細に関しては、上記『祖国を敵として・・』が最も詳しい資料なのだろう。
現物を確認した人が少ないらしく、タイトルの記載自体、まちまちなのだ。
スタンフォード大の読み下し~Sokoku o teki to shite : ichi zaibei Nihonjin no hansen undō ~が正確であると思われる。
「一在米日本人」のくだりの、イチの部分がハイフンにされたり(一ノ瀬巻末)、スペースにされたり(一ノ瀬本文)、じつは現物未見だろう。
細かい話ですまんね
福岡県弁護士会 弁護士会の読書:日本史(現代史)
先生と同好の士、だわな。
伝単 戦時中に撒かれたビラ
『戦場に舞ったビラ―伝単で読み直す太平洋戦争』
一ノ瀬 俊也【著】
講談社(2007/03/10 出版)
講談社BOOK倶楽部 伝単という情報戦から見た太平洋戦争
"太平洋戦争中、伝単は日、米、英、豪、中(国民党軍・八路軍)の軍隊によって大量に作られ、それぞれの敵陣・領土に投下・撒布された。"
コレクション大公開!も出版~価格: ¥9,975 (税込)
本書の後書きによると、伝単は著者が私費でコツコツ集めたものらしい。ネットオークションに出るそうだ。
日本軍の伝単などは、米軍では拾ってはいけないどころか、「しょーもねえな、こんなトンマなビラ作りおって(苦笑)」といった風に受け止められ、故郷への土産として持ち帰った兵士がいた由。
彼らが続々と彼岸にわたる(これでは仏教的か?)ような時代なので、遺族が売りに出すのだろう。
匿名でも可能な取引に公費を支出できないため、購入は自腹になる由。
「万年助手の安月給」は、大学の准教授になって少しは改善したのだろうか。
埼玉大学研究者総覧
教養学部 教養学科哲学歴史講座 准教授
国立歴史民俗博物館(前職)
一ノ瀬 俊也 ICHINOSE Toshiya
日本兵は捕虜になってはいけないときつく教育されていたので、捕虜になろうとした場合にどうすればよいのか分らない。
そこで、米軍では「このようにすれば安全に保護する」と説明した伝単を配布した由。
ショックだった話は、敗走して混乱する部隊から一旦離脱した兵士が、終戦という情報を得て部隊に戻った場合に、既に終戦後なのにもかかわらず、脱走兵として軍法会議もなしに即決で銃殺されたケースがあるという件。帰還将兵の手記に記載がある由。
理不尽なことは山ほどあったのだろう。
『沖縄戦下の米日心理作戦』(大田昌秀 2004)でも紹介された英軍伝単「軍陣新聞」について詳細に紹介。
『プロパガンダ戦史』(池田徳真1981年)での高評価も紹介。
"サンフランシスコに移住していた社会主義者の岡繁樹が、イギリス政府の依頼を受け、邦字新聞の発行に使っていた日本語活字とともにカルカッタにわたり、同地で新聞型伝単「軍陣新聞」をはじめとする各種の伝単を作った。岡が日本文の原稿を書き、台湾の学校で校長をしていた英人が翻訳して司令部の許可を得てから印刷された。"由。
(岡・塩田・藤原編『祖国を敵として一在米日本人の反戦運動』)
反骨の在米ジャーナリスト岡繁樹の1936年来日と偽装転向 加藤哲郎教授(一橋大学)
"本稿は、実弟岡直樹の文章に従って、1959年6月5日大往生説を採る(岡直樹・塩田庄兵衛・藤原彰編『祖国を敵として』明治文献、1965年、22頁)。 "
本書の本文中および巻末の参考文献一覧に『祖国を敵として――在米日本人の反戦運動』の編者が「岡繁樹・塩田庄兵衛・藤原彰」とあるのは誤りのようだ。
岡繁樹(1959年逝去)の生涯を実弟の岡直樹らがまとめたもの(1965年出版)なので、6年前に死んだ本人は参加できない
正解っぽい表記:祖国を敵として : 一在米日本人の反戦運動
東京 : 明治文献, 昭和 40 [1965]
・岡繁樹の生涯と思想 (思い出・遺稿・来信)
・ビルマ戦線の反戦文書
SearchWorks is the Stanford University Libraries' next generation search engine.
~すごいかも、スタンフォード大図書館のこの仕組み。
「軍陣新聞」の詳細に関しては、上記『祖国を敵として・・』が最も詳しい資料なのだろう。
現物を確認した人が少ないらしく、タイトルの記載自体、まちまちなのだ。
スタンフォード大の読み下し~Sokoku o teki to shite : ichi zaibei Nihonjin no hansen undō ~が正確であると思われる。
「一在米日本人」のくだりの、イチの部分がハイフンにされたり(一ノ瀬巻末)、スペースにされたり(一ノ瀬本文)、じつは現物未見だろう。
細かい話ですまんね
福岡県弁護士会 弁護士会の読書:日本史(現代史)
先生と同好の士、だわな。
伝単 戦時中に撒かれたビラ