中公新書
『プロパガンダ戦史』
池田徳真
中央公論新社 (1981/01 出版)
中公文庫で復刊
これは上手い具合に各国のプロパガンダのやり方を分析しています。(Wissen ist Macht)
古すぎてweb上に目次が見当たらず。やむなく記載。
第1章 外務省のラジオ室
ロンダヴァレーへの旅 / ラジオ室の大活躍 / 敝之館の人びと / アメリカ国内放送の傍受 / 対敵宣伝の三冊の名著
第2章 第一次世界大戦の対敵宣伝
初期のプロパガンダ / フランスのプロパガンダ / ドイツのプロパガンダ / イギリスのプロパガンダ
第3章 対敵宣伝の教科書
『武器に依らざる世界大戦』 / 『是でも武士か』 / 『クルーハウスの秘密』 / 『対敵宣伝放送の原理』のヒント
第4章 各国の戦時宣伝態度
ドイツは論理派 / フランスは平時派 / アメリカは報道派 / イギリスは謀略派 / ソ連はイギリスの亜流 / 対敵宣伝の適格者
第5章 第二次世界大戦の対敵宣伝
各国の放送宣伝戦 / ドイツ映画『オーム・クリューガー』 / アメリカ作の日本語新聞と伝単 / イギリスの傑作『軍陣新聞』 / 平時の激烈な宣伝戦 / ヨーロッパ破壊株式会社
付録 『対敵宣伝の放送の原理』
参考書
あとがき
「池田徳眞」について - 菊地研一郎の日記
歴史が眠る多磨霊園 池田輝知 幕末・明治期の旧鳥取藩、侯爵
池田氏(因幡鳥取藩)
池田徳真 生没年:1904-1993
戦後、その池田は各国の宣伝放送を徹底的に比較分析し、「ほんとうに宣伝のなんたるかを心得ていたのはイギリスである」として、国家宣伝意識の有無にかかわらず結果的にはその役割を演じることになったBBCの特徴を的確かつ簡潔にまとめあげた (本田成親氏)←リンク切れ
<貼り直し>
戦後、その池田は各国の宣伝放送を徹底的に比較分析し、「ほんとうに宣伝のなんたるかを心得ていたのはイギリスである」として、国家宣伝意識の有無にかかわらず結果的にはその役割を演じることになったBBCの特徴を的確かつ簡潔にまとめあげた
佐藤優選の100冊-41番
佐藤優が取り上げる先人は、池田徳眞(1904~1993)です
"その謀略宣伝は「対敵宣伝放送の原理」(プロパガンダ戦史)に述べられているという紹介記事です" ←ん?
本書に拠ったと思われる、敝之館の説明:[PDF] マイグレーション研究会会報
p9 「戦時下、滞日日系二世の実態―二世教育機関に通った日系アメリカ人を事例として―」門池啓史(名古屋市立大学大学院)
敝之館1939年、外務省情報部長であった河相達夫とアメリカ局長吉沢次郎の尽力により、海外で生まれた日系人に日本を知ってもらうことを念頭におき、国際親善の一環として敝之館は設立された。
敝之館の学生募集要綱は、1高卒以上 2三十歳未満 3教育期間は二年4奨学金は月額40円 5卒業後の就職は自由等々であった。終戦と同時に敝之館は閉校され、68名の二世たちが学んだ。←リンク切れ
ラヂオプレス
[PDF] コミュニケーション論から見た戦時プロパガンダの研究
日本大学大学院 杉野定嘉氏(2002)
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の真実 ←ん?
「アメリカの未来学者と自称するハーマン・力ーンが、『21世紀は日本の世紀になる』といった。(中略)彼は、『日本の経済をこのまま成長させると、21世紀は日本の世紀になってしまうぞ』と、アメリカ人とヨーロッパ人に対して警告しているのである。われわれ謀略宣伝屋は、こういう場合、『ぞ』を消して、『日本の世紀になる』と言うのである。(中略)日本人は、このハーマン・力ーンのことばを聞いて、何を勘違いしたか、日本が褒められたと思ったのである。そこで、総理大臣が彼に会い、日本の新聞もテレビも警戒論など少しもいわなかった。(中略)宣伝戦では武力戦の場合ほどに敵味方は明確ではないが、敵と味方を間違えると負けることは、同じである」(『プロパガンダ戦史』、162-164頁)」」(30-31ページ)
著者は英国留学で多くを学んだことから英国びいき(というか、その底力を評価)、ということもあるかもしれない。
(公平中立に評価しても、「謀略に巧み」というのは事実だと思うが)
言いたいことを直接言ってしまうのは上等な手ではない。質問形にして相手に考えさせるのが上等である、と。
"イギリスの対敵宣伝者は、敵の興奮を少し沈めたところで、今度は質問の雨を降らせる。すなわち、いろいろ質問を出すのであるが、結論は決して言わないで、敵国民に考えさせるのである。"
この辺りは、対敵宣伝に限らないのではないか?
たとえば、国内における各政党間の批判合戦にも示唆するところ大であると考えられる。
敵対政党の主張または政策について、自国民の敵対政党支持者に考えさせるわけ。
「敵国民」が、「ライバル政党に(前回は勢いで)投票してみた有権者」に置き換わる。
「こんなやり方では駄目です」というのではなくて、「このやり方を進めていった場合にどういう結果になるか、国民の皆さんはどう考えられますか?」などという政党のリーダーは出てこないかな、と昔から思っているのだがね。
イギリスの崩壊 2009年1月24日 田中 宇さん
「第2ブレトンウッズ」再び 2010年1月31日 田中 宇さん
うーむ、泉下の著者はどう評価する?
『プロパガンダ戦史』
池田徳真
中央公論新社 (1981/01 出版)
中公文庫で復刊
これは上手い具合に各国のプロパガンダのやり方を分析しています。(Wissen ist Macht)
古すぎてweb上に目次が見当たらず。やむなく記載。
第1章 外務省のラジオ室
ロンダヴァレーへの旅 / ラジオ室の大活躍 / 敝之館の人びと / アメリカ国内放送の傍受 / 対敵宣伝の三冊の名著
第2章 第一次世界大戦の対敵宣伝
初期のプロパガンダ / フランスのプロパガンダ / ドイツのプロパガンダ / イギリスのプロパガンダ
第3章 対敵宣伝の教科書
『武器に依らざる世界大戦』 / 『是でも武士か』 / 『クルーハウスの秘密』 / 『対敵宣伝放送の原理』のヒント
第4章 各国の戦時宣伝態度
ドイツは論理派 / フランスは平時派 / アメリカは報道派 / イギリスは謀略派 / ソ連はイギリスの亜流 / 対敵宣伝の適格者
第5章 第二次世界大戦の対敵宣伝
各国の放送宣伝戦 / ドイツ映画『オーム・クリューガー』 / アメリカ作の日本語新聞と伝単 / イギリスの傑作『軍陣新聞』 / 平時の激烈な宣伝戦 / ヨーロッパ破壊株式会社
付録 『対敵宣伝の放送の原理』
参考書
あとがき
「池田徳眞」について - 菊地研一郎の日記
歴史が眠る多磨霊園 池田輝知 幕末・明治期の旧鳥取藩、侯爵
池田氏(因幡鳥取藩)
池田徳真 生没年:1904-1993
戦後、その池田は各国の宣伝放送を徹底的に比較分析し、「ほんとうに宣伝のなんたるかを心得ていたのはイギリスである」として、国家宣伝意識の有無にかかわらず結果的にはその役割を演じることになったBBCの特徴を的確かつ簡潔にまとめあげた (本田成親氏)←リンク切れ
<貼り直し>
戦後、その池田は各国の宣伝放送を徹底的に比較分析し、「ほんとうに宣伝のなんたるかを心得ていたのはイギリスである」として、国家宣伝意識の有無にかかわらず結果的にはその役割を演じることになったBBCの特徴を的確かつ簡潔にまとめあげた
佐藤優選の100冊-41番
佐藤優が取り上げる先人は、池田徳眞(1904~1993)です
"その謀略宣伝は「対敵宣伝放送の原理」(プロパガンダ戦史)に述べられているという紹介記事です" ←ん?
本書に拠ったと思われる、敝之館の説明:[PDF] マイグレーション研究会会報
p9 「戦時下、滞日日系二世の実態―二世教育機関に通った日系アメリカ人を事例として―」門池啓史(名古屋市立大学大学院)
敝之館1939年、外務省情報部長であった河相達夫とアメリカ局長吉沢次郎の尽力により、海外で生まれた日系人に日本を知ってもらうことを念頭におき、国際親善の一環として敝之館は設立された。
敝之館の学生募集要綱は、1高卒以上 2三十歳未満 3教育期間は二年4奨学金は月額40円 5卒業後の就職は自由等々であった。終戦と同時に敝之館は閉校され、68名の二世たちが学んだ。←リンク切れ
ラヂオプレス
[PDF] コミュニケーション論から見た戦時プロパガンダの研究
日本大学大学院 杉野定嘉氏(2002)
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の真実 ←ん?
「アメリカの未来学者と自称するハーマン・力ーンが、『21世紀は日本の世紀になる』といった。(中略)彼は、『日本の経済をこのまま成長させると、21世紀は日本の世紀になってしまうぞ』と、アメリカ人とヨーロッパ人に対して警告しているのである。われわれ謀略宣伝屋は、こういう場合、『ぞ』を消して、『日本の世紀になる』と言うのである。(中略)日本人は、このハーマン・力ーンのことばを聞いて、何を勘違いしたか、日本が褒められたと思ったのである。そこで、総理大臣が彼に会い、日本の新聞もテレビも警戒論など少しもいわなかった。(中略)宣伝戦では武力戦の場合ほどに敵味方は明確ではないが、敵と味方を間違えると負けることは、同じである」(『プロパガンダ戦史』、162-164頁)」」(30-31ページ)
著者は英国留学で多くを学んだことから英国びいき(というか、その底力を評価)、ということもあるかもしれない。
(公平中立に評価しても、「謀略に巧み」というのは事実だと思うが)
言いたいことを直接言ってしまうのは上等な手ではない。質問形にして相手に考えさせるのが上等である、と。
"イギリスの対敵宣伝者は、敵の興奮を少し沈めたところで、今度は質問の雨を降らせる。すなわち、いろいろ質問を出すのであるが、結論は決して言わないで、敵国民に考えさせるのである。"
この辺りは、対敵宣伝に限らないのではないか?
たとえば、国内における各政党間の批判合戦にも示唆するところ大であると考えられる。
敵対政党の主張または政策について、自国民の敵対政党支持者に考えさせるわけ。
「敵国民」が、「ライバル政党に(前回は勢いで)投票してみた有権者」に置き換わる。
「こんなやり方では駄目です」というのではなくて、「このやり方を進めていった場合にどういう結果になるか、国民の皆さんはどう考えられますか?」などという政党のリーダーは出てこないかな、と昔から思っているのだがね。
イギリスの崩壊 2009年1月24日 田中 宇さん
「第2ブレトンウッズ」再び 2010年1月31日 田中 宇さん
うーむ、泉下の著者はどう評価する?