積ん読の部屋♪

本棚に積ん読な本を読了したらばの備忘録。

梨木香歩『ぐるりのこと』内容と感想

2013-06-25 10:33:49 | 紙の書籍
新潮文庫 梨木香歩『ぐるりのこと』を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
向こう側とこちら側、そしてどちらでもない場所
境界を行き来する
隠れたい場所
風の巡る場所
大地へ
目的に向かう
群れの境界から
物語を
解説 最相葉月


【内容】
2004年12月に刊行されたエッセイ集。


【感想】
梨木香歩の今までの作品を読んでいて、わかりそうでわからない根本的な感じ方や考え方に触れられたと思った。日常の中に、突然に降って湧いてくる想像を絶するような事件、事故、犯罪。それらに心が折れそうになりながらも、「なにかをしなければ!」と突き動かされるように行動し、文章を紡いでいく。
この作品を執筆中だった時点では、まだ、3.11の震災は起こっていない。もし、執筆中に起きたとしたら彼女はなにを思い、なにを書いたのだろうか?

この作品中には、タイトルになっている『ぐるりのこと』の「ぐるり」について、繰り返し繰り返し書かれている。心の「境界」、物理的な「境界」、そこから派生していく偏見と差別、排他的な攻撃、それがやがて戦争や内乱へと繋がっていくことについて。
読んでいてこの如何ともし難い状況に、苛立ちときりきりするような痛みを感じつつ、それでも惹きつけられていく文章。生半可な想いではないと思う。

>物語を語りたい。
 そこに人が存在する、その大地の由来を。

この一文に、梨木香歩の想いのすべてがこめられているように感じた。

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