積ん読の部屋♪

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宮部みゆき『ぼんくら 下』あらすじと感想

2017-06-25 11:42:45 | 紙の書籍
講談社文庫 宮部みゆき『ぼんくら 下』を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
長い影(七~十三)
幽霊
解説 北上次郎


【あらすじ】
「俺、ここでいったい何をやっているんだろう」。江戸・深川の鉄瓶長屋を舞台に店子が次々と姿を消すと、差配人の佐吉は蒼白な顔をした。親思いの娘・お露、煮売屋の未亡人・お徳ら個性的な住人たちを脅えさせる怪事件。
同心の平四郎と甥の美少年・弓之助が、事件の裏に潜む陰謀に迫る。


【感想】
上下巻の長編もこれで読了。下巻はほとんど謎解きにあてられている。
同心の井筒平四郎は中間の小平次や妻の甥 弓之助、岡っ引きの政五郎、探索方の黒豆らの助けを借りて、一連の騒ぎの原因である湊屋のことを調べ上げる。ようやくわかったのは湊屋とその妻おふじ、姪のみすずが絡んだ業としかいいようのない、男と女のどろどろな関係性だった。
うんざりするような、気分の悪くなるような結末。誰も幸せになっていない気がするのだ…。
最後の章〈幽霊〉は幽霊はあの世ではなく、この世に存在したのだと教えている。怖いのは‥死んでいる人間より生きている人間だということか。
よくできたミステリーだし、登場する人物もキャラクターがしっかりと立っていて魅力的。
でも、それだけではない深淵が覗いているのが宮部みゆきワールドというところかもしれない。


【リンク】



宮部みゆき『ぼんくら 上』あらすじと感想

2017-06-18 11:00:55 | 紙の書籍
講談社文庫 宮部みゆき『ぼんくら 上』を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます





【目次】
殺し屋
博打うち
通い番頭
ひさぐ女
拝む男
長い影(一~六)


【あらすじ】
「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」――江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。
いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。


【感想】
『ぼんくら』の上巻。続きは下巻で計二冊の長編時代もの。宮部みゆきお得意な人の業を描いた作品。
彼女の現代ものは重くて暗くて辛くなってしまうので、時代ものというある意味ファンタジーな設定だと、重さや暗さも和らぐ気がして読みやすい。

江戸時代のお江戸は鉄瓶長屋という貧乏長屋が舞台。この長屋で殺人や店子の家移り、差配人の交代というおかしなことばかりが続き、同心の井筒平四郎が探索に乗り出すのだが‥。
〈殺し屋〉八百富の太助が殺し屋に殺される。
〈博打打ち〉桶職人の権吉が博打にはまり借金をつくってしまい、娘のお律が売り飛ばされそうになる。
〈通い番頭〉成美屋の通い番頭善治郎と当然現れた息子の長助。
〈ひさぐ女〉女郎あがりのおくめが家移りしてくる。
〈拝む男〉八助一家が始めた壺信心が店子に広がる。
一見するとどの事件もそれぞれは無関係に見えるが、実は地主である湊屋総右衛門が巧妙に練った策なのだ。なぜ地主である湊屋がそんなことを画策したのか?その理由は下巻でようやく明らかになる。
全体をとおして、なんとも妙で嫌な雰囲気が漂っている。姿は見えずに、影だけが視界の端を横切るような感覚。得体の知れない怖さがある。


【余談】
この作品を読む前に、NHKで放送されたドラマを観ていたのであらすじは大体わかっていた。ドラマ版は原作に忠実で、登場人物のキャラクターもあてがきのようにそのまま、世界観も大切にしていたと思う。
以前に放送された『おそろし』のときも同じことを感じたし。
いいドラマを作っているのは、NHKと民放だとテレ東プライム枠と深夜枠、あとは有料チャンネルのWOWOWくらいな気がする。
スポンサー&大手広告代理店&大手芸能事務所のタッグには、やっぱり制作サイドは太刀打ちできないんだろうなぁ…。


【リンク】