角川文庫 宮部みゆき『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』を読了しました。
あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【目次】
序
あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【目次】
序
第一話 開けずの間
第二話 だんまり姫
第三話 面の家
第四話 あやかし草紙
第五話 金目の猫
文庫版あとがき
【あらすじ】
三島屋の主人伊兵衛は、傷ついた姪の心を癒やすため、語り捨ての変わり百物語を始めた。悲しみを乗り越えたおちかが迎える新たな語り手は、なじみの貸本屋「瓢箪古堂」の若旦那勘一。彼が語ったのは、読む者の寿命を教える不思議な冊子と、それに翻弄された浪人の物語だった。
勘一の話を引き金に、おちかは自身の運命を変える重大な決断を下すが…。
【感想】
第一話 開けずの間
平吉の出戻りの姉おゆうは、わが子への執着と元の嫁ぎ先への恨みが凝り固まっている。
“塩断ち”をして願をかけ、やみくもに神仏にとりすがる。そのさまが空恐ろしい…。“行き逢い神”に見初められてしまうが、その神の姿は、魚の腐ったような臭いにおいを振りまく女。人の願いを叶えるのと引き換えに、それに見合う何かを寄越せとねだる邪悪な存在だ。
「人が心に抱く、切ない願い。人は弱いから、欲をかくから、いろんなことを願う。その弱さにつけ込む行き逢い神は、喰らうものに困らない。くわばら、くわばら。」
ただただ怖くて、やりきれなくて後味が悪い話。
第二話 だんまり姫
おせいは“もんも声”という変わった声をもって生まれた。“もんも声”は亡者や獣を呼び寄せてしまう声で、うかつに使うと大変なことになる厄介な声だ。そのお陰で実家にも奉公先にも居場所がない。ようやく落ち着いたのが、花兜城の城主大黒家の姫様付きの女中だ。
加代姫は言葉を話さない。〈だんまり姫〉と家中ではひそかに呼ばれている。この姫の障りは、城主邦一の腹違いの兄、一国様が無念を抱えたま亡くなったためなのだった。やがて、一国様は花兜城から逃れ、加代姫の言葉も戻ってきた。
切なくて、哀しくて…。でも最後はほっとする話。
第三話 面の家
お種は手癖も悪いし性格も悪い小娘だ。ある屋敷に下働きとして奉公していたが逃げ出してきた。その屋敷では山のようにある面を木箱に入れ、紐をかけ、厳重に保管し続けていた。お種の本当の役目はその面が逃げださないように見張っていること。性格の悪いものだけが、面が騒ぎ出すのがわかるという。
面とは名ばかり、その本性は“魑魅(すだま)”。この世に災いをなすもの。
薄気味悪い話。
第四話 あやかし草紙
貸本屋瓢箪古堂の若旦那勘一が語る、父勘一の話。写本を頼んでいた栫井十兵衛という浪人が別口から請け負った写本は、人の寿命が記されている奇怪な本だった。
もうひとつは六人に嫁いだ老婆の話。ふがふがと歯が抜けた口から語られる話には悲壮感など微塵もなく、長閑な笑顔と動じない物腰だけが印象的だった。
おちかは同じような人を知っていると思った。それは瓢箪古堂の若旦那勘一だ。おちかはようやく、自分の足で幸せをつかむことにした。
第五話 金目の猫
三島屋の長男伊一郎は菱屋に奉公中だ。久方ぶりに実家に帰り、弟の富次郎と酒を酌み交わしながら子供のときの昔話に花を咲かせる。
梅の木の三叉にいた白い小さなほわほわしたもの。それはいつしか金目の猫になっていて、その猫は不幸なおさとの生霊だったのだ…。
お店をはったばかりで内証が苦しい三島屋夫婦は、子供たちの心情を汲んでやる心の余裕がなく、伊一郎も富次郎もそれぞれ寂しかった。言葉にならない思いを胸に抱えたまま、大人になった二人が交わす言葉は切なくひりりとする。
おちかは勘一と無事に祝言をあげ、百物語の聞き手は富次郎に引き継がれた。
相変わらず、宮部みゆきの作品は怖いな~。心の奥底をじーっと凝視し、クレバスをぐいっ!とこじ開けて晒すような文章を書く。
恐怖と理不尽はセットになって降ってくる…。
【余談】
この作品は人気の三島屋シリーズの第五弾、第一期の完結篇。今現在、読了したのは『おそろし 三島屋変調百物語事始』、『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』、『泣き童子 三島屋変調百物語参之続』、『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』の四冊。
第四弾の『三鬼 三島屋変調百物語四之続』だけまだ読んでなかったことに、今頃気づくというね。苦笑。
購入しようとは思っているけど、まだ本棚の積ん読がな~。もう少し消化してからにしようと思っている。さて、いつになるやらやら。
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