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桜木町 LOGBOOK

某上場企業の広報担当がビジネスや桜木町での日常生活について語っています。

重厚な一冊

2010年02月23日 23時12分35秒 | 読書感想
スウェーデンの作家、ヘニング・マンケルの「笑う男」読了。ミステリとしての読み応えもさることながら、現代社会(実際には90年代スウェーデンだが)の変化と歪みにスポットライトを当てるようなセリフや、登場人物をして人生を語らしめる場面など、相変わらず重厚な作品である。先日読んだ「ミレニアム」と雰囲気が似ているように感じるのは、ほとんど偶然だろうが、多少はスウェーデンという国の持っている何かが影響している . . . 本文を読む

どうかな・・・

2010年02月06日 13時58分52秒 | 読書感想
本屋で山積みにされ、「衝撃の結末!」というようなPOPがついていたこともあり、何となく買って読んでみたが、これは私の好みではなかった。謎解き部分がトリッキーになるとどうしても文章や描写による騙しの要素に頼るものだが、これが多いのは好きではない。昔はそういうものも結構読んでいたが、最近は避けるようにしている。新聞やインターネット上の書評を読んで買うことが多くなったが、大きな方向性として嫌いな分野のも . . . 本文を読む

スウェーデンは面白そう

2010年01月31日 15時39分04秒 | 読書感想
スウェーデンの凄いミステリがあるという話は聞いていた。何となく敬遠していたのだが、とにかく面白いことは間違いないらしいので、読んでみた。非常に面白かった。■  物語はあるジャーナリストが40年ほど前の事件を依頼されるというもので、その謎解き自体は非常に古典的な密室殺人モノだ。これはこれで優れている。これが一つのパッケージとすれば、もう一つの大きな箱が外側に存在する。そんな構造的にダイナミックな小 . . . 本文を読む

先生すみません

2010年01月14日 22時50分25秒 | 読書感想
著者の作品は、何とも柔らかな優しさがあるが、この作品もそうである。戦後間もない時代の長崎を描いたことも手伝って、全体としては暗いトーンなのだが、何故か優しさを感じる。強いメッセージ性のある作品ではない(と思う)が、何となくいろいろと考えさせられてしまうところが作品の力なのではないかと思う。現在の主人公がどうして今の状況にあるのか、すべてが書かれていないのが、消化不良だが、それを考えながらもう一度読 . . . 本文を読む

2009年に読んだ本

2009年12月23日 23時03分00秒 | 読書感想
今年をそろそろ振り返っていこうと思っているが、まずは読書編。今年は約30冊の本を読んだ。読むのが遅いのが私の困ったところだが、今年は特に読み進むのが遅かったような気がする。集中力がないのか、面白い作品が少ないのか。一通り読んだ本を思い出してみて、今年一番はやはりヘニング・マンケルの「目くらましの道」だ。最近スウェーデンのミステリの評価が高いようだが、このシリーズはもっと評価されて良いと思っている。 . . . 本文を読む

新しいシリーズ

2009年12月20日 22時54分25秒 | 読書感想
マイクル・コナリーの新しいシリーズ物を読んだ。自動車をオフィス代わりにしているとか、犯罪を犯した者の罪を軽くしたりするという仕事と倫理の狭間で苦しむ主人公など、設定自体が映画的だと思っていたら、後書きには、既に映画化が決まっているとか・・・。小説の制作側も初めから狙っていると感じた。■  ミステリーとしては、ロス・マクドナルドのあの代表作のプロットを彷彿させるもので、新鮮味はないが。ストーリーや . . . 本文を読む

とてもうれしい

2009年11月17日 22時24分39秒 | 読書感想
昨今、特別なものでない限り、翻訳ミステリは売れない。もちろん面白い作品はあるのだが、売れないものだから日本で翻訳して出版されない。かなり昔は、盛んに翻訳ミステリが輸入されていたので、お気に入りの作家の古い作品などは、古本を探すと読みたい作品を読むことができたりもする。しかし、古い作品を新訳で読むというのは、ほとんどあり得ない。■  先日、早川文庫のある本を読んでいると、挟まっている宣伝用の冊子に . . . 本文を読む

ちょっと毛色の違う歴史モノ

2009年11月08日 21時55分48秒 | 読書感想
本能寺の変の裏話を描いた本やドラマはいくつか目にしてきた。あ本書を読む前までは、これもその一つではないかと思っていたが、だいぶ(良い意味で)裏切られた。様々な文献や当時の歴史、宗教を深く調べたうえで、緻密に論理だてられている静的なミステリーであることを興味深く感じた。若干私にとっては、謎解きの展開が長すぎて退屈には感じたが、それは好みの問題。今までの歴史小説とはちょっと毛色が違うという点でも多くの . . . 本文を読む

純粋におもしろい

2009年10月18日 23時32分38秒 | 読書感想
「セカンドウインドI」読了。カミさんが買ったものを読ませてもらった。「バッテリー」などの下地があってか、青春スポーツ小説が売れているらしく、これもそのうちの一つ。自転車のロードレースを扱ったものだが、一冊目を読んだ限りでは、正統派で、良い意味でも悪い意味でも裏切られない内容。漫画でもおなじみの中高校生のスポ根モノは純粋に面白い。いろいろと伏線を張った内容なので、次の展開が楽しみである。 . . . 本文を読む

崩壊の仕組みを知る

2009年10月12日 09時57分37秒 | 読書感想
この本では自民党政治の成り立ちとその崩壊の仕組みを歴史的側面、制度的・構造的側面から記述しているが、非常に勉強になった。またこの著書が1年以上前に書かれていることはとても興味深い。■  著者が「自民党型の戦後合意」と名付ける仕組みは、私の解釈では強い個人のリーダーシップが発揮できないようにする代わりに、戦後の経済発展の局面に即して政治家、官僚、産業が談合的に公共工事や農業・工業政策などを進めるも . . . 本文を読む