まちづくりはFeel-Do Work!考えるより感じよう、みずから動き、汗をかこう!(旧“まちづくり”便利帳)

まちづくりの支援者から当事者へ。立ち位置の変化に応じて、実践で培った学びの記録。もう一人の自分へのメッセージ。

なぜ人はその土地に住み続けるのか?

2007-01-16 07:29:51 | まちづくりのキーワード
先月、雑誌「現代農業」の執筆者常連でもある民俗研究家/結城登美雄さん(宮本常一さんのお弟子)のお話を聞く機会がありました。会場には、生活改善グループの女性を中心とした100名ほどが集まって、結城さんの話に熱心に耳を傾けていらっしゃいました。結城さんのお話は、大変感動的かつ示唆に富む内容でした。インターネットで類似する講演資料を見つけたので、掲載しておきます。

(出所:自由の森大学HPより、結城登美雄さん講演録(冒頭抜粋)
『食の地元学~つながってよい地域をつくろう~』

 私は10年前から東北の600以上の村を歩き、過疎地に暮らすお年寄りたちに「なぜその土地に住み続けるのか」を聴かせてもらい続けてきました。お年寄りたちの話をまとめると、自分の住む地域がよい地域であるために必要な7つの条件が見えてきます。
 ・よい仕事の場がある
 ・よい居住環境がある
 ・よい文化がある
 ・よい学びの場がある
 ・よい仲間がいる
 ・よい自然風土がある
 ・よい行政がある

-ことです。「よい仕事」とは…(詳しくは、下記参照)
http://www.coara.or.jp/~jiyumori/koushi/1006yuuki.htm


上記に関連する現代農業の資料↓。

農文協トップ>主張>2001年4月号
『足元の、当たり前の豊かさに気づく「地元学」~不況のなかで生まれた確かさ』
http://www.ruralnet.or.jp/syutyo/2001/200104.htm
農文協トップ>現代農業増刊号>2001年2月号>編集後記
『不況だから元気だ~小さな消費で優雅な暮らし』
http://www.ruralnet.or.jp/zoukan/200102fukyo_h.htm
農文協こと農山漁村文化協会の「農文協の主張」欄にはまちづくりの重要なヒントが盛りだくさんです。
http://www.ruralnet.or.jp/syutyo/index.html


以前、長野県の旧美麻村(H18~大町市)に訪問した際、地元のOさんが次のように語ってくれました。

「移住者は自ら地域を選択して来ている人、それに比べ地元の人は、単に継続して住む人。地域に対する姿勢が違う。」

過疎化がさらに深刻になると、限界集落や限界自治体が続出し、「向都離村」化が加速します。多くの地元人が離村する中で、一部には「自ら地域に残るという選択をする人」が出現します(映画になった岩手県下閉伊郡川井村のタイマグラはその実例)。

都市では、個人の価値観も地域社会に求めるものもバラバラで、まちづくりの方針を決定することは至難の技ですが、その対極にある消滅しそうな地域では、「地域社会を何とかしよう」という個々人の意志(ベクトル)が結集し、それが大きな塊り、地域コミュニティの意志となって、まちづくりの大きな推進力になるのではないでしょうか。一つ一つのベクトルは小さくても、その小さなベクトルが重なり合うことで、大きなベクトルとなりうる。
結城登美雄さんは「小さな村には希望がある」と言いました。結城さんはそのベクトルが結集していく姿を「希望」と呼んだのではないかと思います。

そして一方で、都市社会では、そのベクトルを重ね合わせるどころか、同じベクトルを持つ人を探し出すのも難しい。特に日本の都市社会では、その規模があまりにも巨大(ヒューマンスケールを超えている)なため、人間自体がモノ化・記号化・風景化され、その大きさ故に何をやっても手応え(生きている実感)を感じることができない、遣り甲斐・生き甲斐を感じることが極めて困難な社会になっていると思えてなりません。多くの若者が離島や過疎地に移住するのは、都市社会に「希望」を見出すことが困難になっているからではないでしょうか。
欧州のこじんまりとした街に活力のある地域が多いのも、人間が希望を見出すのに適度な大きさだからなのかもしれない、そう思います。
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